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第46話 悪役令嬢、やってみました。

 主人公をストーキングした翌日、私は心地よい気分で目覚めを迎えていました。といってもそれは別にストーキングが楽しかったとかではなく・・・


「ん~・・・今日も目覚めパッチリですわ。やはり健康には適度な運動ですわね」


「はい。一時期やられていた無茶な量ではなく、適度な量ならば体には良いかと・・・」


「解ってますわよ」


 唯単に、日々行っているトレーニングによって健康管理がなされている結果でした。


「最強も一日にしてならず、毎日コツコツですわ」


「はい。まさにその通りかと」


「おっと・・・何時までもベットの上で喋ってる訳にもいきませんわね。朝の支度をいたしますわよ!」


 私が声をかけると、ノワールと共に待機していた使用人達が動き出します。この子達は私が家から連れて来た使用人で、以前に魔力検証にも付き合ってくれた4人です。

 4人の使用人は手分けをして、私の身だしなみを整えたり食事の準備をしたりしてくれ、あっという間に支度が整い、後は鞄を持って部屋を出るだけとなりました。


「ありがとう、パルフェ、エリノーラ、ヘリンダ、ミアサ」


「「「「とんでもございませんお嬢様」」」」


 この4人は魔力の検証の時から何かと接する機会が多かったので、今回学園に来るにあたり連れて来ました。

 公爵家で働ける人材だけあって仕事も出来るので、何かと重宝できる4人です。


 準備も終わったので、使用人4人+ノワールとコミュニケーションを取りながらお茶を飲んでいるとドアがノックされ、来客を知らせてきました。

 大体誰かは解っていたのですが、ドア前に行ったパルフェが戻ってくると予想通りの人物の来訪を知らせて来たので、招き入れる様に許可を出します。


「入ってもらって?後お茶の用意もね?」


「「「「畏まりましたお嬢様」」」」


 指示を出すや否や、使用人達は音も立てずに素早く動き出しますがこれは何時もの事。私の使用人達は出来る子たちなのです。


「流石ですわ・・・と、おはようサマンサ」


「おはようございますお姉様」


 うんうんと頷いているとサマンサが来たので挨拶をし、座る様に促します。


「恐らく今日も最後になるイリアスが来るまで時間があるでしょうから、それまではゆったりお茶でも楽しんでいませんこと?」


「ええですね、賛成ですお姉様」


 何故私が準備も終えたのにゆっくりしていたか、それは教室での悪役ムーブ等にも関わってくる事なのですが、我が悪役令嬢ファミリーを待つためでした。


(原作でもありましたが、やはり群れて登場すると悪役っぽいですものね)


 ある程度ストーリーを管理する為にゲームの動きを真似しようと思っている訳ですが、流石にゲーム通りの動きをする事は私には出来ません。

 なんせ恐らくゲームに出て来た悪役令嬢ムーブを現実でやるとなると、『R18!』みたいな事もありえるので、『やらなければお前が死ぬ!』と言われればやるかもしれませんが、そうでなかったら流石に『ゲームのままのムーブを実行!』というのはやりづらいのです。


(まぁ出来る限り同じような感じにしておけば大丈夫ですわよね、もし問題がでてきたら適宜考えればいいですわ)


 以前も言いましたが、ここは0と1で制御されている訳ではない現実世界。例え同じ様に行動しても絶対の保証がないので考えて動くしかないのです。


「お姉様?」


「あらごめんなさい。ボーっとしてしまいましたわ」


 そんな事を考えていたらサマンサの話を聞き逃してしまったので、そこからはちゃんとサマンサの話に集中することにしました。

 そうしてサマンサと話していると、やがてマルシアとシーラ、それにイリアスも来たので私達は部屋を出て学園へと向かう事にしました。


 ・

 ・

 ・


 ここで一応説明しておくと、授業は朝から昼まで昨日決まったクラスで基礎授業3種を行い、昼食・昼休みを挿んで午後から選択授業を何種かとなっています。

 本日は未だ授業一日目という事で選択授業は無しで、基礎授業のクラスにてオリエンテーションという事になっています。


 なので先ず、生徒達は決まった基礎授業のクラスの教室へと登校するのですが、私達のグループは腐っても上位グループといった感じで、最上位成績の『1組』へと組み込まれました。


