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第40話 1章エピローグ

 死・・・それは言うまでもなく初めての経験です。


 転生したのですから『経験しているじゃないか』と言われるかも知れませんが、気づいたらこの体に変わっていたので死を経験したとはいえません。

 それにもしかしたら、実は転生して前世を思い出したのではなく、意識だけが転移した所謂『憑依状態』だったりしたのかもしれませんし。


(だから死んだ状態というのは初めてですわ・・・存外生きている状態とあまり変わりませんのね・・・)


 呼吸もしている気がしますし、体も動かせる気がします。


 ですが生きている時と決定的に違う所が1点だけあって・・・


(真っ黒で何も見えませんわ・・・)


 世界との境界線がなく、まるで自分と世界が一体になったかのような、そんな気になってしまいます。


「黒はノワールの色・・・まぁそれならいいかもしれませんわね・・・」


「うぅ・・・そんな事を言ってくれるなんて光栄でございますお嬢様・・・」


「・・・ふぇ?」


「っと・・・もう少しお待ちくださいませ。直ぐに片付けますので『影の千槍』」


 ぽつりと呟いた言葉に何故か返事をされ、何が起こっているのか全く分かりませんでした。

 しかし私が混乱している間にも状況は進み、やがて目の前が黒一色から通常の風景へと戻ると・・・


「あ・・・が・・・」


「ぐぺっ・・・」


「「「「・・・」」」」


 カラーズの全員が虫の息・・・一部はもう息をしていない状態になっていました。


「お嬢様に手をだす不届きモノ共めがっ!生きているやつは運がなかったと思いなさい!後で死んだほうがましだったと思えるようにしてあげましょう!」


 見える様になった風景の中には、怒髪天を衝くといった感じで怒りを顕わにするノワールが居り、どうやら私は間一髪の所で彼女に助けられたようでした。


「ノワール・・・来てくれたんですのね・・・」


「お嬢様!申し訳ありませんでした!やはり何があってもついていくべ・・・はぁぁっ!?お嬢様っ!御髪がっ!?それに怪我もされてっ!?こ・・・このドグサレ共がぁぁああ!!!」


 何故ここが解ったのかは解りませんが、来てくれた事へと感謝の言葉を言おうとしたのですが、ノワールはそれを遮って言葉をまくしたて、挙句はまだ生きていたカラーズの者達の息の根を止めに動こうとしました。


「ノワール、それよりもお願いがありますわ」


 しかしそれよりもしてほしい事があったのでノワールを引き留め、ピタリと動きを止めてこちらへと振り向いたノワールへとお願いを口に出します。


「マルシアとサマンサとシーラ、3人を早く助けてあげてほしいのですわ」


 3人ともあれからは危害を加えられてはいませんでしたが、最初に与えられた怪我が大きかったので未だ不味い状態です。

 ポーションで多少の応急処置は出来ましたが、あくまで応急処置。早く本格的な治療をしなければ危ないかもしれません。


「・・・畏まりました。失礼いたしますお嬢様」


 ノワールは私からのお願いを聞いて3人の事を思い出したらしく、私を抱えて3人の元へ向かい様子を確認しました。

 3人は気を失っていて、私が渡した2本のポーションは空になっていましたが、やはりそれだけでは足りないみたいでした。

 ノワールもそれに気付いたのか、自分のアイテムボックスから追加でポーションを取り出して3人へ与えたのですが・・・


「思ったより傷が深そうでございます。応援を呼びますのでお待ちください」


 手持ちのポーションでは役不足だったのかここでの治療を諦め、応援を呼ぶことにシフトしたようです。

 そんなに容体が不味いのかと思ったのですが、命事態は大丈夫だと教えられました。


「そう・・・です・・・の・・・」


「お嬢様ッ!?」


 3人が一先ず無事だったのと、ノワールが来たことに安心して気が抜けたのか、急に体から力が抜けていく感じがしたと思ったら・・・何時の間にか私は気を失っていました。



 ・

 ・

 ・



 ここからは私達が攫われた後に起こった事、私が気を失っている間に起きた事、それらを後からノワールに聞いた事です。



 先ず私達が攫われてからですが・・・


 ノワールが渡してくれたアイテムボックスが使える魔道具、あれには少し条件がありますが位置を大まかに特定できる機能もあったらしく、私が捕まっていた建物を出た時点でその信号をキャッチし動いていたらしいのです。

 動いて直ぐに森の中で爆発があった等の証言があったので、捜索隊を編成し捜索していた所、捜索隊にいたノワールが黒の魔力を感じて1人魔法を使い先行したとの事です。


 そしてここからは私が気を失ってからの事ですが・・・


 無事私達を助けたノワールは狼煙を上げて近くまで来ていた応援を呼び、私達を町まで運んで治療をしたそうです。


 カラーズの者達といえば・・・生き残っていた者達はその時に捕らえられて街へ護送、後に尋問を受けたそうです。

 しかし・・・何故か尋問が始まって早々に死亡したらしいです。

 原因ははっきりとはしていませんが、何らかの魔法による遠隔操作、若しくは時限式の魔法が発動して死亡したのでは?という説が出ていますが、『誰が、何の目的で』やった事なのかは未だ不明となっています。



 ・

 ・

 ・



 次に私が目を覚ました時、運ばれた街にある治療院のベットの上で先程の話を聞いた後、私はそれを話してくれたノワールに抱きしめられました。


「お嬢様・・・本当に無事でなによりでございます・・・」


「ええ・・・それも貴女が助けてくれたからですわノワール・・・」


 ノワールへと助けられたことの礼を言うと同時に私からも抱きしめ、感謝を示すかのように力を入れます。

 長い時間そうしていましたが、2人共落ち着いてきたのか、どちらともなく力を緩めて少し離れます。


(けれど本当に助かりましたわ。ノワールが少しでも遅れていたらきっと私は本当に死んでいた筈ですもの・・・そう・・・結局彼女達を助けれないまま・・・)


「お・・・お嬢様?」


「え・・・?あら・・・?おかしいですわね・・・」


 落ち着いたことによりそのときの事を思い出すと、悲しくもないのに何故か私の目からは涙があふれ出していました。

 ノワールはそれを見て「どこか痛い所が!?」と心配してくれますが、私の体はさほど痛みを発してはいませんでした。

 ならばこの涙は痛みによるモノではなく・・・


「あはは・・・ノワール・・・この涙は・・・悔し涙ですわ・・・」


「悔し涙・・・でございますか」


「ええ、無力な自分が・・・悔しいのですわ・・・」


 結局の所、私は負けました。

 結果良ければ全て良しという言葉も有りますが、少しでもノワールが遅れていたのならば私は死に、あの3人も売られていたでしょうし、助かった今回でもあの3人は小さくない怪我を負いました。

 そして・・・もしもまた同じ様な状況に陥った時助けてほしいと願っても、それが叶う確率は極小です。 


「強く・・・強くなりたいですわ!何も失わなくても済む様に!」


「お嬢様・・・」



 その後再び意識を失うまで、私はノワールの胸の中で泣いていました。



 ただひたすらに自分の無力を悔やみ、強くなりたいと願いながら・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」等思ったら、☆で評価やブックマークをして応援してくだされば幸いですわ。

 ☆がもらえると これからの物語の励みになりますわ!


 お知らせを1つ、作者コロナワクチン接種により2,3日更新が遅れるかもしれませんわ。ご容赦くださいませ。


 マシェリーの一口メモ

 【これにて第一章は終わりですわ。次からは第二章となりますの。】


 マシェリーより宣伝

【今更ながら作者の作品紹介ですの。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますわ。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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