第85話 ルドベキア鉱山4
「オーッホッホッホ!私に掛かればこんな物ですわぁ~!!」
私は消えゆくメタルムの前で笑い声を上げていました。
「「「おぉ~!!」」」
そんな私にマルシア達が拍手してくれますが・・・
「・・・はぁ・・・ごめんなさい、拍手止めてくださる・・・?」
なんだか虚しくなったので笑うのを止め、マルシア達の拍手も止めさせます。
なんだかんだでメタルムを倒した私達ですが・・・実はかなり時間を使いました。計っていた訳ではないですが、恐らく5,6時間程経ったのではないでしょうか。
なので空元気を出して笑ったのですが、虚しくなって直ぐにやめた訳ですよ、はい。
(はぁ~・・・これでは効率がいいのかどうか解りませんわね。せめてアイテムだけでもいいものが出ると嬉しいのですが・・・)
ここのシステムは経験値を多く持つモンスター(メタルム)と宝箱1つがセットになっていて、宝箱の中身はある程度ランダムになっています。そしてそれは7割くらいで良いアイテムが出るのですが・・・
(外れだと回復薬とかなんですわよねぇ・・・)
一応最上級回復薬とかなんですが、それでも外れは外れなんですよね。
なので当たりが出ます様にと念じつつ、入り口と逆の方向にある通路を進みます。
「あ、お姉様、宝箱と魔法陣があるで?」
通路の先には小部屋があり、そこにあった宝箱と魔法陣を見てサマンサが報告してきますが、私はひたすらに念じていました。
なので・・・
「当たりっ!・・・ご・・・ごほん。そうですわね!」
「・・・?」
ついついおかしな返事をしてしまったので、慌てて取り繕います。
「何でもないんですのよ?オホホ・・・さてさて、宝箱と魔法陣ですわね」
「はいな」
「うわぁ~!私、宝箱なんて初めて見ました!」
「私達も久しぶりに見ましたね」
「うふふ・・・あんまり見ませんよね・・・ラッキーです・・・」
皆先程までちょっと疲れている風でしたが、めったに見ない宝箱にキャッキャとはしゃぎ元気になった様です。
ここは1つレアアイテムを引き当てて更にいい雰囲気に・・・!そう思い私は宝箱に手をかけます。
「では開けますわよ!」
「「「おー!!!」」」
「それっ!オープンっ!」
皆が見守る中私は宝箱を開けました。
結果は・・・
「・・・」
『『『ワクワク』』』
皆がワクワクする中私はそれを宝箱から取り出し、皆に見せます。
『『『!?』』』
「回・・・復薬・・・ですわ・・・」
結果は・・・見事外れでした。
「お姉様・・・それ・・・」
「うわ・・・まじか・・・」
「えふっ!?・・・そ・・・それ・・・」
「おぉ~・・・」
「回復薬・・・でございますか」
(あ・・・あぁぁぁ・・・皆超がっかりしていますわ・・・私の馬鹿っ・・・これなら誰かに開けてもらった方が良かったですわっ!)
