第84話 ルドベキア鉱山3
ここでそろそろ隠しダンジョン『ルドベキア鉱山』について説明するとしましょう。
普通隠しダンジョンと言えば、RPGゲームをよくやっている方なら『ゲームに飽きた人向けのエンドコンテンツで難易度が激難だが激レアアイテムが有る』、こんな事を思うでしょう。
しかしこのルドベキア鉱山は少し違い、『乙女ゲーの癖にRPG要素なんて!私はイケメンと温く遊びたいだけなんじゃぁ!』という人向けのダンジョンとなっています。
なのでこの隠しダンジョン、『隠し』ダンジョンの癖に実は説明書にも行き方と攻略方法が書いてあったりします。・・・隠しダンジョンとは一体?
まぁそれはともかく、要は温くイケメンと遊びたい人向けの『敵の経験値は多く、強いアイテムが設置してある』ダンジョン、それがルドベキア鉱山なのです。
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「という訳ですわ。お分かりになって?」
「「「???」」」
「失礼、独り言ですわ」
ついつい別次元の方に喋ってしまっていましたが、まぁそういう事です。
しかしこの説明は今いるメンバーにも話しておいた方がいいので、ゲームが云々は省き、『ローリスク・ハイリターン』ダンジョンである事を説明しました。
「やはりお姉様は何でも知っておられるのですね・・・」
「ウチは前々からお姉様の事神様やって解っとったで?」
「うふふ・・・お姉様・・・イズ・・・ゴッド・・・です・・・」
「こ・・・これからはマシェリー神様と御呼びした方がいいですかね・・・?」
「私が健康でいられるのも、毎日お嬢様の色々な物をこの身に取り込んでいるからです」
「「「成程・・・」」」
「ちょっとノワール、色々な物ってなんですの・・・」
「目に見えるモノから見えないモノまで様々でございます」
「・・・」
若干1名ヤバイのも居りますが、全員私を持ち上げ過ぎでは?私は転移の魔法陣の前で全員を落ち着かせ、転移する準備をさせます。
「あくまで今言ったのは調べた結果の事ですわ。もしかしたらモンスターが強い可能性もあるので注意ですわよ?」
「「「はい」」」
「よろしい。では気を引き締めたところで・・・転移しますわよ」
念の為注意を促した後、いよいよ転移の魔法陣に乗り移動を開始します。
ゲームでは乗った後『転移しますか?』と聞かれましたが流石にそんな選択肢はでず、淡く光る魔法陣に足を乗せた瞬間にフワッとした一瞬の浮遊感と共に視界が変化しました。
「おふっ・・・」
何とも言えない気分を味わってしまったので変な声が出てしまいましたが、今の所転移したのは私だけなので誰にも聞かれていません。つまりセーフ(?)です。
「えふっ!」「ぬはっ・・・!」「ふふ・・・ふぉぉっ!」「まふっ!?」「・・・ヘブンッ!」
その後、転移して来た皆も妙な叫び声を上げていましたが、私はシレッと『優雅ではありませんわね?淑女たるもの変な声を上げてはいけませんわよ!オーッホッホッホ!』と言っておきました。
さて、それはともかくです、転移した先を確認してみると転移前の部屋とよく似た小さめの部屋でした。
続く道も同じで、通路へと続く道があるのみでした。
「これも記憶通りですわね・・・行きますわよ」
ここまでと同じようにイリアスとサマンサを先頭にして、私達は通路を進み始めます。進んだ先もゲーム通りなら、広い部屋が1つあってモンスターが一体出るだけとなっていますが・・・
内心少しドキドキしながら道を進むと無事広い部屋へと辿り着いたので、私はホッとしながら指示を出します。
「さぁ、モンスターが出ますわよ!相手は素早いので注意が必要ですわ!ノワール、相手が出た瞬間拘束を頼みますわ!」
「「「はい!」」」
「畏まりました」
私が指示を出し終わると・・・ナイスタイミングです!
