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第3話 勇者ノワール?

 お詫び:最後の方の精霊の儀と学園入学の年数を修正。

 気が付いたら悪役令嬢になっていて、どうにか破滅を回避しようと考えても出て来るのは暗い未来。

 ならばいっそ、一国の王でさえも気を遣わなければならぬ程力を持つ存在の魔王になる!俺はそう強く決意し、お付きであるノワールに宣言した。


「かしこまりましたお嬢様」


「解ってくれたのかノワール!」


「はい。勿論でございます」


「そうか・・・ごめんな。よろしく頼むよ」


 ゲーム本編でもマシェリーに最後まで付き合い一緒に退場となったノワールだ、当然俺に付いて来るだろう。

 そうなると辛く険しい日々が待つだろうから先に謝ったのだが、ノワールはやはりあっさりと承諾してくれた。


(何でこんなにも盲目的に付き従ってくれるか解らないけど、今の俺には感謝だな)


 いきなりロマンスの世界に転生してしまった俺には誰一人味方は居ない。しかしマシェリーにはノワールが居てくれる。

 本来の2人には悪いけど、有り難く利用させてもらおう。


 心の中で2人に謝罪と感謝を捧げていると、ノワールが再びアイテムボックスを使って何かをしていた。鏡を片付け代わりに何かを取り出している様だ。


 何をしているんだ?と様子を見ていると、ノワールは取り出した2つの物の内の片方を俺に渡してきた。


「ん?」


「ごほん・・・それではまいります。・・・。見つけたぞ魔王め!」


「え?」


「勇者ノワール・・・ 見 参 ! 私が来たからにはお前もここまでだ!覚悟しろ!」


 ノワールはいきなり意味不明な事を始めた。なんだろうこれは?


 俺の頭が疑問で一杯になり混乱していると、ノワールが「あれ?」と言った表情になり、行っていた即興劇みたいなものを止めた。


「お嬢様?どうしたのです?」


「いや・・・どうしたのってこっちの台詞なんだけど?何今の?」


「え?何時もの通り魔王の敵役ですが・・・?お嬢様は魔王役でよろしかったのですよね?」


(ん~???・・・・・・あぁぁぁあ!まさかこいつ!?)


 ノワールの言った言葉が最初は理解できなかったが、よくよく考えて理解した。


「俺が魔王になるって、『魔王ごっこで魔王役になる』って事だと思ったな!?」


「はい?違うのですか?」


「ちがぁぁぁぁう!」


 俺は渡された棒・・・杖のつもりだろうか?を床に叩きつけながら叫ぶ。


「俺は本当に魔王になるの!魔王を目指すの!」


「はぁ・・・?そうなのでございますか?」


 改めて魔王になると言ったのだが、ノワールは全く信じておらず生返事を返してきた。

 何故魔王になると言った言葉を信じてくれないのだろうか!?マシェリーの圧倒的なスペックを知っているなら信じてくれてもいいではないか!


「もう本当にぃ!・・・って待てよ?なあノワール?」


「何でございましょう?」


 ノワールは俺が床にたたきつけた棒と、自分が持った棒をアイテムボックスに片付けると振り向き、返事を返してきた。


「俺の使える魔法が凄いってのは解ってるよな?」


「お嬢様の御髪と瞳の色からして凄そうだと言うのは解りますが、まだ精霊の儀を受けておりませんので解りかねます、申し訳ありません。しかし、確実に良い結果が出るという事を私は信じております」


「そ・・・そうか。ありがとう」


 ノワールがズズイと俺に顔を近づけながら話すので思わず少し引いてしまったのだが、ノワールは気にせずに引いた分顔を近づけて来た。

 それを手でぐいぐいと押しやりながら髪と目の色、それに精霊の儀の事を考える。



 ロマンスには10歳になると精霊の儀というものを受けるという設定がある。

 これを受けると自分の属性を知ることが出来るのだが、一応それ以前にも知る方法が存在している。

 それが髪と目の色だ。

 髪と目の色は使える属性の色が出るらしく、赤なら火、青なら水といった具合だ。


 しかし『一応知ることが出来る』と前述した通り、必ずしも色の属性が出るとは限らない。

 赤い髪の者が精霊の儀を受けたが結果は属性無し、これも十分あり得るのだ。

 こういう判定が出るのはほとんどが平民で、貴族階級だと99%は属性が出る。


 つまり魔法を使える者こそ貴族、魔法を使えない平民を統べる者達である!・・・というのがロマンスの設定だ。



 勿論の事ながらこれはゲームの最後では否定され、それによって色々世界が変わっていくと言う事になるのだが・・・まぁそれは今はいいだろう。

 今重要なのはマシェリーがまだ精霊の儀を受けていないという事だ。


(俺は勿論ゲームでこれからの事を知っているから、マシェリーが6属性使えるチートキャラだという事を知っている。しかしノワールからすれば『まだ仮免状態の運転手』状態か。設定では確か精霊の儀を受けないと魔法は使えないともあるし、そりゃぁ運転もしたことが無い奴が『F1ドライバーになる』って言った所で『頑張ってください』としか言えんわな)


 ノワールが気のない返事をしたのは当然か・・・と少し反省をしつつ、そういえば・・・と気になった事を質問してみた。


「因みにノワール、おれ・・・いや私って今何歳だ・・・です?」


 質問をしたのだが、俺と言ったところで少し圧を感じ、何歳だと言ったところでまた圧を感じたので言葉遣いを少々直す事にした。

 微妙な感じになったのだが良しとしてくれたのか、それまでほぼ表情が変わらなかったノワールが少しだけ微笑みながら喋った。


「ようやく言葉遣いを正してくれましたが、それではまだ御当主様と奥様に叱られてしまいますお嬢様。本日のお勉強は終わりでしたが、私がこの後少し言葉のお勉強を見て差し上げます」


 全然良しではなかった。


 その後ノワールは「先程までは大丈夫でしたのに、一体何故なのでしょう・・・」と悩み始めたが「それは中身がオッサンになったからだよ」とは言えなかった。


「あ・・・あの、それで私は一体何歳でしたっけ?」


「・・・ふぅ、それは私を試していらっしゃるのですかお嬢様?しかし簡単な問いです、先月に8歳になられました」


「成程・・・です」


 今が8歳・・・精霊の儀が10歳で、原作は学園へ入学するのが12歳なので、今が何月何日か解らないが4年くらいはあるか?

 色々考えなくてはいけない事があるが、先ずは精霊の儀がキーポイントになりそうだ。



 俺はノワールに色々質問をしながら、これからどうするかの将来設計や気になる疑問等を考える事にした。



 作者より:読んでいただきありがとうございます。

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