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第245話 黄の魔王戦(本番)3

「あはははははは!どうですか会長!特に今使ったこれは自信作でして!俺の持つ・・・・・」


 マクシムが次から次へと魔道具を繰り出してくる中、私はマクシムのお喋りを聞き流しながら彼に勝つ方法を模索し続けます。


(戦う相手を変える・・・いえ、でもそうすると私よりは軽装甲の2人が・・・それに2人から魔法攻撃を受けてもマクシムは無傷。そのマクシムへ私1人でいっても・・・)


 しかし中々これといった方法も思い浮かばず、ひたすらに時間とマクシムが出してきた魔道具のスクラップのみが積み重なっていきます。


「・・・お姉様~!・・・避雷針君の2本目いきま~す・・・!」


 そうやって時間を消費しているといつの間にか10分は経っていたのでしょう、シーラが避雷針君の更新を告げてきました。避雷針君は5本あるので、1本10分として計50分・・・いえ、今1本駄目になったので残り40分、それがタイムリミットです。


(今の私達では『黄の波動』は防御できませんからね・・・何としてでも40分で片をつけなければ・・・)


 そんな事を考えつつ同時に案も練りますが、やはりこれと言って思いつきません。なので仕方なくではありますが、取りあえず思いついた『相手を変える』方法を試してみる事にします。


「マルシア!ノワール!」


 私は2人に声を掛け、2人が此方を見ている事を確認すると指で『相手をチェンジ』しようとジェスチャーを送ります。


『『・・・コクリ』』


 2人はそれを見て理解したのか、頷くとチェンジする為にじりじりと私へと近づいてきます。そして程々の距離にまで近づくと・・・


「今!」


「「はい!」」


 私の合図で相手をチェンジします。


「マクシム!色々と語ってくれたのでお相手して差し上げますわ!」


「おお会長!そこまで興味を持ってくれるとは!では面白いと思ったこれの紹介を!これはですね、一見すると唯のなんてことない箱なんですが・・・・」


 マクシムが使う魔道具の相手からマクシム自身へと相手を移すと、私の相手を出来るのがよっぽど嬉しかったのか、マクシムは今まで以上に口を動かし始めます。

 しかも嬉しい事に私に見せたい魔道具とは、先程まで展開して来ていた自律型の魔道具ではなく消耗品として使う魔道具でした。つまり、魔道具の相手をする必要がなくなったので、マルシアとノワールもマクシムへと攻撃出来るという事です。


(っく・・・最初からこうしておけば!いえ、もしかしたら自律型の魔道具を使い切っただけで使い切りタイプへと変更しただけかもしれませんわね。まぁ下手な推測はどうでもいいですわね。それより今の内に何とか切り口を・・・)


 思う事は色々ありましたが、それよりも今は攻める時だと考えを切り替え攻め立てます。


 しかし・・・


「これはイマイチでしたかね?じゃあ次行きますよ!これはさっきの改良版でして!」


「だまらっしゃいな!『覇断斧』!」


 少し前と同じく『攻めるも防御が打ち崩せず、時間を消費するばかり』の状態となってしまっていました。


(ゲームでは攻撃型だったのに・・・完全に防御じゃありませんの!)


 そんな状況についマクシムへの文句が出てしまいますが、そんな事を言っている場合ではないので頭をフル回転させます。すると、私はふとある事に気付いてしまいます。

 それは『マクシムは何処から魔道具を取り出しているのか?』ということです。

 自分達がアイテムボックスをホイホイ使っているので見落としていましたが、マクシムは闇の魔法は使えないのでアイテムボックスの魔法を使えるはずもありません。なのに彼は、明らかに手持ちと言うには多い量の魔道具をこちらへと放ってきているのです。

 つまり・・・その秘密を暴けば魔道具攻撃を止められるかも知れないという事です。


(魔法も厄介でしょうがおかしな魔道具も厄介!どちらか片方でも潰せれば勝機が見えてくるかもしれませんわね!)


 マクシムの戦力を分析すると、『本体=イマイチ 魔法=強い 魔道具=強い』と言った感じになります。なのでここから魔道具を使用不可能にしてしまえれば、後は魔法に気をつければ本体を制圧出来る筈です。


(これは勝つりますわね!)


