第243話 黄の魔王戦(本番)1
「最強の援軍は?何なんです会長?」
「最強の援軍はイ・・・いえ、何でもありませんわこのおバカちん!それよりもさっさとかかって来なさいな!そのひょろひょろとした自分の体でね!」
『最強の援軍はイリスの方へと向かわせた』と、私はそう言いかけましたが、言った所で『え?何故なんですか?最強の駒を自分の元に置いて置かないのには何か意味が?』とか返されそうなので誤魔化し、それよりも掛かって来いとマクシムへ挑発を入れます。
「あ、いえ。それは遠慮しておきます。120~150号、ご指名の様なので行ってあげてください」
勿論マクシムはそれをさらりと流し、メカメイド軍団を嗾けてきましたが。
「キィィィッ!この魔道具オタクぅぅっ!貴女達!この魔道具オタクのおもちゃをぶっ壊して差し上げるわよ!」
直接マクシムへと殴り掛かりたい気持ちはありありですが、メカメイド軍団を嗾けられたのならそれに対処しない訳にはいきません。
なので私はマルシア達へと声を掛け、メカメイド軍団を潰し始めます。
「お仲間同様スクラップになりなさい!『ワイドプレッシャー』!!」
「『炎竜切り』!」
「雷の雨!おーおー、やっぱよう効くな雷の魔法」
敵は数が増えて若干連携も取っては来ますがそれでもタカが知れており、広範囲攻撃を混ぜ込んだ私達の攻撃にあっさりと敗れます。
ですがそうなってもマクシムの余裕顔は変わらず、淡々と追加を放ってきます。
「151~160号、5番陣形で」
「キィィィッ!このオタンコナスぅぅ!!」
「あはははは!口が悪いですねー会長」
しかし複数追加をし始めたからか、30分もすると・・・
「次は・・・って今ので最後だったか」
「よ・・・ようやく打ち止めですのね。ふぅ~・・・」
メカメイドの在庫が尽きたとの事で、漸く終わりとなりました。体力的には余裕でしたが精神的に疲れてしまったため、ついため息を吐いてしまいます。
しかしです、漸くこれでマクシム本体を殴れるというもの。私はそれを想像すると何だが元気が出てきたので、マクシムへと笑顔を送りました。・・・まぁ、次の言葉で一瞬にして般若の形相へと変わりましたが。
「ん~・・・じゃあ次は男性使用人シリーズを「させませんわよこのすっとこどっこいぃぃぃっ!」
私は『言わせませんわ!』とばかりに言葉の途中で大声を上げながら飛びかかり、マクシムへと斧を上から叩きつけます。が、しかし、それはマクシムがいつの間にか取り出していた彼の武器『魔道剣』にて防御されてしまいます。
「ふふふ・・・良いでしょうこの武器」
ニコニコしながら自分の武器を見ているマクシムですが、確かにその武器は自慢したくなるような高性能武器です。何といっても厄介なのは、私の攻撃を意図もあっさりと受け止めたこの不可視のシールド機能でしょう。
ですが・・・
「そうですわね!とても良いモノです!けれど私も良いモノを持っておりますわよっ!」
「え?」
マクシムの武器の性能を知っている私にとってはそんなモノ紙ペラ同然。・・・ということもないですが、打ち破る方法はあります。
それは・・・このマクシムに作らせた魔道具・・・
「それっ!」
「んん?それは会長に言われて俺が作った魔道具・・・」
それをそこから更に改良したモノです。
勿論マクシムがそれを知る筈もなく、彼はこれが自分の作った通り『小さな爆発を起こす』だけだと思った事でしょう。
ですが実際は・・・
「・・・ッカ!?」
「・・・うっ!」
マクシムの至近距離で閃光と爆音が巻き起こりました。所謂スタングレネードという奴です。
(物理攻撃は防げるでしょうけど、やはり光や音は通しましたわね!・・・っく、それにしても強力過ぎでしょうコレ・・・)
そして思惑通りにいったのは良いのですが、防御したとはいえスタングレネードを間近で食らってしまった私もマクシムと同様、目はチカチカ耳はキーンとなってしまいました。・・・防御も出来ずまじかでモロに食らってしまったマクシムの比ではありませんでしたがね!
(お薬と魔法で・・・よし、回復ですわ!さて、マクシムの様子は?)
