第249話 ≪イリス視点≫
作者よりお詫び:申し訳ありません、予約投稿忘れていました!なのでもう1話投稿します!
≪イリス視点≫
それはとても眩く、色鮮やかな魔力でした。
「わぁ~・・・綺麗・・・」
赤や黄、青等の様々な色が絶妙に混じり、とても綺麗なグラデーションを描く様はまるであの人の様で、私はその光景に見入ってしまいます。
「イリス!ボケっとしていると危ないぞっ!」
「・・・え?あっ!ひぇっ!?」
しかしそんな光景に見入る時間はグウェル殿下に声を掛けられたことにより中断してしまいます。
・・・ですがそれはナイスと言わざるを得ません。何せ今は戦闘中。しかもタイラスさんから魔法がバンバン飛んできているのです。グウェル殿下の言う通りボケっとしていると魔法にぶち当たり酷い事になってしまいますからね!
「ありがとうございます!いきなり魔力の色がおかしくなったものですから!つい!」
「ああ!それで、その魔力の変化は問題ないのか!?」
「・・・はい。赤の魔法も問題なく使えますし、魔法を使うのには影響なさそうです!」
ゆっくり魔力の変化を調べている余裕もない為、私はこの魔力の変化現象が戦いに影響があるのかどうかを手早く確認していくのですが・・・なんとその中で今のこの状況に役立つかもしれない変化を見つける事が出来ました。
「特に魔法を使っている訳でもないのに体が軽い・・・?それに飛んでくる魔法やフレアさんとタイラスさんの動きも良く見える気が・・・」
それは身体能力の向上というモノでした。どのくらい向上しているのかは不明ですが、確かに私の体はいつもより軽く力強く動く事ができ、更に動体視力も上がっている様に感じました。
「これならもしかして、あの戦いに割って入れるかも・・・?」
フレアさんにはグウェル殿下と共に遠距離攻撃に徹せと言われていましたが、現状だと私も前に出て近接戦闘に参加した方が良いのかもしれません。
というのも、現状タイラスさんからポンポンと魔法が飛んできて強力な魔法を使う余裕がありません。それなら私が前に出てタイラスさんの動きを阻害、彼に魔法を使わす余裕をなくさせればいいのではないかと、そう思ったからです。
「グウェル殿下!」
「どうした!?」
上手くいくかどうかは不明ですが取りあえずやってみないと解らないという事で、私はその作戦をグウェル殿下へと伝えます。
すると殿下も『試してみよう』と了承してくれたので、私は早速行動に移す事にしました。
「では行ってきます!」
「ああ!気をつけろ!それと今は牽制の為に小威力の魔法を使っているが、向こうからの攻撃が止んだら直ぐに強力な魔法に切り替えるから上手く避けてくれ!」
「はい!フレアさんにも伝えますね!」
グウェル殿下と軽く2,3言交わした後、『赤の波動』という強化魔法を唱えつつ私はフレアさん達の元へと向かいます。向かうのですが・・・
(ひょえっ!?こんなに強化されるモノなんですか!?)
強化率というのでしょうか?それが凄まじすぎて少し体が振り回される様な感じになってしまいました。・・・ですがそれは赤以外の魔力が体に纏わりついて来たかと思うとあっという間に落ち着き、何ら違和感なく体が動かせるようになってしまいます。
(え?え?何で?ん~・・・知らない!それならそれでいい!)