 漸く勝機を見いだせた気がした私は、戦いながらマクシムの観察を始めました。

 すると・・・


(・・・そう考えて観察してみるとすぐ解りますわねあれ。全く隠して無いじゃありませんの)


 全く警戒していなかったのか、もの凄くあっさりとその方法は判明する事となりました。

 ですがその魔道具を取り出している方法をどうにかするのは少し難しいかもしれません。それというのも、その方法というのが袋型のアイテムボックス?を使っているのですが、それはマクシムの腰にぶら下がっているのです。つまり、マクシムが魔道具を使うのを阻止しようとするなら、マクシムの防御を打ち破って腰のアイテムボックスの魔道具を奪わねばならないのです。


(だけどそれをしようとするなら魔道具を使うのを阻止しなければ厳しい。なら魔道具を使わせなければいいのだけれど、そうするにはアイテムボックスを奪えば・・・堂々巡りですわね)


『それが出来るのなら直接マクシムを倒してますが?』と言いたくなりますが、折角見つけた勝ちへの道筋。試すべきでしょう。


「マルシア、ノワール」


 私は一旦マクシムから距離を取り、マルシア達の近くまで後退します。

 そして素早く小声で『マクシムの腰に付けた袋を奪うからサポートを』とだけ伝えると、再びマクシムへと近づき攻撃を仕掛けます。


「おや?ティータイムでもするのかと思いましたが、辞めたんですか?」


 攻撃を仕掛けると再びマクシムが喋りかけてきましたが、私は警戒心を下げる為にもお喋りに付き合う事にします。


「ええ!のんびりティータイムするより興味を引くものがありますからね!」


「おお!もしかして今から使おうと思っているこれですか?これはですね!このトリガーを引くと!」


「いえ、そちらよりその腰に付けたモノが気になりますわね!それ、アイテムボックスみたいなモノでしょう?よく作れましたわ・・・あ」


 と、お喋りに付き合うのは良かったのですが、ついつい狙いであるアイテムボックスの事について口を滑らせてしまいます。これでは警戒してくれと言っている様なモノなので、大失態です。


「おぉ!流石会長!気づきましたか!」


 まぁ・・・ちょっと頭が()()なマクシムは気にしなかった様ですが。いえ、それどころか・・・


「え・・・ええ。凄いですわね。世紀の大発明じゃありませんこと?出来るなら良く見せてほしいところですわ」


「む・・・ふむ・・・まぁ会長ならいいでしょう。・・・特別ですからね?」


「・・・え?」


 私が『見せてほしい』というと、何故か攻撃を止め腰に付けてあったアイテムボックスを外し始めました。

 私はあまりの事に攻撃を停止、それを見ていたマルシアとノワールも異変を察知したのか攻撃を停止してしまい、全員揃ってマクシムの事を凝視してしまいます。

 そうしてマクシムをジッと見ていると、彼はニコニコしながら喋りかけてきました。


「はい会長。どうぞ?あ、会長達が使ってるやつも見せてくださいよ。避雷針君とか、俺が作った奴を更に改良したやつとか」


「え・・・ええ。少しお待ちになって?ノワール、シーラから避雷針君を受け取って来てもらえる?」


「・・・畏まりました」


 現在は戦闘中だというのにマクシムは友達同士が宝物自慢でもしている、そんな雰囲気を発していました。彼の頭がちょっと()()と先程言いましたが、これは完璧に()()()()()()と言ってもいいでしょう。ええ。

 そんなマクシムさんに私は少し戦慄しつつ、ノワールから受け取った魔道具を彼のアイテムボックスの魔道具と交換します。


「おー・・・分解は流石に不味いですよね会長?」


「・・・そうですわね。それは止めてくださると助かりますわ」


「了解です了解です。ふむふむ・・・成程面白い・・・」


 魔道具の交換が終わると、そこからは鑑賞タイムが始まります。と言っても実際鑑賞しているのはマクシムだけで、私達は作戦会議をしていましたが。


「お姉様・・・・・」


「ええ。勿論・・・・」


「私もそれがよろしいかと・・・・」


 そうして10分程謎の休憩タイムが挟まりましたが、それはマクシムが満足した所で終了となります。私達としては無駄に避雷針君を1本分消費してしまい、無駄に時間を消費してしまいましたが・・・これに不満はありませんでした。


 何故ならそれは勿論・・・


「ふぅ~・・・満足しました。ではアイテムボックスを返してもらっても?あ、それが戻り次第再び戦いを始めるという事でよろしいんですよね?」


「ええ。はいコレ」


「ああ、どうもどうも。・・・よし、それでは始めましょうか。まだまだ見てもらいたいし、試したい魔道具が沢山あるんですよね。・・・ん?あれ?」


「あらマクシム、何をお探し?」


「え?いや、俺の魔道具達が見当たらないんですよ。会長、知りません?」


「勿論知っておりますわ。ほら、この様に。()()()()()()()()()()()()()()


 そう、不満などある筈がありません。だってマクシムのアイテムボックスの中身を全て頂けたのですから。


「ええっ!?なんでっ!?」


 それにマクシムは驚いて抗議してきましたが、何故奪われないと思ったのでしょう・・・サイコパスではなく、少しアホの子が入っている気がします。



「さて・・・それでは改めて戦闘を再開いたしましょうか。ね?」



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「マクシムさん?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと マクシムが賢くなりますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【マクシムさんの魔道具の権利や販売の関係、これはバックの方々がキッチリしているので問題はありませんのよ?】


 マシェリーより宣伝

【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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