そんなモロに間近でスタングレネードを食らってしまった男ことマクシムさんの状態は酷いモノでした。
「・・・ッッカ・・・ケハッ!?」
「あらまぁ・・・」
眼と耳が完全にヤラレた防御反応なのか腕で頭を覆い、その状態で地面でのたうち回っていたのです。更に突然の事に脳がパニックを起こしているのでしょう、口からは涎がだらだら、目と鼻、耳からは汁が漏れていました。ああ、耳からは汁でなく血ですね。恐らく鼓膜が破れているのでしょう。下からは何も出ていないので、それだけは幸いかも知れませんね。
「御気の毒様・・・ですがこれは命を懸けたやり取り、許してくださいましね」
そんな余りの状態に少しの罪悪感が生まれてしまいますが、この戦いに情けは無用と罪悪感は切って捨てておきます。今からトドメもさすのですから余計にでしょうし。
「全員で攻撃を仕掛けますわよ。相手は魔王、油断は禁物で!」
「「「はい!」」」
悠長にしていると回復してしまうかも知れないので私は皆へと直ぐに声を掛け、マクシムにトドメを刺しにかかります。
と言っても安心してください、トドメを刺すと言っても殺すわけではなく半死状態にするだけです。え?それは安心出来ないだろうって?・・・いえ、口に出してもいますが相手は魔王、これくらいやっておかなければ駄目なのです。
「相手はイカレタマッドサイエンティストですしね!合わせて!」
「「「はい!」」」
なのでサクッとトドメを刺しにかかりますが・・・やはり魔王は魔王、一筋縄ではいかないらしく・・・
「『圧壊お「き・・・のはど・・・ぅ」っっ!?」
私達が攻撃する前に魔法を放ってきました。それも魔王の持つ魔法の中で厄介な『波動』系の魔法を、です。
「っく・・・あああっ!」
「「「きゃぁっ!!」」」
しかも黄の魔王が使う『黄の波動』は少し厄介な魔法で、その効果は『一定距離全てに雷属性のダメージと一定距離内に居る生物の微弱な電波を感知し把握』というもの。更に厄介なのが戦う時期によって効果の増減があるという所です。
(っぐ・・・現実となった事で・・・その制限はなくな・・・っかっ!!)
そしてその制限はゲームではないので解除されており、恐らく威力はマックス状態。というより、今受けているのがマックスでないのなら不味すぎるでしょう。何故なら、今ですら体をまともに動かす事が出来ないのですから。
(だっ・・・誰ですのっ!『紫より黄のがまだまし』とか・・・言ったやつっ!って私でしたわ・・・ねぇぇええっ!!)
しかしです、体をまともに動かせないのはマクシムも同様。なので今の内にこの状態さえ何とかしてしまえば未だ勝機は全然あります。
・・・あると思っていたのですが・・・
「ぐっ・・・がぁぁ・・・きっ・・・効ぎましたよぉあれぇ・・・げはっ・・・っぐ・・・まだ体がっ・・・」
何とマクシムはよろよろしながらも立ち上がっていました。現実のスタングレネードはどうか知りませんが魔道具スタングレネードは少なくても30分はマトモに動けなくなる筈、それなのに立ち上がっていたのです。
「虎の子の・・・ダンジョン産の薬を使ってもこれとは・・・っく・・・」
(は・・・あ?お薬・・・を・・・!?・・・っくぅ・・・確かにそれ位は・・・持っていますか!!)
しかしそれはどうも回復薬を使ったみたいで、よっぽどそれは高性能なモノだったのでしょう。フラフラしていたマクシムは、見る見るうちにまともに動ける様になっていました。
「くっ・・・しかし会長・・・形勢逆転の様ですね。いやぁ・・・魔王とは言われていても戦闘はあまり得意ではないのが身に染みてしまいましたよ。ふぅ・・・と言う事で、今の内にさっさとケリを付けさせてもらいますね」
そして動けるようになったマクシムはそんな事を言った後、『黄の波動』とは違う攻撃用の魔法詠唱を始め・・・
「それでは会長、お別れですね。黄の歯車」
それを動けない私達に向けて放ってきました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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☆やイイネをぽちっと押すと 魔王が徒党を組み始めますわ。
マシェリーの一口メモ
【ずるい!てきがかいふくずるい!ですわ!】
マシェリーより宣伝
【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