それに私は驚いてしまいますが、今は使えるのなら何でもいいと気にしない事にしてフレアさん達が殴り合っている場へと乱入します。
「フレアさん!私も剣で戦います!」
「あぁ!?いいから後ろで坊主と一緒に・・・」
「それがですね・・・」
「がぁぁっ!!」
「っとぁ!?もうタイラスさん邪魔しないでくださいっ!『スラッシュ』!」
私が2人の戦いに乱入すると、やはりと言いますかフレアさんに口を出されてしまいます。が、私が近接戦に切り替えた理由と作戦をフレアさんへと伝えると、彼女ももっともだと思ったのか頷き納得してくれました。
「じゃあ合わせなっ!バーニング☆ナックル!」
「はい!『五月雨切り』!」
戦闘経験が豊富なのでしょう、フレアさんは切り替えが早く、作戦を理解したと同時に私の動きも大体の所を理解したのか動きを合わせる様に言ってきます。
私も今の状態ならば合わせられる気がしたので、二つ返事で了承し、フレアさんが攻撃したその後の隙を補う様に攻撃を重ね隙間なく攻撃していきます。
「っは!んじゃあこれはどうだっ!?っふ!っは!ショーリュー☆アッパー!」
するとそれを見てフレアさんはニヤリと笑い、今度は逆に私の攻撃の隙を埋める様に細かく、そしてダイナミックに攻撃を仕掛けていきます。
「・・・ってダイナミックって!『スラッシュ』!隙の大きい攻撃はっ!?」
「っは!いいじゃねぇかよ!だって嬢ちゃんがフォローしてくれんだろ?ガオガオ☆パンチ!」
合わせ返してくれるのはいいのですが、その際明らかに『使用直後隙だらけなんですけどぉっ!?』と言いたくなるようなスキルを使って来るので、ドンドンと合わせるのが大変になって来てしまいました。
しかし隙だらけの技というのは得てして威力の高い物が多いわけで、それを混ぜて攻撃する事によりタイラスさんを徐々に追い詰める事が出来ていました。
「がっ!っぐぅ・・・がぁぁぁっ!」
「緑の寄生木!」
「ぐぅぅっ!」
追いつめると作戦通りといいますか、タイラスさんがグウェル殿下の方へと魔法を使う事も無くなったので、グウェル殿下も魔法で攻撃に参加する事が出来、徐々にですが形勢が此方に傾いてきます。
(いけるかも・・・!ならっ!)
それを見て私は決心を固めます。・・・勝負を賭けるなら、ここしかないと。
「フレアさん!私が何とかタイラスさんを引き留めますから大技を頼めますか!?」
とはいえ、私には勝負を決めるような大技がないため足止めに徹する事にし、その役目はフレアさんとグウェル殿下に頼む事になります。
「解ったぜ。けどよ・・・やれんのか嬢ちゃん?」
そんな私の頼みをフレアさんは直ぐに了承してくれましたが、同時に現在2人がかりで相手をしているタイラスさんとの近接戦闘を1人で出来るのかと心配してきました。
確かにその心配はごもっともでしょう。ですが・・・
「やれます!やれなくてもやってみせます!」
この賭けには命をベットするのです。文字通り命を賭けて足止めをするので持たせて見せますとも。
とはいえ、勿論根拠もなく根性理論のみを頼りにしている訳ではありません。
「足止め用なら虎の子もまだ残ってますから大丈夫です!」
そう、私には未だあの人からもらった魔道具がのこっているので、それを使えば何とか行ける筈なのです。
「おう。なら頼む。坊主にも伝えて来るから任せるぜ?」
「はい!」
「ガオガオ☆キーック!」
そんな私の様子を見て大丈夫だと思ったのでしょう、フレアさんは頷いた直後に隙の大きい大技を仕掛け、その技の反動と共に後ろへと下がっていきました。
その隙を補うために攻撃に入った私は、そのまま足止めを掛けるために小さく攻撃を繰り返し、タイミングを見計らい懐から魔道具を取り出し使用します。
「はっ!やっ!『スラッシュ』!せいっ!今っ!」
「ぐっ・・・っか!!」
使ったのは『痴漢撃退君』とか言う名前の魔道具でしたが、『目や鼻に熊でも怯む劇物を噴射する』の説明通りにタイラスさんも目や鼻を抑え悶えていました。
ですがそれもタイラスさんの魔法の自動回復で回復したのか、直ぐに元通りの動きを取り戻します。
「まだまだありますよっ!それっ!」
しかし私は次々に魔道具を使って行き、足止めを掛けていきます。まぁそれらも直ぐに力づくで壊されたり、直ぐ治されたりして大した時間は稼げませんでしたが。
「けど少し時間は稼げました!なら後はこれでっ!」
チラリとフレアさんやグウェル殿下の様子を確認するともう少し掛かりそうだったので、私はその時間を稼ぐため以前に見た事のあるとある魔法を使う事にします。
