第82話 ルドベキア鉱山1
トロキアから馬車で2時間程行った場所にある鉱山の麓、ダンジョン『ルドベキア鉱山』はそこにあります。
そしてこのダンジョン、一番近くにある街が馬車で2時間もかかるトロキアですので利用するモノは少なく、近辺には鉱山で働く鉱山夫くらいしかいません。そしてそれも少し場所が離れているので、まさしくこのダンジョン近くには人が居ない状態となっております。
それでも割の良いダンジョンだったら人がいるんでしょうけど・・・
「ルドベキア鉱山で出るモンスターは全てゴーレム系でドロップ品もあまり良くないしフィールドも狭い。これ以上の情報をしっているんですねお姉様」
普通の人はマルシアの言う通りの事しか知らないみたいなので、このダンジョンに通おうと思う人も居ないのでしょう。
これは・・・勝ちましたね!
「オーッホッホッホ!まぁ見てのお楽しみですわ!きっと見たら・・・飛びますわよ?」
「・・・はぁ?」
『なんのこっちゃ?』みたいな顔をしているマルシアを余所に私が笑っていると、どうやら着いたらしく馬車が止まりました。
なので馬車から降りてダンジョン入口辺りの様子を見てみると、あまり人が来ていないのがよく解るといった感じの荒れ具合でした。
「ふむ・・・これはテントを張るのに少し整備しなくてはなりませんわね」
「ダンジョン内で野営・・・するほども無い規模ですものね。では・・・」
今回はダンジョンに泊まり込む方式ではなく、ダンジョン外で寝る方式をとります。
その理由は・・・まぁ後にして、私も野営地の整備に取り掛かる事にしました。
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荒れた地面を慣らし邪魔な草木も取り除き、そこにテントと竈を設置、この作業が思ったより大変で時間が掛かってしまい、時刻は夕方近くになってしまいました。
「荒れまくっていたせいで予想以上に時間が掛かってしまいましたわ・・・ぐぬぬ・・・森魔法さえ使えれば楽でしたのに・・・」
使える素養はあるでしょうが、未だに使えぬ森魔法・・・使える様に頑張るべきですかね?
とまぁそんな考えは置いておき、どうしましょうか・・・。
「んー・・・夕食はジャンクフードですまして、夕食を作らなくてもいい分の時間でちょっと中の様子を確認しようかしら・・・そうね、それがいいですわね」
何時ジャンクフードを食べるの?今でしょ!・・・という事で、私は全員にそう伝え、ダンジョンに入る準備をさせます。
「と言っても様子見ですわ。薬や魔道具をフルに着けた本気の装備ではなくても結構ですわ」
「「「はい」」」
本気で探索する場合は回復薬や毒薬、それぞれの奥の手である魔道具等を装備しますが今回はあくまで様子見、そこまで本気装備はいりません。
用意が出来たところで隊列を整え、先頭の前衛2人に声をかけてダンジョン内に入ります。
「それではイリアス、サマンサ頼みますわよ」
「はい!」
「はいな」
ダンジョン内に入ると私の記憶にある通り、青い炎の松明が坑道照らしていました。不思議な感じが正にゲームの通りだとちょっと感動します。
そして不思議だと思ったのはマルシアを除く全員がそう思ったみたいで、何時もよりキョロキョロとしていました。
「不思議な色の松明ですが害はありませんわ。だけど何時もと視方が違ってくるかもしれませんので、そこだけ注意ですわよ」
「「「はい」」」
「よろしい、では進んでくださいな。分かれ道は適当に進んでもらっても構いませんわ」
全員を落ち着かせると、適当に進む様に指示します。
一応マップは覚えてはいますが、様子見ですので適当でいいでしょう。
そうして3m程の幅がある道を進んでいると、少し広めの部屋へと辿り着きます。
「お姉様、部屋がありますけどどないします?」
「勿論入りますけどその前に注意事項ですわ。部屋の中に土や石の山がありますわよね?部屋の中に入るとアレがゴーレムに変化しますわ」
「へぇ・・・」
「だから慌てずに処理ですわ。シーラ、土のゴーレムには水をお願い、よく効くはずですわ。石のゴーレムはイリアスの盾とサマンサが今回持ってきた槌で攻撃を、打撃系が有効なはずですので。因みに解っていると思いますが、ゴーレムは核を破壊しなければいけませんわよ?大丈夫かしら?」
「「「はい」」」
これもゲームの知識ですが、事前に言っておいた方がいいので伝えておきます。
そうして知識を共有した所で突入を指示します。
「ではイリアス、サマンサ・・・ゴー!ですわ!」
「はい!」
「いっくでー!」
前衛2人が部屋へと踏み込むと、部屋の中にあった3つの山が動き出し形を成します。
それは見る見るうちに私達の2倍ほどの大きさの人型となり・・・
「っしゃ!先手必勝や!」
「えーい!」
「ふふ・・・『水の矢』・・・」
そうなところでメンバーは攻撃を仕掛けます。まぁ登場演出を待つ道理もないですからね。
その先手必勝は十分に効果を発揮し、岩ゴーレムの結合を阻害し、土ゴーレムも中々形を成す事が出来ませんでした。
「マルシア、先ずは土の方を。核がちょっと見えてますわ」
「解りました!」
マルシアは今回短鎗を持ってきており、その短鎗で少し露出していたゴーレムの核を一突きにします。
それで見事に核が壊れゴーレムは消失、先ずは1キルです。
「イリアスとサマンサはそのまま残りの岩ゴーレム2体へと別れて攻撃!マルシアはサマンサの方の核を狙ってくださる!?私はイリアスの方へ行きますわ!シーラとノワールは警戒とバックアップを頼みますわ!」
「「「了解!」」」
残りのゴーレムを片付ける為に素早く指示を出し行動し始めます。
私がイリアスの方のゴーレムへと辿り着くと、丁度核がちらりと見えたので持っていた杖の石突きで突きます。
「やぁっ!よし、一発ですわ!サマンサの方は!・・・あっちも終わりですわね」
見事損害なく勝利を収める事が出来た様です。
私達は念の為それぞれの体と装備をチェックし、問題が無いか調べます。
「マシェリー様、まだ全然問題ないんですが、この先もずっと盾で攻撃すると壊れるかもです。微妙に凹みと傷が・・・」
「その盾だと強度が少し足りませんのね。取りあえずそのまま使ってくださる?」
「はい」
「ウチの槌も同じくやな。これくらいで行けると思たんやけど・・・」
「ですわね。まぁサマンサも取りあえずそれでデータ取りですわね」
そんな感じで細かい問題はありましたが、このまままだ行けそうなので進む事にします。
私達はドロップアイテムを拾った後、ダンジョンのさらに奥へと歩を進めました。
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
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マシェリーの一口メモ
【私は極悪人なので変身を待ってあげませんわ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】