第60話 夏季休暇前
マシェリーよりお詫び:誤字修正いたしましたわ。 8/23
主人公と黄の魔王の邂逅より1月ほど経った今、私とサマンサはにやにやと笑っていました。
「サマンサ、貴女も悪ですわねぇ・・・」
「お姉様こそ・・・へっへっへ・・・」
「お嬢様、最近淑女としての作法が乱れ過ぎでございませんか?」
「そっ・・・そんな事ありませんわよ?」
黄の魔王より聞いた情報で稼いだお金を前に笑っていたら、ノワールに注意されてしまいました。
確かに最近前世の早乙女玲とも原作のマシェリー・フォン・オーウェルスとも違ったオリジナルの人格が形成されてきた気はしていましたが、それはどうやら淑女と呼ぶには程遠い、少しアレな人格の様でした。
まぁ私的には全然不満はないので、ノワールの『淑女であれ』という注意は程々に聞いておく事にします。
「それはともかく、これだけ軍資金があれば自由に動けそうですわね」
実家から引っ張って来てもいいのですが、そうするとあまり知られたくない使用用途まで知られてしまうかもしれないので、極力ならば自分達で稼いだお金で行動したいのです。
それにこれは後々魔王になり、実家から出た後やっていけるかの予行演習でもあって、今回の稼ぎを見る限りでは、サマンサが付いて来てくれるのならばなんとかなりそうです。
「それには無事学園を同時期に卒業する事は必須なのですが・・・貴女達、期末考査の勉強は十分なのかしら?」
現在は7月の中頃で、もう少ししたら期末考査が待っています。1学期中はテスト内容が基礎教科3種だけとなっているのですが、ここで気を抜いていると後々に響いてくるのです。
なので勉強は十分なのかと聞いたのですがどうやら全く問題ないようで、全員からバッチリだという返答を貰いました。
「ならよかったですわ。のっけから赤点で留年になったりでもしたらシャレになりませんもの」
「そないな事ありえませんってお姉様」
「そうですよお姉様、そんな事にはなり得ませんよ」
「うふふ・・・そんな事になったらお姉様のファミリーから追放ですね・・・ふふ・・・」
「あはは・・・平民である私は成績不良だと退学になっちゃいますから、それこそシャレにならないので気を付けてます」
「私はお嬢様と何時も勉強していますので問題はありません」
皆でそんな事を言いながらアッハッハと笑い、夏季休暇に入ったら何をしようかー等と私達は話し合いを始めました。
そして数日後・・・期末考査の日がやって来て・・・
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「それではこの後期末考査の順位を掲示板に張り出しておきます。皆さんそれを見て自分がどのくらいの位置にいるか確認してください。それでは今日はここまでです」
期末考査が終わり、個別にテストの結果をクラス全員へと知らせた後、シフロート先生は掲示板に張った順位を確認して自己評価して見ましょうと言って教室を出ていきました。
私達は何時ものメンバーで集まり、テストの結果を教え合いますが・・・
「結果・・・全員問題なしですわね」
数日前に『期末考査は問題ない!ハッハッハ!』と言った後に、『あれ?これってフラグなのでは?』と思って少し心配していましたが、フラグではなかったようでホッとしました。
しかもなんと、全員結構いい点数を取っていて、掲示板を見に行くと全員が上位に入っていました。
「貴女達頑張りましたわね!全員が20位以内に入ってるじゃないですの!」
「お姉様に恥かかしたらあかん思て、皆頑張ったんです!」
「ええ、当然の様に満点で1位を取るお姉様の元にいるからには、私達も優秀でなければなりませんから」
嬉しい事を言ってくれる皆を褒めて上げながら、そう言えば主人公のイリスはどのくらいなのかと気になって探してみると、イリスは何と3位になっていました。
原作ではパラメーターの関係上、期末考査で3位は無理なはずでしたがこれも現実となった影響なのでしょうか?
そんな事を考えていると、視界の端にそのイリスが見えました。
「やるなイリス、3位とはすごいではないか」
「グウェル殿下こそ1位タイじゃないですか!しかも2回連続で!」
「まぁこれくらいできなくてはな・・・。ところでどうだ、この結果をねぎらうと言う意味でサークルのパーティーメンバーでも誘って食事会でもしないか?」
「あぁ~いいですねぇ!やりましょう!」
イリスの横にはグウェル殿下も居て、ちょっと喋った後に話に出ていた食事会をする為か、護衛の2人と共に何処かへと歩いて行きました。
(順調に仲良くなっているみたいですわね、よろしくってよ。あぁでも、悪役令嬢としてはまた後でちょっかい出してこなくてはなりませんわね・・・面倒ですわねぇ。まぁ今はいいでしょう、こっちも打ち上げですわ!)
悪役令嬢的には主人公が攻略対象と仲良くなり始めたら邪魔をしなくてはいけないのですが、取りあえずそれは後で良いでしょうという事で、私達も打ち上げをする事にしました。
前回は私の部屋でしたわけですが、今回はサークル活動の一環という言い訳を使い学園外へと行く事にしました。
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学園外で楽しく打ち上げをし部屋に戻って来ると、部屋に残っていた使用人からある一通の手紙を受け取りました。
「あら・・・うん、予想通りですわね」
手紙の差出人を見るとイニシャルだけが書いてあったのですが、手紙を読んでみると予想通りの人物からで間違いが無さそうでした。
「夏季休暇に入ったら一度会って話ね・・・十中八九あれですわよね。仕掛けも始めていたので完璧ですし・・・よし、明日はこれの作戦会議ですわね」
中間考査が終わった頃から考えていた計画の細工はほぼ完璧となっており、後はマルシア達に話して作戦を詰めていくだけとなっていたので、明日にもその作戦会議を開こうと私は計画を立てました。
「さぁ・・・始めますわよ、サブストーリー『学園の裏支配者』!」
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
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☆がもらえると 山吹色のお菓子をプレゼントいたしますわ。
マシェリーの一口メモ
【中間・期末考査は2学期より選択授業も入ってくるので、そこからが本番といった感じですわ。】
マシェリーより宣伝
【今更ながら作者の作品紹介ですの。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますわ。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】