私の見せた回復薬に皆が『うわぁ・・・』といったリアクションを見せ、それを見て私は外れを引いた自分を呪いたくなりました。
もしもこれで『見損ないました、ファンやめます』なんて言われたらどうしよう等と内心ガクブルしていると・・・。
「う・・・うふふ・・・うふっ・・・」
シーラが変な笑いと共に近寄ってきました。
しかも片手を腰の後ろに回しているので、もしかしたら・・・『うふふ・・・お姉様がそんな回復薬なんて引き当てる無能なわけありません・・・きっと偽物です・・・』『そんな!私本物ですわ!』『ふふふ・・・本物ならこれで刺されても死なない筈です・・・』『えぇっ!?そんなっ!』『えーい・・・グサー!』『ッキャー!』ってなるのでは・・・
なんて妄想をしていたら、シーラが私の手をガシッと握ってきました。
「ひぃっ!?早まってはだめですわシーラ!」
「えふっ・・・えふふ・・・」
そして後ろに回していた手を前に出し、手に持っていた物で・・・
「ふふふ・・・ふふっ!!」
「っきゃー・・・ぁぁあ?」
「おふっ・・・お・・・おおお・・・」
私の持っていた回復薬を調べ始めました。
「ふふ・・・これはやはり・・・本物です・・・」
しかも何故かその顔は超笑顔だったので、私は訳が解らなくなりました。一体何が・・・と思っていると、シーラの言葉で漸く事態を把握する事が出来ました。
「ふふふ・・・凄いです・・・本物のエリクサー・・・初めて見ました・・・」
「えりくさー?・・・あぁ!エリクサー!」
エリクサー・・・通称『神の血』。その効能は凄まじく、ケガや病気がたちどころに治り、死にかけの重病者でも死の淵から救い上げる事が出来ると言われている薬。更に魔力も回復する事ができて寿命も延びて若返りの効果もある!・・・というのがこの世界でのエリクサーだそうです。
(あー・・・ゲームだとHPとMPが全回復するだけの物って認識でしたけど、そう言われてみれば凄い代物でしたわね)
私の認識では『超凄い回復薬』くらいの認識でしたが、普通だとそうではなかったみたいです。
「うふふ・・・エリクサー・・・すごい・・・」
しかも薬を扱う家系のシーラからしたらエリクサーの価値は物凄いらしく、瓶に頬擦りまでしていました。
「うふふ・・・やはりお姉様は神様です・・・っは・・・もしかしてこれは『お姉様の血』?」
「「「あぁ~」」」
「・・・確かにお嬢様の血ならば死者も蘇るかも知れませんね。機会があればまた舐めてみましょうか・・・」
「私の血なわけありませんわ・・・そしてノワール、血を舐めるのは止めておきなさい?・・・っていうか『また』?」
何か皆変な事を言い始めましたが、落ち着かせます。
そして何とか落ち着かせたところで、いつまでもここに居ても仕方がないので一旦出る事にして、隣にあった魔法陣を使います。
「んふっ・・・」
「おふっ!」「えはっ・・・!」「おっふ・・・おふぉぉ」「なふっ!」「・・・ヘブンッ!!」
又もやフワッとした浮遊感で変な声が出てしまいますが、無事転移は成功したようです。
「おん?ここダンジョン前やん?」
「ええ、どうやらあの魔法陣に乗るとダンジョン前に出るみたいですわね」
「へぇ~そうなんや」
ゲームではあの魔法陣に乗ると『リトライ』か『出口に戻る』を選べたのですが、ここでは『出口に戻る』一択の様です。
まぁそれはともかく、いったん外へ出て来たので私達は昼食を取る事にしました。
と言っても今から用意すると少々遅いので、再びノワールのアイテムボックスに入っているジャンクフードを食べる事にします。
そうして適当にもぐもぐと食べ終え、少し休憩と装備の点検をした後、私達は再びダンジョンへ再突入をする事にしました。
「目標としては1日2回クリアですわね。慣れたら3回行けるかしら・・・」
「うふふ・・・またエリクサー出ますかね・・・」
「大量に取れたら売るのもありやね・・・高ぉ売れそうやわ・・・うひひ・・・」
「まぁ・・・出るかもしれませんわね・・・」
私としては外れなのですが・・・他の皆が喜んでいるのでまぁいいでしょう。
「とにかく・・・がんばりますわよ!」
「「「おぉ~!」」」
「では出発!」
こうして私達は1日2回クリアを目標に掲げ、ダンジョン内へと出発しました。
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「では飛びますわよ?・・・あれ?」
しかしそれは、意外な事により早くも計画がとん挫する事となってしまいました。
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「エリクサーは残しておく派です」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですわ。
イイネ☆ブックマークがもらえると 先着でエリクサーを99名様にプレゼントいたしますわ。
マシェリーの一口メモ
【ロマンスでもエリクサーは貴重品・・・なのですが、別になくても全然問題はないので、エリクサーでそこまで喜ぶ人もいませんの。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】