第88話 3章プロローグ
曰く、『世界からの通知』とは『神』が知らせるモノでなく『世界』そのものが、この星に生きるモノ全てに重大な事が起こった時に知らせるモノだという。
しかしその内容は何もしなければ誰も知る事は出来ず、教会にいる上位の方達がそれぞれの神にお伺いを立てる事により初めてその内容が解るのだとか。
こういった事実を今まで私『マシェリー・フォン・オーウェルス』は知らなかったのですが、どうやら他の人は知っていたみたいです。
それは誰に聞くまでもなく、生まれた時から何故か知っているのだとか・・・
しかし、この『世界からの通知』はめったにある物でもなく、人によっては一生涯聴く事もないそうなのですが、ここ100年程は魔王の世代交代が頻繁にあるからか聞いた事のある人の方が多いそうです。
そしてこれらを踏まえてですが、私にとって重大な事実が判明しました。
それは私が『世界からの通知』を聞いたことが無かった事や存在を知らなかった事・・・等ではなく、魔王が任命制であり、昔から一定数存在していた事です。
『昔から存在していた』、この点に関しては、この世界が長い歴史を刻んできた確かに存在する世界という事を認識しているのでいいのですが、問題は『魔王が任命制』、こちらです。
超越的な力さえ持っていれば自動的に人々、ひいては国に認識され『魔王』になれると思っていた私ですが、『世界そのもの』に認識されて任命されなければいけないなんて・・・。
強くなる素質はあるものの、私の知っている流れでは唯の強い『悪役令嬢』にしかなれなかった『マシェリー・フォン・オーウェルス』。
そんな人間が果たして『魔王に成れる運命』があるのか・・・
それは正に『世界のみぞ知る』・・・という事なのかもしれません。
【悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。第3章・開】