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はじまりはダンジョン

「どーしてこんな目に遭ってるんだーーーー!」


 ここは洞窟というより、ダンジョンの中。

 当然周りに人間はいない。しかも目が覚めたらここにいた。

 怖い。寝相ってこんなに悪いもん?


 だって神様言ってたよ、

“勇者になれると思うから、町の近くに転生させるね”


 どこが!どこが町の近くだ!

 仮に近くだとしても、ダンジョン内はどうかと思うけどね。

 語彙力失うくらいやばい。


 こんな所に転生される少し前に話は遡る。

 まだ俺が自分の状況を理解しているそんな所に……。




「ここは?何かすごい天国感があるけど、一体何なんだ?」


“天国ですよー!ここ。貴方は死んじゃいましたから。”


 急な死亡報告。しかも自分の……。

 いや俺は信じないぞ。

 俺は寿命で死にたいんだ。

 何もない俺の唯一目指せる目標だ。

 だからまだ高校生だった俺が死ぬなんて……。


“貴方は確かに死にましたって!女神である私が言ってるんですから。”


「じゃあ今から天国に行くんですか?俺は」


“いや、だから()()が天国!!そして貴方はこれから別の世界に転生してもらいます!

ただ何年かは修行してもらって、だいたい成人の7歳位の状態で転生してもらいます!何か質問は?”


 本当よく喋る女神だ。

 ただ可愛い、そしてとてもタイプだ。

 まぁいいや、そんなことは。


「何か特別な力とかって手に入るんですか?チートみたいな力とか」


“それは貴方の頑張り次第ですよ。この七年間でしっかりと努力すればそれに見合ったものが手に入ります。それでは軽く貴方の転生先の世界の説明をしますね!”


 おお、女神の解説パートだ。新鮮さはあんまりだな~。


“まず転生先では魔法が使えます。そしてそれはこれから覚えてもらいます。またスキルと加護があります。これについては、行けば使えるので心配いりません。また貴方は勇者の様な存在です。なのであまり行き過ぎた事をしない様に。あと他に知りたいことはありますか?”


「言葉は通じますか?それが出来ないとただのボッチで、変わらないんですけど」


“言葉は通じる様になってますよ。それではこれからある部屋に入ってもらいます。そこで大体7歳になるまで待っていて下さい。ではまた何処かで……”



 と言う感じでそれから7年程が経った。

 それで目が覚めたら、ダンジョン。

 イカれてるな~、ホント。


 生きていける様にトレーニングはしたから、能力は上がっているけど……。

 とりあえず俺は外を目指すことにした。


 ただひたすらに登り続ける。

 そうすると光が見えてきた。


 やっと外に出られる。

 でもこのダンジョン何もいなかったな?

 まぁ安全でいいか。


 そしてダンジョンから出たら、目線の先には町があった。


「町だ!人だ!建物だー!」


 これでようやく異世界感が出てきた。


 見渡す限りに人間、獣人族、エルフ族に妖精みたいなのもいる。


 ここから俺の冒険がはじまる!!!!

 とりあえずはギルドを探さないと。



(ドスっ)

 急に後ろから誰かに押された。

 振り返るとそこには一人の女の子が立っていた。


「勇者様……?」


 誰だこの美少女。

 しかもよく見たら、人間じゃない、エルフだ!

 こんなに綺麗なんだなー、本物のエルフは。


「俺は勇者なんかじゃないよ。この世界のこともよく知らないし、多分そこまで強くないから。女神様にも曖昧なこと言われたし」


「でも私は貴方が勇者様だと思う!同じ匂いがするの!何も知らないなら私が教えてあげる!この世界の事も私の事も!」


 正直ありがたいし、こんな美少女と話せるなんて夢にも思わなかった。

 犬系ってのはこういう子の事を言うのだろうか。


 それにしても勇者か。

 俺そんなに強いのか?

 ステータスとか見えたら、楽なんだが。


「ありがとう。でも君は一人なの?誰かいないの?親とか」


「何言ってるの?私もう8歳だよ!だからもう大人なの。だから村を出てきたの。それに貴方も7歳位にしか見えないよ。まだ祈祷式もやってないでしょ?」


 7歳?俺はもう立派な高校生!

