第67話 アバブモ合宿編5
スッキリしたでしょう。・・・イリスがね?
勿論私も欲望を発散出来たのでスッキリはしましたが、行ったのはあくまで健全なマッサージ、スッキリ度合いではイリスの方が上でしょう。その証拠に・・・
「んー・・・はぁ・・・なんだか体が軽いです」
眠りから目覚めた途端にイリスは体を動かし始め、朝一から心身共にしゃっきりとしていたからです。
「元気ですわねぇ・・・ふぅぁ・・・」
逆に私は硬い地面の上で寝たことにより微妙に体が休まりませんでした。
私は割と野外で寝る事もあるわけですが、大体の場合が質のいい寝具に包まれて寝るというお嬢様ですので、硬い地面でも休めはしますが疲れが取れるかと言われればそうではないのです。
「ん~・・・っはぁ・・・さてイリス、いつまでも動いていないで朝の準備をしますわよ」
「あ、すいません!えへへ・・・」
しかし今日の予定も決まっているので起きたのならば動かねばなりません、なので私はイリスに声をかけて動く準備をし始めます。
予め溜めてあった水を使い顔を洗って歯を磨き、ササッと着替えを終えて外へと出ます。
「先に言って竈に火を入れてきますわ。貴女も準備が出来たら来なさいね?」
「は・・・はやっ!?解りました!終わったらすぐ行きますっ!」
お嬢様ではありますが、転生前は一般人ですし冒険者歴もそこそこあるので素早く身支度するのは慣れたモノです。
私はイリスを置いて竈の方へと向かいました。
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「では各班で決めた目標に向けて動いてください。特段問題になりそうな目標もなさそうなので私はこのキャンプ地で待機しておりますぞ」
朝食を終えた後、シフロート先生に各班で決めた目標を伝えるとそんな風に言われ解散となり、私達も動き出す為に取りあえずテントへと戻ってきました。
「では準備をしてダンジョンへと入りますわよ」
「はい!」
私達の目標はそこまで難易度が高いモノでもありませんが、ぐずぐずしていていいものでもありません。なので手早く準備を整えて出発します。
「あら・・・?」
「ん?」
ダンジョン入口へと行くと、グウェル殿下達も丁度ダンジョン内へ入る所みたいだったので挨拶だけ交わしておく事にしました。
「グウェル殿下も今からダンジョン内へ入る所でしたのね。お気をつけになってくださいまし?」
「ああ、そちらもな。イリス、君も気を付けるんだぞ?」
「はいグウェル殿下!あ、そうだ・・・・・」
イリスとグウェル殿下が話し始めたので、私もノワール達に話しかける事にしました。
「ノワール、大丈夫だとは思いますが気を付けるんですのよ?イリアスはヤバいと感じたらノワールにくっ付くのですわよ?」
「はいお嬢様」
「ヤバくなくても離れないでおきます!」
そんな感じで軽く雑談交じりに挨拶を交わした後別れ、先に入ったグウェル班と少し間を空けてダンジョンへと入るのですが、その待ち時間に私はちょっと探りを入れる為にイリスへと話しかけます。
「イリス、グウェル殿下と仲が良いのですわね?」
「あ、はい。サークル活動で一緒に行動していますから!教室でも偶に喋ったりしますよ?」
「そうですのね。あの方って結構・・・・・」
「あー、ありますね。実は他にも・・・・・・」
軽い感じで話しかけて攻略対象に対する攻略具合を探ってみると、好感度は割と高めでルートに入る事も十分可能、という具合でした。
他の攻略対象があまり絡んでこなければこのまま『緑の魔王ルート』になるかも知れませんが、まぁそれは早計でしょう。
「っと、そろそろいいですわね。入りますわよ」
「はい!行きましょう!」
暫く話していましたが、グウェル殿下達が入って時間も程々に経ったので、私達も話を切り上げてダンジョンへと入る事にします。
念の為に武器を構えてダンジョン内へと入り、周辺を見渡します。
「・・・大丈夫そうですわね」
「・・・ふぅ、ですね」
「では薬草と食料を採取しつつ進みますわよ。魔石は薬草と食料を集め終わった後に足りてなければ改めてモンスターを探す事にしますわ」
「了解です!」
「では進みますわよ」
事前に話し合っていた内容を口に出して再確認をした後、私達は森の中へと歩を進めました。
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「束ねてっと・・・できました!」
「これで目標まで後魔石1個ですわね」
「はい!・・・でも疲れましたぁ」
ダンジョンへと入って恐らく5・6時間は経ったでしょうか、私達は順調に目標をクリアしていき、残る目標までは魔石が1個となっていました。
「じゃあ一度休憩を取りましょうか。その後はノンストップでモンスターを倒して帰りますわよ」
「はーい」
焦って動いても良い事が無いので一度休憩を取る事にした私達は、腰を適当な所へと下ろします。
軽く水分と採取した木の実を口に入れて休憩を取ると、モンスターを探しに行くため森の奥へと行く事にしました。
「魔石を1個取ったら終わりとはいえ、気を抜かない様にするのですわよ?」
「はっ・・・はい!」
歩いている途中でイリスの気が抜けていそうな気がしたので注意すると、イリスの体がビクッと跳ねます。きっと案の上気が抜けていたのでしょう。
「モンスターの気配が無いとはいえいけませんわよイリス」
「す・・・すいません・・・。でも、ここまでモンスターが出てこないのは珍しいですね?」
「そうですわね、流石にそろそろ出てきてもいいのですけれど・・・」
実は休憩を取ってから既に30分ほどが経過しているのですが、故意にモンスターから避けている訳でもないのに何故か出会わないのです。
流石にそろそろ気配くらいは感じてもいいのですが・・・
「もしかしたら他の班が少し前までここら辺に居て、その人達がモンスター狩っちゃったんでしょうか?」
「無くはないですわね」
いくらダンジョンが広いと言っても狩場が被る事も有り得るので、その可能性もあります。
そういう時は仕方がないので、大人しくもう少し奥へと探しに行くしかないので、私達は更に森の奥へと行く事にしました。
「あら・・・?」
そうして暫く歩いていると、突然森が切れて広場へと出てしまいました。
「この広場にモンスターが・・・いませんね・・・」
「ですわね、残念ですわ。仕方がないから向こう側を探しますわよ」
「はーい」
未だモンスターが見つからないので、反対側の森へと行こうと広場を歩いていると、ふと思った事がありました。
(『王都周辺の森1』にこんな場所あったかしら・・・?こんな感じの広場があったのってもう少し先のダンジョン『石の森』だったはずですわよね)
ゲーム時代とは変わった点も多いため気にしても仕方がないのかもしれませんが、何となく嫌な予感がしてきました。
だって、『石の森』であった広場って・・・
「あれ?マシェリー、あれ見てください」
「え・・・?」
「ほら、あれ。広場と森の境が変な風に見えませんか?」
「・・・ええ、見えますわね」
「あれって一体何でしょう?あ!もしかして蜃気楼ってやつかも!?」
「いえ・・・あれは・・・」
『ブモォォォオオオ!』
その時、急に何かの鳴き声が聞こえましたが・・・やはりこれって・・・
「え!?何かいきなり出てきましたよ!?」
「カトブレパス・・・」
「え・・・?」
「カトブレパス。『石の森』にいるボスですわ」
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「BOSS!?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いですわ。
この物語は現在コンテストに参加しておりますの。なのでイイネ☆ブックマークがもらえると 私もボスになりますわ。
マシェリーの一口メモ
【テントで寝る時は現代みたいな便利グッズもないので、中々ハードですわよ。せめて銀マットを開発しなくてはなりませんわね!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】