第97話 解る男
「わ・・・私・・・かっ・・・帰りますっ!!さようならっ!」
「わわっ・・・イスがこっちへ来ますっ!」
「ノワールの魔法が予めかかっていますわっ!だから息を潜めてっ!」
イリスが立ち去る時にこちらへと来たので息を潜めましたが、無事に見つからずに済んだようで一息つきます。
「・・・ふぅ」
「・・・ってマシェリー様、イス行っちゃいましたよ!?追わなきゃ!」
「あ、そうですわね。あー・・・でもムラサキとちょっと話をしたいので・・・ノワール、イリスを追ってくださる?」
「いえ、私はお嬢様から離れません」
「ぁ~・・・ならマルシア、サマンサ、シーラの3人で追ってくださる?」
「「「了解」」」
「見つからない様にするんですわよ~」
ここいらのモンスターや獣ならばイリスでも逃げる事は出来ると思うので多分大丈夫だとは思いますが、私はマルシア達に言って後を追わせます。
そして私達は置いて行かれた?ムラサキへと話しかける事にしましたが、余り雑に近づいて行くと攻撃されるかも知れないので慎重に近づくことにして、更にイリアスに声をかけてもらうことにします。
「一応イリアスが知り合いだから、先頭で声をかけてくださる?」
「解りました!」
イリアスへとお願いをした後ゆっくりと近づき、声が届く位の距離に来た時に『そろそろ・・・』とイリアスへと合図します。
「はい。・・・おーい、ムラサキさーん」
「やぁイリアスちゃん。尾行ごっこはもうやめなのかい?」
(やっぱり気づかれていましたわね)
イリアスがムラサキへと声をかけたのですが、私達が後をつけていたのはヤハリバレバレだった様です。
しかしそれは解っていた事なので流し、私が話を変わる事にします。
「後をつけていたのは謝りますわ。ごめんなさい。あ、私はマシェリーと申しますわ」
「珍しい魔力の持ち主の可愛子ちゃんはマシェリーちゃんか。君はウチの店にも来てたよね?」
「ええ、まぁ。あの日もイリスの事が心配で様子を伺いに行っていましたの」
どうやら私がホストクラブに行っていた事もばれていた様ですが・・・まぁそれは仕方ないですね。というか、イリス達が返った後も私達は少しの間ホストクラブにいたので、顔自体は見てますからね。
「あぁ、つまり今日もイリスちゃんの事が心配でつけていたと?」
「ええ。まぁ色々事情があってこっそりつける事にはなってしまいましたが」
「今日イリアスちゃんが一緒にこれなくなったのも?」
「ええ。それも色々ある事情の内に入りますわ」
正直につけていた理由を話すと不味いため言葉をぼやかしましたが、ムラサキは何かを見透かす様な目でこちらを見て来たので私は内心ちょっとビビッてしまいます。
なんせ相手は精神魔法も使える人間、ゲーム時代にはありませんでしたが心を読むような魔法もあるかも知れないからです。
(ああいや、確か設定では勘が鋭いみたいな事が書いてありましたから、その勘とやらを働かせているのかもしれませんわね。・・・そちらの方が不味いのでは?)
正直心を読まれるより勘で『あ、こいつクズっぽいし駄目なやつだわ』と判断される方が不味いと思い、背中に冷や汗をかき始めてしまいました。
しかしムラサキは突然ニコっと笑い、フレンドリーそうに話し出しました。・・・が、その内容は凄いモノでした。
「そう、まぁ確かにマシェリーちゃんの感情の色からするに本当っぽいね」
「感情の色・・・?」
「ああ、俺は感情が色となって見えるみたいでね。その人の大体の本音みたいなものが解るんだ。だからこそあの店で働いてるみたいなところもあってね?」
(えぇ!?そんな設定ありましたっけ!?)
聞いた話に思わず吃驚してしまい、アワアワとしているとムラサキは笑い出しました。
「ハハハ!吃驚するのも仕方ないと思うよ!あー、後ごめんね、わざと見てるんじゃなくて自動的に見えてしまうんだよ。だから怒らないでほしいな黒髪の可愛子ちゃん」
何故かムラサキがノワールに対して謝っていましたが、何故?と思っているとノワールが私の前に出て来てムラサキからの視線を遮ってしまいました。
「・・・ノワール?」
「お嬢様、このままお話しください」
「・・・え?」
「マシェリーちゃん、黒髪の可愛子ちゃんは俺に君の感情が見えるのをよく思わなかったのさ。まぁそれだけ大事にされてるって事さ」
「ノワール・・・ふふ・・・ありがとう」
「・・・」
ムラサキではありませんが、今のノワールの感情は私にも解りました。・・・ズバリ『照れ』でしょう!
「おっと・・・ノワールの可愛い様子を観察している場合ではありませんでしたわね。えっと・・・ムラサキさん?」
「ん?なんだい?」
「2,3聞きたいことがあるんですけれどよろしかったかしら?」
「答えれることなら10でも20でも全然いいけど?」
「・・・へぇ?なら・・・・・」
実は私がムラサキに話しかけたのは質問があったからなのですが、最初の予定では相手に遠慮して2,3個だけ聞くつもりでした。
しかし、相手が10でも20でもいいと言ってくれたので、お言葉に甘える事にしましょうそうしましょう。
「では・・・・は?」
「・・・・・だね」
「・・・・・・なら・・・・・ですの?」
「・・・・・かな」
「カクカクシカジカなら?」
「マルマルウマウマだね。・・・って、どれだけ質問が続くの!?」
「え?貴方100でも200でもいいとおっしゃったではありませんの?」
「そこまでは言ってないかな・・・?」
「・・・ふぅ、なら次で最後にしますわね?」
「・・・ありがとう」
まぁ粗方聞きたい事は聞いたので、もういいかなと思い最後の質問をすることにします。
それは今度を左右するかもしれない質問ですが・・・まぁ今聞いてもさほど影響はないでしょう。
「それでは・・・ムラサキさん、貴方イリスの事はどう思いますの?」
「・・・それはどういう意味で?」
「1人の女性という意味で・・・かしら?」
「・・・」
ムラサキはその質問にすぐ答えを返さず、何かを考えている様でしたが・・・今の時点で何か思う所があるのでしょうか?
いえ、多分真面目に答えるべきかどうか迷っているのでしょう。・・・彼、『ヘイズ・パープル・ヘンドリック』は。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【いったいかれはなにものなんですのー(棒】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
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よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】