 なんか女神様が言ってたけど……。


「祈祷式?どんな事をやるの?」


「貴方本当に何も知らないのね。祈祷式は協会でやるんだけどね、それをする事で自分の能力がわかるんだよ。スキルとか加護も」


 へぇー、それは便利だな。

 あの部屋ではいつも確認できたけど、この世界ではそれをやらないと見えないんだな。


 しかしあの部屋ではスキルとか、加護とかはわからなかったし、やるべきなんだろうなその祈祷式とかいうやつを。


「協会はどこにあるの?」


「この町にはないよ。隣町まで行かないと。だってここはじまりの町じゃないし」


「でもこの建物‘協会’って書いてあるけど?」


 俺が今いる場所はいわゆる大通り。

 その左手には大きな建物があり、看板には確かに()()と書かれているのだ。


 ただスキルのお陰で読めるだけで、文字に見覚えは当然ない。


「ここは協会だけど、祈祷式はやってないの。はじまりの町のみそれができるの。だから私も貴方についていくよ?どうせこの世界のことはわからないだろうし、何より私の目的が勇者様と旅することだから!」


 勝手に勇者にされても困るのだけど、正直何も知らない俺にはありがたい話だ。


 結局この子と一緒にはじまりの町という所に行くことになった。


 徒歩で行ける距離だとこの子が言うので歩いて向かうことにしたのだが、


「そう言えば君の名前は?まだ俺の名前も言ってないけど」


「私まだ名前ないの!勇者様に決めてもらおうと思って、ずっと決めて無かったの!」


 なんか重くないか?この子。

 いや、悪い子じゃないと思うんだ。

 でもなんか目の奥が暗いような……。

 メンヘラとかじゃない事を願う。


 名前か。なんか前の名前思い出せないし、なんか適当に……、


「俺の名前はリクって言うんだ。よろしくね」


「よろしくリク様!」


「様は良くないよ。なんか主従関係あるみたいだし」


「でも勇者様だから、様をつける!あと私に名前つけて!」


「名前……」


 名前なんて何か良いのがあるか?

 花の名前とかに詳しければ良いのだけど、生憎そんな知識はない。


 でもなんか記憶の中にあったはず。

 誰かが好きだったんだよ、なんだっけ……。


「アスル。君の名前はアスルだ!」


 確か誰かがアスチルベの花がどうとか言っていた気がする。

 うん!きっと言っていたに違いない!


「アスル?うん!今日から私はアスル!」


 よかったー、気に入ってもらえて。

 さっき違うこと呟いてたらなんかどんどん顔が険しくなってたし、名前って大事だからなー。


「じゃあこれから行こう!アスル!」


「うん!」


 いやーかわいい。

 しかも犯罪にならないし、最高だ。


 これから俺の冒険がきっと始まる!

 この人生こそはどんなことがあっても、最高にするんだ!


 そう意気込んで町を出た俺たちは、はじまりの町を目指して進むのだったが……。


協会であって、教会ではない?

 そう意気込んで町を出たのだが、少し遠くに何やら建物群が見える。


「アスル?あれは何?もしかして目的地?」


「そうだよ~!あれがはじまりの町。ここから大体30分くらいだよ」


 そう言うことは先に言ってくれ~。

 恥ずかしいよ、あんな何か結構遠くに行くみたいな流れ作っといて、実は30分で着くんですって。


 まぁ早く知りたいから良いんだけどね。

 べ、別に言い訳とかじゃないからね。


 それから特に道中何もなく、はじまりの町へ着いた。


 門番もいない、平和ボケしているようなそんな町だ。

 けれど中は人で溢れていて、本当にはじまりの町~って感じのする所だった。


「協会に行けばいいんだよね?」


「そうだよ!私は一回来てるから、ついてきて!」


 そう言うとアスルはスルスルと人の間を抜けて、走って行った。


 速いな~、なんて呑気に思っていたけど、俺はこの辺の道を知らない……。


「ちょっ、待って~」



 それから暫くすると、ようやくアスルの姿が見えた。

 子供は本当に足が速い……、って俺も子供だけど。


「ん?ここが協会?」


「そうだよ!私の後ろにあるこの建物が協会だよ。大きいでしょ~」


 確かに大きい。

 と言うよりも、もう何かの要塞くらいのものだ。

 それにどことなく教会に似ている。


 名前だけじゃなかったんだな~。

 なんて感心していると、アスルが不思議そうに俺を覗いてきた。


「入らないの?能力知りたいんでしょ」


「いや、入るよ。ただ大きいな~って」



 俺は大きなドアの前に立ち、大きく息を吸った。

 正直緊張している。

 ガラの悪い人たちばっかりだったらどうしようだとか、冷ややかな目で見られたらどうしようだとか、色々と考えてしまう。


 するとアスルに思いっきり、押され俺はそのままドアを開けた。


「ドーーン!!」


 流石に登場目立ちすぎないか?

 そう思ったが、もう遅いだろう。

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