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第98話 私、今日からおじさんになります。

 ジッとヘイズ・・・いえ、今はムラサキというべきですか、ムラサキの返事を待っていると、彼は考えがまとまったのかニッコリと笑いました。


「そりゃ可愛いと思っているよ。あ、もちろん君たちもね?まぁ・・・ジェニファーには敵わないけどね?」


「・・・シャ~」


「そうですの。解りましたわ」


 考えた末の答えがこんな具合という事は、真面目に答える気にはならなかったということです。・・・まぁ私とは出会って直ぐですし、イリスも同じ様なものなのでまだまだ親密度が足りないという事でしょう。


「さて、本当に先程の質問が最後でよかったんだよねマシェリーちゃん?」


「ええ、長々と答えて頂きありがたく存じましたわ」


「はは、いいさ。ところで、森の出口まで送って行こうか?」


「いえ、結構ですわ」


「そうかい?それじゃあまたね」


「ええ、()()()()()


 聞くべきことは聞いたので、送って行こうかと言ってきたムラサキにお断りを入れた後、私達は森の入口方面へと歩き出します。

 そうして歩いている途中、イリアスが少しニヤニヤしながら話しかけてきました。


「マシェリー様マシェリー様!何かムラサキさんに含みのある言い方でまた会うみたいに言っていましたが、もしかしてホストクラブに嵌っちゃったんですか?」


 ニヤニヤしながら何を言い出すかと思っていましたが、あんまりな発言に私はキョトンとしてしまいます。


(あー、確かにあの言い方だとそう聞こえるのかしら?でもねイリアス、違うんですのよ?)


 私は首を振った後答えます。


「いいえ、ホストクラブはもういいですわ。どうせ行くならキャバク・・・ごほん。まぁもうホストクラブへ行く事はありませんわ、充分に楽しみましたもの。彼にまたねと言ったのは・・・予感がしたからですわ」


「予感ですか?」


「ええ」


 それは予感というよりは()()()()()()()と言った方がいいのでしょうが・・・黙っておきましょう。


 いずれまた出会うはずの彼の正体は・・・ね。


 ・

 ・

 ・


 森から出て街に戻った私達は、一旦寮に戻ってイリスの後を追って行ったマルシア達と合流する事にしました。

 予め私の部屋で待つように言っておいた彼女達と合流すると、イリスがどんな様子だったかを聞いて見ます。


「イリスはどうでしたの?」


「イリスはあの後真っ直ぐ寮へと帰り、寮へ着くなり自分の部屋へと入って行きましたね」


「帰る途中でベソかき始めとったんで、多分ベッドで泣いてるんとちゃいます?」


「ふふ・・・あんな事がありましたからね・・・私なら1年間くらい引きこもるかも・・・」


「そうですの・・・」


 解ってはいましたが・・・やり過ぎた様です。


(うーん・・・今になって少し罪悪感が・・・。今からイリスの元へ行って慰めるべきですの?そうしたらイリスの傷も少しは軽くなり、それによって私との中は元に・・・いやより強くなって2人はめくるめく禁断の世界に・・・って駄目ですわよ!?)


 さらりと人の弱みに付け込みそうになりましたがいけません。それでは悪女です。・・・いや、本来は悪役令嬢なのですが。


(冷静になるのです私。『クズ ダメ ゼッタイ』ですわ。・・・ふぅ)


 めくるめく禁断の世界には興味がありますが、それをしてしまうと駄目だという事が解っているので自重です。

 ですがこのままイリスを放って置いても駄目だと思ったので、私はイリアスへと白羽の矢を立てる事にしました。


「イリアス」


「はい?」


「流石にちょっとやりすぎたので、イリスを慰めてあげてくれませんこと?」


「あー・・・そうですね。了解です。確かにあのままだと『もう誰も信じられない。皆敵よ!』ってなりそうですもんね」


「・・・うぐっ・・・イリアス・・・ちょっとこれで何か美味しいモノでも買っていってあげて・・・」


 良心にグサッと来る言葉を言われたので、私はお金を渡してイリアスをイリスの元へと送り出しました。


(ごめんなさいねイリス・・・魔王になれたら優しくしてあげますわね・・・しかし、うーん・・・?)


