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vtuberさんただいま炎上中  作者: なべたべたい
第6章 過去の思い出
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79話 後輩

俺がvtuberを始めて1年が経った頃、俺は配信開始当時から目標にしていた登録者1万人を突破し、そのお祝い配信をした時には、園野さん達スタッフさん達が頑張ったおかげで、何とあの元祖vtuberと言われているお方からも、お祝いメッセージを頂けるというサプライズもあり、ユメノミライのメンバーやスタッフさん達にいつも見ていてくれているリスナー達で喜び合っていた。


そして良いことは続くと言うが、俺が1万人を突破した1ヶ月後にキラメも1万人を突破し、さらにその1ヶ月後には俺達の配信を見てか、結構大きな会社が事務所を丸ごと買取そのおかげで俺達が使えるお金も増え、園野さん達の給料も上がったらしい。


ただ少し残念だったのが、これを機に社長がvtuber業界から引退し、実家に戻って家業を継ぐということで、今まで一緒に頑張って来た仲間の1人が居なくなるということで、俺達はその日に社長をおくるかいとして、盛大に送別会をとり行った。


それからもユメノミライは順調に伸び始め、俺達がvtuberを始めて1年と半年で、メンバー全員が1万人を突破し、この頃にはキラメと俺の登録者の数はほとんど同じになり、俺もそろそろ抜かれるかな……

と考えていると、新しくなった運営から驚きのことを話された。


「俺達に後輩ですか!?」

「はい」

「マジか!」

「後輩!って事は私達が先輩になるって事?」

「後輩ですか、それは大変楽しみですね」

「へーどんな子が入るんだろうね?」

「ずっと男が俺1人ってのは今後肩身が狭くなりそうだから、出来れば1人でも良いから男が来て欲しいな」


その話を聞いた俺達は各々の後輩に対する理想などを話し合って盛り上がった。


そうして俺達はユメノミライからユメノミライ一期生へと変化した。


それからまたしても数ヶ月後、俺達は問題児達に出会った。


久しぶりに新しくなった事務所に、後輩が来ていると言う話を聞いた俺は向かった。


後輩は何処だ?


そんな事を考えながら俺は事務所の部屋を片っ端から開けて、そこで新人は何処だ!と叫んでは部屋を閉じるを繰り返していると、扉の横にユメノミライ二期生と書かれた紙が貼られている部屋を見つけた俺は、勢いよく扉を蹴り破りネットで買ったクソデカクラッカーを鳴らして叫んだ。


「ようこそユメノミライへ!!!!……ってあれ?お1人さん?他の人は?」


俺がいきなり扉を蹴り破り、さらにはクソデカクラッカーをほぼ不意打ちで鳴らしたせいで、今まで椅子に座ってスマホをいじっていたであろう、少し柄の悪い兄ちゃんが、驚きのあまり椅子から崩れ落ちていた。


元々新人は3人だと言う事と、今が集合時間という事を聞いていた俺は、なぜかここに1人しか居ないことに少し違和感を感じ、頭を傾けながらも尻餅をついている男に手を差し伸べて再度話した。


「えーっと改めてようこそユメノミライへ。俺は君の先輩になる九重ホムラね。これからよろしくね」

「う、うっす」


新人はこちらを引いた目で見ながら一応は返事を返してくれた。


こんなこと如きで驚くってこの新人大丈夫か?


って俺が考えた所で、このさっきから口を金魚みたいにパクパクしてるだけの男も、しっかりとした審査を抜けたから大丈夫だろ。


と、そんな事を俺も思っていた時期がありました。


何とこの柄の悪い兄ちゃんはお偉いさんの息子らしく、バリバリのコネ入社ならぬコネデビューでした。


マジかよ……


初の後輩にして、早々にコネデビューという面白さを一切保証されない問題児を、それも俺が望んでいた男という事で、残念に思っていたのも束の間、俺はこの後現れる真の問題児を見て、まだコネデビューはましだったと思わざるを得なかった。


男の新人くん……久瀬ヤウロくんと俺が話していると、廊下の方から何やら大きな音、これは大量の足音か?


きっちりと揃った大量の足音か音がコチラへと近づいてくるのが聞こえて、初めは少しうるさいな……と思う程度だったのだが、音が近付けばこの足音が普通に歩いて鳴るものではなく、足をわざと踏み付けて鳴らしている音だとわかるのと同時に、少し揺れを感じて俺と久瀬くんが恐怖から抱き合って、部屋の隅に移動していると扉がバンッ!と大きな音と共に開けられた。


そしてその扉からレッドカーペットが転がり広がった。


正直この時点で全く意味が分からず、本当にどうした?

と困惑してあると、今度はその扉から大量の黒服が人が1人すっぽりと入ってしまうほどの大きさの、ガチモンの宝石が散りばめられている宝箱を持って入って来た。


俺はもしかして運営が何かやったのかと思い、コネデビューの久瀬くんの方へと視線を移すが、久瀬くんはあまりの非常識の事に目を奪われ口を大きく開き固まっていた。


そして次の瞬間宝箱が勢いよく開かれると、中から黄金のブロンドの髪をロールにしている、よくアニメや漫画などで見るthe金持ちがやる縦ロールをリアルでやっている、金持ちオーラ全開の金持ちの擬人化みたいな少女が飛び出して来た。


「皆様!お待たせしてしまって悪かったでごぜーますわ〜!私は金城カネコと言いますわ〜。以後お見知りおきをですわ〜!!」

「「「「「「「「流石はカネコ様!」」」」」」」」


いきなりびっくりするぐらい金の掛かった超巨大宝箱から、個性の押し売りみたいな女……俺の後輩が出て来たと思ったら、先程までは手を後ろに組んで立っていた黒服達が、跪き何処から取り出したのか分からない薔薇の花びらをその場で撒き始めた。


その様子を見て完全に固まっている久瀬くんを放っておいて、俺は立ち上がりゆっくりとその少女金城カネコの元へと歩みを進め、跪き手を差し伸べ挨拶をした。


「お初にお目にかかります金城様。私はユメノミライ一期生の九重ホムラと申します。」

「あら先輩ですの?これからはよろしくお願いしますわ〜!」


そう言って俺の手を取りながら宝箱から出て来た金城さん……いやコイツは金城でいいな。


金城をいまだに固まっている久瀬くんの横に座らせて、俺は黒服達に散らかしたものを片付けさけて、そのまま帰らせた。


いやーマジか……まさかの後輩2人が問題児とは、それも1人は人気になるか分からないコネデビューで、もう1人が絶対に面倒ごとを起こして、更には確実に人気が出るタイプか……


せめて、残りの1人はまともであれとは言わんが、せめて……せめて!問題児ではありません様に!!!!


だが俺のそんな願いはすぐに砕け散った。


何と残りの1人がまさかの顔合わせをブッチしました!


それもなんとね運営の人が連絡した所、今ブラジルにいるんだって、寝坊とか行くのが嫌になったとかじゃなくてまさかの地球の反対側!


頭おかしいんじゃねぇの?


それが俺に初めて出来た後輩達、ユメノミライ二期生だ。

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