「というか、イリアスも1組でしたのね?優秀ですわね貴女・・・」


「えへへ・・・ありがとうございますマシェリー様。私って机の上の勉強だけは得意で。代わりに魔法の実戦とかは駄目なんですけど・・・」


「それを補うほどの余りある優秀さですわ。だから誇りなさい?」


「は・・・はい!えへへ・・・」


「やけどあんた、気ぬいとったらあかんで?お姉様について行くんやったらある程度実力もいるからな?」


「は・・・はい!解りましたサマンサ姐さん!」


 可愛いイリアスが順調にチンピラちゃん4号になりつつありますが、それは置いといて・・・。


 私達は今教室の前まで来たのですが、今後の為にもここで一発悪役ムーブをかましておきたかったので、私は心の中のスイッチを押してからノワールの方をチラリとみて合図を送ります。

 四六時中一緒にいるノワールは流石で、それだけでするべきことを理解し、扉を恭しく開けてくれました。

 私は目だけでノワールにありがとうと伝えると、懐から扇子を出して口を隠しながら教室の中へと入ります。


 教室の中へ入ると、8割方の生徒が既に登校していたのかざわざわと騒がしかったのですが、私は注目を集める為に、魔力を一瞬だけ爆発的に解放させます。


 すると・・・


『シーーーン』


 と、まるで教室の中の時が止まったかのようにざわめきが止まり、教室内にいた全員が私の事を注目しました。


(成功ですわね。ワザと多めに放出したから全員が気づいた様ですしね・・・っと、次は・・・)


 教室は教卓と黒板が一番低い位置に存在し、離れるほど席の位置が高くなる構造をしています。

 なので人間の心理というのでしょうか、一番高い位置は人気があり直ぐ埋まってしまいます。まぁかと言って、今年は王族が居るので例外もありますが。


(その例外のグウェル殿下用に最後列の中央は開いてますわね。そして左右は埋まっていると・・・)


 それを確認した所で私達は残っている前の方の席を無視し、最後列の右側へと移動します。

 そこには誰だか知りはしませんが、恐らく貴族のグループが座っていました。


「・・・」


 私はそのグループを無言で見つめます。


「え・・・?」「なん・・・?」「え?え?」


 そのグループの面々はいきなり自分達を見て来たど派手な一団に面食らっていましたが、察しが悪いのか戸惑うばかりでした。

 そしてその様子に焦れたのか、私のチンピラちゃん1号が動き出します。


「どきや」


「え・・・は?」「何言ってんだ?」「え?え?」


「おどれらお姉様が邪魔や思てんのがわからんのか?さっさとどきや言うてんや」


「「「ひゃ・・・ひゃい!」」」


 私のチンピラちゃん1号・・・サマンサは、可愛い容姿とは裏腹のドスの利いた声でそこに居た方達に声をかけ、見事立ち退かせることに成功しました。


「お姉様!どうぞどうぞ!」


「よろしくてよ」


 そして席が空くと、先程のドスの利いた声と一転して超ネコナデ声になったサマンサに誘導され、私はその空いた席へスッと座り見事最後列の席をゲットする事に成功しました。

 その様子は勿論教室の全員が見ていて、全員私が目線を向けるとサッとそらしました。


(うん、完璧ですわね)


 私が行われた一連の動きの完璧さに心の中で頷いていると教室のドアが開き、まだ来ていなかったグウェル殿下が入ってきました。

 グウェル殿下は不思議な雰囲気漂う教室に首を傾げていましたが、お付きの2人に誘導されて席へと着くと何やら本を読み始めたので、気にしないことにしたようです。



 そうしてその微妙な雰囲気は担当教員が来るまでずっと続き、私の悪役令嬢ムーブは無事成功を見せました。



 マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「なりたくないのに悪役令嬢ムーブ完璧やん」等思ったら、☆で評価やブックマークをして応援してくだされば幸いですわ。

 ☆がもらえると 天使系令嬢ムーブもいたしますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【前回言っていた連れて来た使用人達とは、あの子達のことでしたのよ?予想通りでしたかしら?因みに1人は名前も初登場ですけれど、今後も登場するかは未定ですわ】


 マシェリーより宣伝

【今更ながら作者の作品紹介ですの。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますわ。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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