第64話 ワクドキ合宿編2
シフロート先生発案の、『合宿中はランダムで選ばれた人員と一緒に動こう』で主人公のイリスと組むことになってしまった訳ですが・・・私は念の為考えて来た作戦があったのでそれを使ってみて、駄目だったらまた何か考えたらいいかと楽天的に考えていました。
(まぁ多少好感度が上下しても後で調整できますもの。気楽にやってみましょう)
という訳で、私から少し距離を取りながらこちらをチラチラと見て来るイリスに声をかけてみます。
「ねぇイリスさん?」
「ぴゃ!ぴゃい!」
かるーく名前を呼んでみた訳ですが・・・ものっすごい反応を見せてくれました。
まぁこれまで学園内でチョコチョコとウザ絡みをしたり、難癖つけたりとしていたので当然の反応なのですが、これから2日程ペアで動かなければならないので、ずっとこれだと面倒です。
なので早速考えて来た策を使う事にします。
「イリスさん。私は正直貴女の事があまり好きではありませんの、それはお解かりですわよね?」
「ぴゃい・・・」
「で・す・が!今回は私と貴女のペアで動かなければなりませんの、ですから仕方がないので《《コレ》》を使って過ごす事にいたしますわ」
私はポケットから指輪を2つ取り出すと、1つをイリスへと渡します。
「こ・・・これは?」
「これは・・・『ペアリング』ですわ」
「はぁ・・・?」
イリスは私から渡された『ペアリング』をチラリと見て、『ペアリングが何?』みたいな顔をしていましたが、私の作戦はここからです。
「貴女ただのペアリングだと思ってらっしゃる?違いますわよ?これは『ペアリング』という名前の魔道具ですのよ」
「魔道具『ペアリング』ですか?」
「ええ、効果は『付けている間互いの事が好きになり、まるで長年の恋人の様に感じる事ができる』というモノですわ。本当は嫌ですが、これでも使わなければ貴女と一緒だなんてやっていられませんわ!」
「ほへぇ・・・そんな魔道具があったんですね・・・。・・・というかそんなに嫌わなくても・・・」
イリスは渡された魔道具を見て『凄い!』、私の言葉に『酷い!』と顔色をコロコロと変えていましたが・・・すいません、全部嘘なんですよね。
(これただの何処にでもある指輪ですし、別に本当は貴方と一緒に居ても全然平気なんですのよね。でも私にも色々と事情がありますの、ごめんなさいね?)
心の中でごめんねと謝りつつも、イリスに指輪をつける様に動きます。
「私の様な家柄も良く美しい貴人とひと時でも仲良くなれるだなんて、貴女幸運ですわよ?さぁ早くおつけなさい?」
「え・・・あ・・・はぁ・・・」
「仕方がない方ですわね、ほらこれでいいですわ。・・・ほら、そっちも私にお付けになって?」
「は・・・はい」
言葉で適当に捲し立て、その後持っていた指輪をイリスの左手薬指にオン!その後困惑しているイリスに左手を差し出し、指輪をつけさせました。
「よろしくってよ。これで段々と効果が出て来る筈ですわ」
「待ってればいいんですか?」
「ええ、・・・ほら、段々心臓がドキドキしてきたでしょう?魔道具の効果が出てる証拠ですわ」
「い・・・言われてみれば確かに心臓がバクバクしてきました!背筋も何かゾゾォ~って!あわわわ・・・た・・・確かに恋人のように思えて来たかも!」
「私も貴女が愛しく思えてきましたわ・・・。ねぇ・・・イリスって呼んでもいいかしら?」
「は・・・はいぃ・・・。わ・・・私もその・・・マシェリーって・・・」
「よろしくってよイリス」
「マシェリー・・・」
「イリス・・・」
私達は手を恋人の様に繋ぎ、至近距離で見つめ合いますが・・・うーん、この子主人公ですよね?こんなにあっさりと引っかかるなんて、実はチョロインでは?
心臓がバクバクしてる?それはね、魔力を使って威圧しているから恐怖でバクバクしてるんですよ?
