プロローグ
初投稿です。よろしくお願いいたします。
違和感がありましたら、感想欄で教えていただけると嬉しいです。
5/9にアップデートしました。面白くなるようにしていきます!
それは人類史における技術革命の、最も静かで最も激しい到来だった。
人工知能と神経科学が交差し、ついに生まれたのが「フルダイブシステム」――人間の五感すべてを仮想空間に投影し、現実と等価かそれ以上の体験を提供する完全没入型VRシステムである。
当初、医療、軍事、学術研究など限られた分野で使用されていたフルダイブ技術は、やがて民間に解放されると、爆発的に成長した。その先頭に立ったのがエンターテインメント産業、特にゲーム業界だった。
プレイヤーはもはや画面の前に座る存在ではなかった。彼らは仮想世界に「生き」、仮想の肉体を通して戦い、恋し、死を体験し、再び生きる。もはやそれは「ゲーム」と呼ぶには軽すぎた。ある者は剣士となり、ある者は魔術師となり、盗賊、商人、王、あるいは神となった。仮想世界は無限に広がり、人類はかつて夢想した「もうひとつの現実」を獲得したのだった。
群雄割拠。まさにその言葉がふさわしい時代だった。数百を超えるVRMMOが乱立し、それぞれが独自の世界観とシステムでプレイヤーの時間と精神を奪い合った。ユーザーたちはゲームからゲームへと渡り歩き、自分の「生きるに足る世界」を探し続けた。
だが、そんな混沌の只中に、突如として現れたのが一つのタイトルだった。
2053年1月1日。仮想世界の風景は、完全に塗り替えられることになる。
《NeoEden》。
その名が発表された瞬間、業界中が騒然となった。開発元は日本の老舗ゲーム会社「ネオレルム」。古くから硬派なRPGやアクションタイトルを手がけ、革新的な技術への投資でも知られていたが、今回の《NeoEden》はその集大成だった。
ただのゲームではない。《NeoEden》は「世界」だった。
精密な神経信号の解析と、高速な空間生成アルゴリズム。自律的に思考し、感情までも持つAIたち。そして「現実」と錯覚するほどの触覚、温度、風圧、匂い、味、痛み、快楽の全再現。感情の模擬すら可能になったその仮想空間は、既存のVRゲームのすべてを過去にした。
プレイヤーはこの世界で息をし、汗を流し、涙を流し、絶望し、歓喜する。
そしてその波に、ある一人の少年も足を踏み入れようとしていた。
「――ネオエデンねぇ。RTAも遊び尽くしたし、そろそろやってもいい頃合いか」
2053年6月、東京。
高校2年生、俊雅遊逸、17歳。通称シュウユ。
RTA(Realtime Trials Arena)という難易度の極端に高いPvPvEゲームで名を馳せた実力者。反射神経、空間認識、戦術判断力、そして何よりも“悪知恵”と“諦めの悪さ”が持ち味の、知る人ぞ知るプレイヤーだ。
部屋には雑誌、ハードディスク、未開封のソフトが乱雑に積まれている。通知が目に留まった。
『例のやつ、いつでも入れるようにしておいたよ。よかったらおいで』
――あいつか。
「ま、やってやろうじゃねぇか。いつか入るつもりだったしな」
件名: ネオエデンする
差出人: シュウユ
宛先: 邪計愛好家
『ネオエデンするけど、まだやってんの?』
送信からわずか数秒後、返信が来た。
『まだやってるよ、手伝って欲しいことがあるんだ。今日の20:00に二つ目の町の宿に来てくれ。手伝ってくれたら、色々とあげえるよ』
「んん?あいつ、またなんか仕込んでるな。しかも、開始から5時間で第二の町とか、俺の腕試してんだろ」
少年は、頬を軽く叩きながら言った。
「ワールドコネクト――」
世界が、仮想へと転移する。
その瞬間、彼の瞳には確かに「現実」が消え、「NeoEden」が広がった。
プロローグなので短めでしたが、試し読みみたいに読んでくれたら嬉しいです。
これからどんどん書いていきます‼︎
5/9にアップデートしました。面白くなるようにしていきます!
どうか高評価とリアクションをお恵みください上位者の皆様。