モンスターが出現する前兆が起こりました!
「・・・!?お姉様!なんか変な光が集まってんで!?」
「あれが集まりきったら敵になるのですわ。そのタイミングで頼みますわよノワール!」
「はい。・・・『闇の拘束』!」
見慣れない光景に皆吃驚している様でしたがこういう時こそ冷静に、という事で冷静に指示を出し、ノワールもバッチリなタイミングで魔法を使ったのですが・・・
「申し訳ありませんお嬢様!避けられました!」
現れた敵は見事にノワールの魔法を避けてしまいました。
「なっ・・・全員注意して!」
「「「はい!」」」
「って・・・敵は何処へ・・・」
「あそこですわお姉様!ほら!あの隅っこに居てます!」
「ノワール!もう一度拘束攻撃を!」
「はい。『闇の拘束』!」
敵は予想以上に素早く、魔法を避けた後に姿を見失ってしまいましたが、どうやら部屋の隅っこに逃げていた様です。
一応もう一度ノワールに拘束攻撃を仕掛けさせますが・・・
「駄目な様ですお嬢様」
「ええ・・・そのようですわね」
やはり敵は魔法を避けてしまいます。
「ぐぬぬ・・・」
「ですがお嬢様、あの敵どうやら向こうからは攻撃を仕掛けてこないようです」
「ええ。私が調べた情報によると『素早いが攻撃力は低く体力も低い』となっていましたので、こちらが疲れた時を狙ってくるのかもしれませんわ」
「成程・・・」
私はゲームの知識から適当に情報を話しますが・・・まぁあれです、あの敵は所謂某大作ゲームに出て来る様なHPが激低いけど直ぐ逃げる経験値がめっちゃうまい敵、そんなモンスターで名前はラッキーメタルゴーレムです。
ラッキーメタルゴーレム、通称『メタルム』は攻撃を避けまくりますが10回ほど攻撃を当てれば倒せ、尚且つロマンスのシステムだと敵からは逃げないので、適当にボタンを連打していれば倒せる敵です。
なのでゲーム通りにメタルムが出現したなら余裕かなーと思っていたのですが・・・
「攻撃力は低い筈なので全員で全力攻撃して倒しますわよ!」
「「「了解!」」」
「いきます!やぁぁぁっ!・・・っく」
「うらぁぁっ!・・・ってあらっ・・・」
「うふふ・・・私は魔法で・・・『水の矢』・・・当たりません・・・」
「えいっ!やぁっ!・・・かすりもしませぇ~ん!」
「はっ!やっ!・・・申し訳ありません・・・」
「せいっ!はっ!・・・ぐぬぬ・・・思っていたより素早いですわ!」
メタルムは予想以上に攻撃を避け、『適当にボタンを押していれば勝てる?そんなわけないだろう?』状態になっていました。
ならばと思い全員で一斉に範囲魔法を使ってみたりもしたのですが・・・
「「「えぇ~・・・」」」
「っきぃー!何であたりませんの!!」
メタルムは見事に魔法を躱し、部屋の隅で悠然とポヨンポヨンと跳ねていました。
「ポヨンポヨンとそれは挑発ですのね!?絶対許しませんわよ!!」
そして本当に挑発なのかどうかは解りませんが、私はそのこちらを煽る様なポヨンポヨンとした動きにプッツン来てしまい・・・
「うらぁぁあ!これならどうですの!せいっせいっせいぃぃっ!!ずぅぅりゃぁぁあ!」
淑女な公爵令嬢というよりも、バーサーカーな蛮族姫といった感じでメタルムを追いかけ回しました。
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
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マシェリーの一口メモ
【ルドベキア鉱山はどちらかというと、救済ダンジョンといった方がいいのかもしれませんが、何故か隠しダンジョンと呼ばれていますわ。その理由は・・・多分響きがいいからですわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】