「赤の波動!更に赤の波動!」
その魔法というのは赤の魔王であるフレッドさんが使っていた赤の波動の重ねがけです。少しリスクはありそうでしたが、今が使い時だと感じたので使う事にしたのです。
「やぁぁぁっ!せいっ!」
「がっ!?っぐぅぅ・・・」
その効果は凄まじく、重ねがけする前の倍・・・いや、3倍は強くなったような気がして、なんとかタイラスさんを押し込める事が出来ていました。
「『五月雨切り』!『スラッシュ』!『閃光一文字切り』!」
「っく!おっ!ぐぅぅ・・・!」
少しでも手を緩めるとフレアさんやグウェル殿下の方へと邪魔しに飛んで行ってしまうので、私はやたらめったらとウェポンスキルを連続して放ちます。普通ですと反動が有ったり無茶な動きになってしまうのでそう連続では使えないのですが、赤の波動を重ねがけしているお陰か連続して放つ事が出来ていました。
「イリスっ!」
そうして攻撃を続けていると2人の準備が整ったのか、声が掛かりました。
「・・・っ!これでも食らっといてください!」
うかうかしているとその攻撃に巻き込まれてしまうので、私は足止め用に『火竜を捕獲君』と言う名前の魔道具を使用しタイラスさんから離れます。
「緑の吸血茨!」
「ぐぁぁぁぁぁぁっっ!!」
名前の通り火竜を捕獲できるほど頑丈なのか、その魔道具はタイラスさんをガッチリと捉え、飛んできたグウェル殿下の魔法が当たっても拘束が続いていました。
しかもグウェル殿下の魔法も敵を拘束する効果があったのか、タイラスさんは物凄く暴れつつもその場に拘束され続けていました。
(後はフレアさんが高威力のスキルを当ててくれれば!タイラスさんは身動きを封じられていますし、これはイケるかも!・・・づぅぅっ!?)
あの状態ならばフレアさんの攻撃もすんなり当たる筈なので、私は『これは勝ったかも!』なんて心の中でガッツポーズをしていました。そしてそれで気が緩んだのか、赤の波動が解けてしまい反動が来てしまいます。
(これ・・・は・・・まともに体を動かせないかも・・・でも!)
しかし状況は『これは勝っただろう!?』と言いたくなるような場面。これ以上は動かなくて済みそうなので足掻く事無くその反動を受け入れる事にします。
「っしゃぁぁぁっっ!トドメいくぜぇっ!!えーっとあーっと・・・あー・・・ギャラクシー☆パーンチ!」
タイラスさんから少し離れたところでその反動を受け入れていると、フレアさんの大技も発動されたのですが・・・何故かその背後には『どうにでもなーぁれ』という文字が浮かんで見えてしまいました。なんなんでしょうね?
と、そんなフレアさんの様子は兎も角です。
「・・・っっっ!!!」
「っしゃらぁっ!スッキリしたぜ!」
スキルの方はマトモにヒット。タイラスさんの胴体の真芯を捕らえたのか物凄く音が聞こえてきました。
しかも音も凄ければ威力もすごかったのか、頑丈に拘束されていた筈の拘束具と魔法は大破。解放された状態で宙へと浮いていました。
(流石にあれは決まりましたよね・・・?お腹に穴空いてますし・・・え?ちょっと・・・こっちに飛んで来てません?)
その様子を少し気を抜いた状態で眺めていると、私はタイラスさんが此方へと吹き飛ばされて来ている事に気付き焦ります。何せ私は現在魔法の反動が体に来ており、素早く動く事が出来ないからです。
「あ・・・え・・・ぶつかりそうなんですけど!?・・・って、え?」
私へ直撃コースだったので、何とか軋む体を無理矢理動かし避けようとしていると、またもやある事に気付いてしまいます。
それはなんと・・・
「ぐ・・・ぐぐぅっ・・・!ぐぁぁっ!」
「まだ動けるんですか!?」
タイラスさんが未だ動けそうな状態だということです。
しかもです、現在タイラスさんは私の方へと吹き飛んできています。意識がないのなら避けて終了ですが、未だ戦闘が可能ならば私は満足に動く事が出来ないので・・・
「ま・・・不味い・・・そうだ回復薬を・・・」
どうにかしようと回復薬でも取り出そうとしてみますが、その頃にはタイラスさんはもう目と鼻の先まで近づいてきていて・・・
(あ・・・終わったかも・・・)
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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☆やイイネをぽちっと押すと フレアちゃんがキャピキャピ言いますわ。
マシェリーの一口メモ
【再びの題名隠し!】




