第87話 響き渡る鐘の音
ルドベキア鉱山から帰って来た翌日、私はオーウェルス家にある庭園にて、のんびりとお茶を飲んでいました。
「のんびりお茶を飲むのも良いですわね・・・」
「はい」
そしてその場には皆が・・・おらず、マルシアのみがテーブルについていました。
「お嬢様、マルシア様、料理長による新作のケーキをお持ちいたしました」
「ありがとうですわノワール」
因みにノワールも居たのですが、彼女はいつも通り給仕を務めていました。
しかし彼女にとっても現在は夏季休暇、なので偶には一緒にお茶を飲もうと誘う事にしました。
「ノワール、貴方も学園生で今は夏季休暇中、なので一緒にお茶でものみませんこと?」
「いえ、私は・・・」
「まぁまぁ・・・偶にはよろしいじゃありませんの。ね?」
「はい・・・では・・・失礼いたします」
ノワールは渋々といった声を出しながらも了承し、椅子を動かし座りました。・・・私の直ぐ真横へ。
そしてなにかブツブツ言いながら、私に体をぴったりとくっ付けてきました。
「ふぅ・・・しかしお嬢様、私はあくまで使用人ですので・・・オーウェルスの屋敷に戻ってきている以上働くのは当然なのです・・・なのでこういう事はあまり宜しくないのですが・・・」
「ノワール・・・言葉と体の動きがあってませんわよ?」
「あら・・・申し訳ありません」
「申し訳ないというのならば私の腰に回した手を退かしなさいな」
「・・・お茶が美味しいですね」
「・・・」
そんなやりとりをノワールとしていると、自分だけ仲間外れだと思ったのかマルシアも参戦しだし、私は美女と美少女にサンドイッチされてしまいました。・・・やれやれです。
等とどこぞのモテ男みたいな事を心の中で言っていると、マルシアが「そういえば・・・」と疑問を口にしました。
「お姉様、サマンサ達は?てっきり今日は私が早く来過ぎたのかと思っていたのですが・・・」
マルシアが疑問に思ったのはこの場に居ない3人の事のようでした。・・・そう言えば今日の朝一で連絡が来たことをマルシアに話していませんでした。
「そういえば言うの忘れてましたわね・・・。エリクサー2本の用途を決めたのは知ってますわよね?」
「はい。1本は売却、1本は研究ですよね?」
「ええ。そしてその売却と研究を、サマンサとシーラに任せましたわよね?」
「はい。商いはサマンサ、薬の研究はシーラの得意分野ですからね」
「実は今日の朝マルシアが来る前に連絡があって、2人共が『残りの夏季休暇中に集中して動き、区切りをつけたい』との事でしたわ。あ、因みにイリアスは残りの休み中は実家に行くそうですわ」
「成程・・・それでお姉様の家に泊まっている筈のイリアスもいないのですか」
「ええ、『邪険にされたけどやっぱり帰っておきます』と今朝早くに出ていきましたわ。オーウェルス家の馬車に乗せて行かせたので、ゲートも直ぐに通れたはずですわ」
「はいお嬢様。馬車は直ぐ帰って来て、問題ないと報告も受けました」
結局あの後エリクサーは4本にまで増えてしまい、1本は売りに、1本は研究用にと回す事にしました。
最初はエリクサーばっかりこんなに出て運が無いと思っていたのですが、どうやらサマンサ曰く、『ごっつぅ高く売れますよ!』との事だったので、ちょっぴり気分がハッピーに成りました。
「とまぁそういう訳で、サマンサ達と次に会うのは恐らく学園になりますわね」
「成程。という事はこの3日程は私と姐さんでお姉様を分け合えるという事ですね?」
「そういう事ですねマルシア様」
「・・・」
やれやれ・・・忙しくなりそうですわね!
なんて再びモテ男みたいな事を考えていた・・・その時です。
『『『カラーン・・・カラーン・・・』』』
「「「・・・っ!?」」」
鐘の音が響き、体に・・・脳に・・・得も知れぬ衝撃が走りました。
その鐘の音は・・・
小さいような大きいような音量で。
低いようで高いような音色で。
近くから聞こえるような遠くから聞こえるような距離で。
私達の耳に・・・いえ、魂にその音を届けてきました。
「な・・・な・・・んで・・・すの?」
「これは・・・」
「ええ、おそらく・・・」
聞こえて来た魂に直接響く様な音、それに私が混乱していると、マルシアとノワールは何かを知っている様なそぶりを見せていました。
なのでこの異常事態の情報を少しでも知りたかった私は、2人に尋ねます。一体これは何なのだと。
すると2人は、さも当然と言った様にこう言いました。
「「世界からの通知です」」
と。
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そして私はその後直ぐにこの事態が何なのかを知り、また驚愕の事実も知りました。
そう・・・世界に新たな魔王が認定されたという・・・驚愕の事実を。
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
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マシェリーの一口メモ
【一応これで章の区切りとしますわ。次からは3章となりますが・・・学園編は続きますわよ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
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よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】