 ここで私はある疑問が浮かびました。

 それは『ゲーム時代のイリスも同じような事になったのに、こんな風にはなっていなかった』という事です。


(まぁ所詮ゲームだから現実とは違うと言えばそれまでですが・・・んー・・・)


 この後は特に予定もなかったので、お茶でも飲みながら色々考えるかと思いノワールへとお茶を入れるように頼みます。

 すると直ぐにお茶を持ってきてくれたので、ノワールやマルシア達にも飲む様に勧めた後、私はお茶を飲み始めます。


(んー・・・あ、会う時期が早かったからかしら?そういえば、ゲームではソフトな出来事から始まり段々ハードな出来事となっておりましたわね。あとは・・・)


 ゆるりと考えていると、マルシア達の会話がチラリと聞こえてきました。


「私はあの展開はあまり・・・」


「いやいや、あの畳みかけるのがええんやん」


「ふふ・・・ドーンと来て更にドーン・・・興奮もひとしおですよね・・・」


 その会話を聞いて、『あ』と思い当たった事がありました。


(直前に私がショックを与えていたから・・・?そこに更にドーンと来たからダブルショックでノックダウン!?あぁぁぁ!完全にやらかしてますわぁぁぁあ!!)


 今、完全に理解しました。やらかし確定です。


 私は『あぁぁぁあ!』と言いながらテーブルに頭をぶち当てました。・・・まぁそんな事をすれば周りが心配するのは当然なのですが、私は止まりません。


「あぁぁぁあ!私のばかちーん!」


「お嬢様!おやめください!」


「お姉様!ストップ!ストーップです!」


「あぁぁぁ!懺悔ですわー!・・・っは!?そうですわ!」


「ちょお姉様!・・・ってどしたんです?そんな急に『良い事思いついた』みたいな顔して」


「思いつきましたもの。・・・私、おじさんになりますわ」


「ふふ・・・やばいですねこれ・・・お薬用意しましょう・・・」


「「「早めにお願いシーラ!」」」


 何か大変失礼な言葉が聞こえましたが、私は正常です。


「言葉が足りませんでしたわね!私は『足長おじさん』になりますわ!」


「お嬢様、まだ足りておりません。何故急に頭をぶつけたら足長おじさんになるという事になるのでございましょうか?」


「あー・・・えっとですね・・・」


 私はそう思い至った経緯を話す事にしますが・・・要はあれです、イリスにやらかし過ぎた謝罪として、密かに支援を行っていこうという訳です。

 それをする事によって私の罪悪感を消していくという訳ですね。・・・まぁ、イリスの気が晴れるかは解りませんがやらないよりかはましですよね?


「・・・っと、いう訳ですわ!」


「「「成程?」」」


 皆に説明すると『何となく解ったけど、直接会って何かしてあげた方が』みたいな顔をしていましたが・・・出来ないから言っているんですよ!


「差し当たっての最初の支援は・・・そうですわね。ん~・・・学園祭を楽しめる様に支援してみましょうか?」


「学園祭というと、11月にあるアレでございますか?」


「そうですわ!」


 私達の通う学園は11月に学園祭があり、そこでは色々な出し物が行われます。

 この出し物ですが、新入生だけは素直に楽しめる様にとの学園側の配慮で免除となっており、私達は新入生である今年だけは正にお祭り気分で楽しむことが出来るのです。


「そこで楽しめる様にイリアスへと密かに手を回し、更にイリスと仲がいいと思われるグウェル殿下を引っ張り出すのです。そうすればイリスは楽しめてハッピー、私もイリスが元気になってハッピーでダブルハッピーですわ!」


 上手くいけば私の今回のやらかし、これで沈んだ気分が一気に盛り上がりダブルピースを決めるかもしれない!そう思い私は全力で動く事にしました。


「そうと決まれば善は急げ!王城の方にグウェル殿下との面会を頼んでみますわ!」


 普通の平民や貴族が頼んだのならば一蹴される頼みですが、私は『マシェリー・フォン・オーウェルス』。

 力を持ったオーウェルス家の娘にしてグウェル殿下の現婚約者、恐らく行けるでしょう。


「待っていなさいなイリス!必ず貴女にダブルピースさせて差し上げますわよ!オーッホッホッホッホ!」


 ・

 ・

 ・


 こうしてイリスダブルピース計画に向けて動き出したわけですが・・・


「解った、安定した事だしいけるだろう。そう伝えておいてくれ」


「おう、俺もお邪魔させてもらうぜ?いいんだよな?」


「はい、イリスさんやペイル様にも伝えておきますわグウェル殿下。フレッド様は・・・ええ、お待ちしておりますわ。学園の方にも伝えておきますわね」


「おう、頼んだぜ」



 何故か赤の魔王までおまけで付いて来ることとなりました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「そういうおじさんね!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですの。

 イイネ☆ブックマークがもらえると 手も長くなりますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【今回の使い方はちょっと違いましたが、足長おじさんとは本来、現代日本では広く『学生への援助者』という意味で使われておりますわ。原点の足長おじさんに興味がおありでしたら・・・ググってくださいな!】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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