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第252話 戦いの後の話

 王都ではちょくちょくと貴族がサロンを開き、そこで交流会などを行っています。

 これには紳士だけでなく淑女も多く参加し、実に様々な話題が飛び交う場所となっています。

 そんなあるサロンが本日も開かれていたのですが、その日の・・・いえ、最近の話題は2つの話題で占められていました。


「セウォターカンドからは輸入品も多くはないが少ないとも言い切れない。どうなるのだろうか?」


「勝ったんだから良くなるのでは?」


「そもそも統治権的に・・・・」


 1つは極々最近起こったセウォターカンド国との戦争について。

 この戦争はこちらが勝ったとはいえ、『勝ったから全てが思い通りになる』『勝ったからセウォターカンドもウチの国だ』とはならず、現在は向こうの首脳陣とこちらの首脳陣が落とし所を探し対談中となっています。

 なので一部の貴族たちは知っていますが、それ以外の貴族は情報を知る事が出来ないので、こうやって集まってあーだこーだと噂をしている訳です。


「魔道具王はまだみつからなのですかね?」


「ウチも仕事を依頼していたので困っていますよ。本当に何処へ行ったんでしょうね」


「新作を毎回楽しみにしていたのになぁ・・・」


 そしてもう1つは魔道具王と呼ばれている男の失踪について。

 失踪する前まで大々的に顔を売る人物ではなかったにしろ、確かに存在し定期的に仕事を請け負っていた彼が、ある時期を境に行方が知れなくなったのです。

『居なくては国が回らない』といった人物ではないにしろ『居ないと彼が生み出す革新的な魔道具が出回らない』と嘆く人は多いため、最近では彼の行方を探す人が増えているとの事でした。


「・・・大体解ったし帰りましょうか」


 この様な噂飛び交うサロンに私、マシェリー・フォン・オーウェルスも居ましたが、正直私はこの噂の中身については興味がないので、噂の流れ具合を確認したところで帰る事にしました。


「それではごきげんよう」


「はい。ぜひ又いらしてくださいオーウェルス令嬢」


 サロンを開いている貴族へと挨拶だけ済まし、私は何時ものメンバーを連れて学園へと帰り、私の部屋にて口直し的な意味を込めてお茶会を開く事にします。


「しかし・・・やはりといっていいのか2つの噂の中には魔王の話が出てきませんでしたわね」


 その際の話題として、私は先程のサロンでも上っていた噂についてを話します。というよりは、私達がサロンに行っていたのは噂について情報収集をしに行っていたので、それについて話すのは当然だったりしますが。


「世間一般ではこちらが緑の魔王を戦争に出したから勝って当然だった。向こうには居なかったから負けて当然だった。と言われていますからね」


「せやな。マクシムの方はもともと変人やったし失踪もありえんことちゃうみたいな感じだけで、アイツが実は魔王やいうのは誰も知らへん事やしな」


「・・・ふふ・・・でも私達が黄の魔王の蛮行を止めたというのが誰にも知られてないのは・・・少し残念ですね・・・」


「それはウチもちょい思たわ。でも広める気はないんやろお姉様?」


 話の中で『マクシムがやろうとしていた事について広めないのか?』と言われますが、私としては広める気はさらさらありません。それは単に知られると色々面倒臭くなったりするという理由もありますが・・・


「ええ。だってこのまま黙っておけばマクシムをただでこき使えますもの。皆に広めてしまえば『罪の減刑の為に国に奉仕しろ』とか言われてしまう可能性が出てきますもの」


 そう、折角マクシムをただでこき使える機会が出来たのに、それを逃してしまっては堪らないからです。


 ・・・と、ここであの後黄の魔王がどうなったか、そして青の魔王とイリス達がどうなったかを話しておくとしましょう。


 先ずは黄の魔王マクシムですが、彼は話題に出した通り普通に生きています。しかも現在は回復薬や魔法で治療も終わり、私達同様ピンピンした状態です。

 そんな彼は現在、前と変わらず私が所有する工房に居ます。いえ、嘘です。前とは変わり、私が所有する工房から出ない様に言ってあるので工房内に軟禁状態です。その状態を『非人道的だ!』と言いたくなる人もいるかもしれませんが、正直あんな事を仕出かしかけたのに首輪も何もつけてない状態で緩い軟禁で済ませているのです。超人道的でしょう。

