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ホラー短編シリーズ

異界の灯り

作者: 仲仁へび
掲載日:2023/09/08



 昼を歩いていると思っていたら、もう夜になってしまった。


 時間の経過を早く感じるようになったのは、人生に繰り返しばかりが訪れたからだろう。


 子供の頃のように、目に映る全てが新鮮であった頃は違った。


 あっという間に過ぎて見えても、思い返せば昼の中身は濃密だった。


 大人になるという事は、こんなにもつまらない事だったのか。


 この夜もまた、すぐに過ぎ去るむなしい時間だろう。


 時の流れを思うことが苦痛になって、どれくらいの時間が過ぎただろう。




 だから、引き寄せられたのかもしれない。




 きれいな明かりがある。


 目の前に、とてもきれいな明かりが。


 子供の頃に祖母からもらった、ビー玉のようだった。


 太陽の光を反射して、手のひらで輝く小さなおもちゃのよう。


 手に取りたくて、どうしようもなく欲しくなって、吸い寄せられるように向かった。


 あきらかにあやしいけれど、どうなるかなんて考えられなかった。


 考えても、意味がないと思ったのか。


 日常にもはや、未練を感じなくなってしまったのだろう。


 夜の道が段々と明るくなっていく。


 それは無意味に過ぎ去る昼の明かりではなかった。


 頭の中に染み込むような、真っ白な光だ。


 光は、電柱やアスファルトの道を消し去っていって、すべての色を白へと変えていく。


 一歩、一歩進むごとにその白い光は強くなるばかりで、しまいには自分の姿さえも見つめられなくなった。


 あきらかに異常で、あきらかに危険。


 それでも、戻らず、引き返さなかった。


 そうできるようなものは、もはや背中には存在しなかったからだ。


 



 やがてたどり着いた白の終着点。


 意識すら吹き飛ばすまっさらな光は中に立って、ようやく振り返った。


 さきほどまで無為な時間を過ごしていた、夜の世界を。


 長く生きてきた、人の世界を。


 様々なしがらみや思い出がある、その世界を……。


 静かに見つめる。


 その心に波風は存在しない。


 小さな黒い点のようなものになってしまったそれは、しかしやはり何も戻そうとせず、引きとめようとしなかった。



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