第7話 ワンモア!悪役令嬢達のお茶会
地獄のお茶会から3日後、私の家に再び信号機トリオがやってきました。やって来たと言うか、招いたのですが。
「「「御機嫌ようマシェリー様」」」
「御機嫌よう皆様、本日はご招待を受けて頂きありがたく存じますわ」
本来ならば1週間程時間を空けてお茶会をしていたのですが、今回はある事を思いついたので善は急げとばかりに、余り日を置かずのお茶会開催となりました。
けどやはり、忙しい身のご令嬢達は少し迷惑そうな顔を・・・していませんわね。
不思議に思った私は、お茶とお菓子が配られた後3人に話しを振ってみます。
「マルシア、サマンサ、シーラ、前回から余り日も開けずのお茶会となってしまって申し訳ありませんでしたわね。忙しかったでしょう?」
謝りながら「忙しかったでしょう?」と尋ねると、3人は少し目を泳がせながら口を開きました。
「も・・・もちろん忙しかったですけど、マシェリー様のご招待です。喜んで参加させていただきます」
「わ・・・私も予定がありましたが、マシェリー様の事を優先させて頂きました。マシェリー様のお茶会は楽しいですから!」
「う・・・うふふ・・・私もです・・・」
(・・・暇でしたのね)
本当は○○する予定だったのですがー、私も○○がー、うふふー、と忙しかったアピールをしていますが、バレバレですよ3人とも。
まぁ学園へ行くのにそこまで詰め込んで勉強する必要もなさそうなので、がっちり習い事等を詰め込んでいない限り暇も出来ると言うモノですか。
実の所、自分もそこまで忙しい身ではなかったので納得してしまいました。
変な所で作り物の世界が出てくる、結構ゆるゆる設定ですねロマンスの貴族・・・。私はヤレヤレと肩を竦めましたが、本当に寝る間もなく教育があっても嫌なのでそこは感謝です。
「そ・・・それで~マシェリー様、こんなに短い期間でお茶会を開いたのには何か理由でもあったんですか?」
「あら、マルシア様はご不満が?嫌ですわねー、嫌だったら来なかったらよろしかったのに。あ、勿論私は喜んでご招待を受けさせてもらいましたマシェリー様!」
「うふふ・・・嫌だ嫌だ・・・」
「サマンサ様にシーラ様!私はそんな事言っておりません!ただ私は・・・」
おっと・・・少し目を離したすきに言い合いが発生してしまいました。ピーチクパーチクと嫌味の応酬・・・地獄ですね。
ここは一つ、本来の作戦を発動させてみますか。上手く行けば言い合いも治まって仲良くなり、性格も矯正出来てハッピーです!
「マルシア様。サマンサ様。シーラ様。」
「「「は・・・はい!」」」
取りあえず3人の気を引く為に名前をゆっくりと呼んだのですが・・・何故か必要以上にシーンとしてしまいました。
よくよく周りを見ると、周りで控えている使用人達も固まっていますね。
よく解らなくて私も固まっていると、ノワールがスッと近づいてきて耳元で囁きました。
「お嬢様、流石に御当主様のお付き合いのある家の方を処分なさいますと、お嬢様が叱られてしまいます。どうかご容赦を・・・」
(えぇ!?そんな事私はいたしま・・・せん事もなかったかもしれませんわね?)
よくよく記憶を探ると、同じような感じで使用人をペイッ(*優しい表現でお送りいたしますわ)したことがあった様です。私ってば悪役令嬢極まってますわぁ・・・というか本作より極悪では?
私は自分の子供特有の無邪気に恐れおののいていたのですが、今はそれどころではないと場を治めに掛かります。
「ごほん・・・」
「「「「「ビクッ!」」」」」
その場にいた者達が全員体を震わせましたが、私はそのまま続けます。
「お茶が冷めておりますわね。新しいの・・・入れてくださる?」
「「はい!かしこまりました!」」
給仕係にそう言うと全力かつ静かに新しいお茶が4人に入れられます。
そしてお茶が入れ直されたところで、マルシアが蚊の鳴く様な声で声を出しました。
「ぁ・・・ぁの・・・マシェリー様・・・」
「マルシア様、そしてサマンサ様にシーラ様」
「「「ビクッ!」」」
「私は唯、お茶が冷めている様ですね?とお伝えしたかっただけですわ」
「は・・・はい!」
「お気遣い感謝しますマシェリー様!」
「うふふ・・・流石マシェリー様です・・・」
お茶会は始まったばかりでお茶が冷めている筈はありませんが、3人は触らぬ神になんとやら、余計な事は言わない方がいいと判断したらしいです。
「さて、お茶も新しく入ったところで再開いたしましょう?」
私がわざと声を出してそう言うと、その場にはホッとした感じの雰囲気が漂いました。
ヤレヤレとお茶を一口飲むと、そう言えばマルシアが何か言っていた事を思い出したので尋ねてみます。
「そう言えば・・・お茶会を開いた期間が短かった理由でしたわね?」
「ひゃ・・・ひゃい、いいえ!」
ホッと安心した所でそう言われマルシアがビクッ!となり『あ、やっぱりダメだったのね』と言うような顔を、サマンサとシーラは『あ、終わったわコイツ。ご愁傷さま』という様な顔をしていたが・・・
(見当違いですわ!転生して生まれ変わった私はそんな事いたしませんわよ!)
私はなるべく優しそうに微笑みながら話しかける事にしました。
「大丈夫。聞いてくれても構いませんのよ?」
「ぁ・・・はぃ・・・」
(解せませんわ。何故より一層死を悟った様な顔をいたしますの!?もういいですわ!)
細かい事を気にしていては話が進まないと思ったので、話を続ける事にします。
「期間が短かった理由はズバリ・・・これですわ!」
私はノワールに合図をし、ある物を3人に配りました。
「これは・・・ブロマイドですか?」
「顔が知られている魔王様の物ですね」
「他にも国王様や騎士団長様とかもありますね・・・」
私は3人がブロマイドを見ている事を確認して、話しかけます。
「そう、見ての通りブロマイドですわ。それで皆様・・・」
私が色々考えた末に決行した、令嬢達と楽しく過ごし性格を矯正する作戦は・・・
「皆様の推しはどのカップリングですの?」
その名も、『マウント合戦よりどのカップリングが好きかで自分を語れよ~BLが嫌いな女はいない~』です!
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「何故その結論に至った・・・」等思ったら、☆で評価やブックマークをして応援してくだされば幸いですわ。
☆がもらえると 妄想が、捗りますわ!
マシェリーの一口メモ
【ロマンスの世界は解りやすいように暦や時間、単位等は現実基準ですわ。1年は365日、1日は24時間、長さ等の単位は日本基準ですわ。時計等計測具もありましてよ】