自分の詐欺師の素質に恐ろしくなりつつも無事に作戦は成功、これで2日間いい感じに過ごせるでしょう。
「さぁイリス、仲が良くなったところでシフロート先生の所へ行きますわよ」
「はい!」
新パーティーの顔合わせが終わった組はシフロート先生の所へと集まっていた為、私達もそちらへと行くと、シフロート先生は集まった新パーティーの様子を見て頷いていました。
「合宿中はこの組み合わせで動く事になるので、仲良く協力する様に。そして早速ですが、軽いミッションをこなしてもらいますぞ」
基本的なキャンプ地の設営等はすでに終わっているので、今の所仕事という仕事が無いので冒険者らしいミッションを行うようです。
まぁ組み分けまで行ったのですから、『ここから自由時間です』とはなりませんよね。
「先ずは◇マークの4人組、班長は誰ですかな?」
◇マーク班はペイル、サミュエル、アウギュスト、ザガンの4人。見事に男ばかりの班になりました。
その中で班長はペイルになった様です。
「俺です」
「ペイルさんですね、解りました。ではペイル班はここのすぐ近くにあるフィールドダンジョン『王都周辺の森1』で魔石を2つ、薬草2束を取って来て下さい」
「はい」
「次に△マークの3人組、班長は誰ですかな?」
「私です」
△マーク班はマルシア、サマンサ、シーラの信号機トリオでした。・・・シフロート先生、この組み分けって不正はなかったんですよね?何か凄い偏りが・・・。
私が組み分けの不正を疑っている間にも話は続き、マルシアを班長とするマルシア班のミッションは魔石1つに薬草2束の収集と、人数の分かペイル班より少しだけ軽いミッションになっていました。
「では次、□班。班長は誰ですかな?」
「僕だ」
□マーク班はグウェル殿下、ノワール、イリアスの3人で、班長は勿論グウェル殿下です。
ミッションはマルシア班と同じく魔石1つに薬草2束の収集となっていました。
(男性1人に女性2人、まぁサークルメンバーは真面目な方ばかりで大丈夫だと思いますが、手を出したらちょん切りますわよ殿下)
これより2日間程グウェル殿下は女性2人とパーティーを組むわけですが、組む相手が他のメンバーよりも大人かつセクシー(私目線)なノワールに、可愛らしいイリアスと、普通の思春期真っ盛りの男の子なら涎を垂らしてしまう美人2人なので私は気が気でなかったのですが、もしもグウェル殿下が2人に手を出そうものなら王子から王女にしてやろうと心に誓いました。
「最後に○班ですが、班長はどちらですかな?」
「・・・マシェリー、呼んでるよ」
「え・・・?あ、はい。私ですわ」
グウェル殿下王女にしてやる計画を考えていると、私達の班もシフロート先生に呼ばれていたみたいで、私は慌てて返事をします。
すると他の班同様にミッションを与えられたわけですが、人数の関係か一番軽いミッションとなっており薬草2束の収集のみでした。
「あの、シフロート先生?もうちょっと難しいミッションでも大丈夫ですわよ?」
「いえいえ・・・マシェリーさん達は2人だけですし、薬草2束の収集だけでよいのです。まぁ時間が余ると言うならば・・・ゆっくりと交流でもしてもらえればよいですぞ?」
流石に簡単すぎると抗議してみると、ウィンク付きでそんな事を言われましたが・・・やはりこの組み分け、不正があったのでは?
「解りましたわ」
ですが今更言った所でどうしようもなさそうなので私は頷き、今回はでっち上げた設定で乗り切っていく事を決意しました。
・・・ええ、仕方がないですからね?仲良く(意味深)しようと思いますよ?
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。この物語は現在コンテストに参加しておりますの。イイネ☆ブックマーク等で応援よろしくお願いいたしますわ。
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マシェリーの一口メモ
【不正はなかっ・・・たこともなかったらしいですわ。】
マシェリーより宣伝
【今更ながら作者の作品紹介ですの。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますわ。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】