 そして彼とは少しお話を試みた結果、和解する事になりました。・・・和解とは少し違いますか。

 詳しく説明いたしますと、私は彼に『対人魔道具はゴブリンにでも使いなさい』『他に何かやりたい事があるのなら、先ず私に相談しなさい』等の、彼が暴走しないための制約を課しました。勿論タダでそんな制約に『はい』という訳がないので『ゴブリン等の人型が出る良いダンジョンを紹介しますわ』『やりたい事を実現させるプランはこちらで組んであげます』等の対価を提案し、納得してもらったのです。因みにこの中には『私の為に魔道具を作りなさい。急ぎと言った時は不眠不休で』という制約もあり、これの所為もあって彼を軟禁している訳です。


 と、ここまでがマクシムの大体です。まぁ彼は基本的にはアホなのでかなり御しやすく、割とすんなりと事が運びました。

 一応次に話す青の魔王もすんなりとは事が運んだのですが、こちらは少し問題がありました。

 ですが先ずその問題は省き話すとしましょう。


 では次は青の魔王タイラスについてです。

 彼もマクシムと同様、現在はピンピンしています。というより回復系は彼の十八番とも言えるので、目を覚まし魔法が使える様になったら無傷状態へと戻っていたそうです。・・・やばすぎませんあの人?

 で、そんなタイラスですが、彼もマクシム同様再度戦闘になる事は無かったそうです。それというのも、彼が目を覚ましたのは戦争が終わってからだったので、今更動いたところで手遅れだったという事()あったみたいです。

 そしてそんなタイラスもどうやらイリス達とは和解したとの事でした。正直この話はフレアちゃん経由で聞いたモノなので少し曖昧なのですが、イリスとグウェル殿下、そしてフレアちゃんがタイラスと話したそうで・・・


『タイラスさん。もう戦争は終わりました。ですから戦うのはやめましょう?私達友達じゃないですか!』


『イリスの言う通りですタイラス殿。命を賭けて戦ったとはいえ、戦いたくて戦った訳でもない。唯状況が悪かったのです。もうやめましょう』


『・・・』


『セウォターカンド王国の事なら僕から王へと取り成して見せます。ですから・・・』


『こんなに言ってんだ。いいじゃねぇかよタイラス。ウンっつってやれや』


『・・・そう・・・だな。・・・いや、その前にお前っ!フr『おおっとぉ!そろそろ時間だ!じゃあな嬢ちゃん坊主、それと青いの!っじゃっ!』・・・っふ、馬鹿者め・・・』


 こんな感じでタイラスと和解が成されたそうです。


 あ、そういえばイリス達ですが、和解が成された後にタイラスに治してもらい、全員が無傷の状態に戻ったそうです。いえ、戦闘前からあった悪い場所も一緒に治ったので、より健康になっているでしょう。

 なので彼女達ももう王都へと戻り、何時も通りの生活・・・には戻っていません。何故なら、赤の王の時に続き今回の戦争で活躍したので、大スターもかくやという程になっているからです。恐らく戦争の話し合いが終わればパレードでも開かれる事でしょう。


 以上が黄の魔王、そして青の魔王とイリス達の状況なのですが・・・


(タイラス・・・)


 タイラス。彼は和解した後一旦セウォターカンドへと戻る事にしたそうですが、その際に不思議な事を呟いていったそうです。

 それは本当に不思議な言葉で、聞いたイリスやグウェル殿下は何の事かさっぱり解らなかったと言っていました。


 ですが、その言葉は私には理解する事が出来ました。


 何故ならタイラスが呟いた『これは黄昏が描いた図だった。毒蛇も恐らくは黄昏の・・・』という言葉に出てきた『黄昏』と『毒蛇』とは・・・



 残る2人の魔王をさす言葉だったからです。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「!?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 私が黄昏て詩を口ずさみますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【ここで出てきたサロンとは、女性だけで行うお茶会の男女混合バージョンみたいなものですわ。ご・・・合コンではありませんことよ?】

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