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第242話 続・青の魔王戦 ≪イリス視点≫

 ≪イリス視点≫


「おっと待ちな!」


 離れたところで戦っていたリア達が戦闘不能になり、青の魔王のサイラスさんと私、グウェル殿下が戦っていた所へミウさんとサウさんが合流しようとした時、戦場に力強い声が響きました。


「ほいっと」


「「・・・っ!」」


 そしてそれと同時にミウさんとサウさんへ魔法?が何処からか飛び、私達の戦いへと合流する事を防ぎます。


「あ、ちぃっと強かったか。すまねぇな」


「え・・・えぇ~?」


「なっ!あのミウとサウがあっさりと・・・」


「・・・」


 合流を防いだというのは誤りの様です。防ぐどころかあっさりと戦闘不能状態にしてしまいました。

 この余りの事態に私とグウェル殿下は勿論、何時もはそこまで気持ちを顔に出さないタイラスさんまで顔を歪めていたのですが、彼が顔を歪めていたのは別の理由もある様で、キッとある一点を見つめます。


「おいお前・・・生きていたのか」


 この言葉に私はふと首を傾げます。何故ならこの言葉通りならこの声の主はタイラスさんの知り合い、それも言葉はキツイですがニュアンスからは親しみと嬉しさがにじみ出ているので友人の様な間柄と見受けられるからです。その様な人が何故()()()()と加勢するのでしょうか?


「生きていたのなら何故知らせない。それに何故姿を隠している」


 そんな風に頭の中で考え事をしている内にも話は進み、タイラスさんが謎の人物へと声を掛けていたのですが、タイラスさんが口に出した名前でその疑問はより一層深まる事となります。


「答えろ()()()()


(フレッド・・・?フレッドさん?赤の魔王の??)


 赤の魔王であるフレッドさんといえば、半年ほど前に私達やマシェリーさん達と戦い死んだはずです。私はその死に際を看取った筈なので間違いはない筈なのですが・・・


(でも、確かに埋葬するところまでは見ていませんからね・・・。埋葬何かはマシェリーさんが『私がやっておきますわ』なんて言って一切合切を行っていましたし・・・ならもしかして?)


 ですがもしマシェリーさんが死んだように偽装していたのなら話は変わってくるので、実は生きていたという可能性はあるのかもしれません。

 ですが、それでも何故フレッドさんが私達に味方してくれるのかは全く解りませんでした。


「あ・・・あの、フレッドさん!何で私達の味方を・・・?」


 なので素直に問いかけてみます。


「あん?あ~・・・」


 すると、その答えと共に隠れていた人物が姿を現したのですが・・・


「そっちのおとこもおじょうちゃんもなにいっているのかわからねぇなー。おれはふれっどとかいうかっこいいまおうじゃなくてふれあというびじょなんだぜー」


「・・・あれ?」


「・・・フレッドバーン殿ではない?」


「なん・・・だと・・・!?」


 私達の前に現れたのはフレッドさんではなく、綺麗な女の人でした。確かに真っ赤な目や真っ赤な髪をしているのでフレッドさんによく似てはいますが、性別が違うのでまず間違いなく別人でしょう。

 でももしかすると家族の人かもしれないので、それを尋ねてみようとしたのですが・・・


「奴にはあのような家族、親類は居ない筈・・・だがあいつが使ったのは・・・」


 それはタイラスさんの独り言によって否定されてしまいました。

 ならば一層『誰だ?』となるのですが、今はそれより早急に対処をしなければならない事があるので、私は静かに・・・そして自然に移動をし、フレアと名乗った人物の横へと移動しこっそりと声を掛けます。


「あの・・・フレアさん?」


「ん?」


「貴女が誰だかは解りませんが、ミウさんとサウさん・・・あ、あっちの人達です。彼女達を攻撃したと言う事は私達の味方と思っていいんですか?」


 今やるべきは青の魔王であり、実質的な向こうのトップでもあるタイラスさんを倒す事。だから誰だかは解りませんが、私達の味方になってくれるか否かが現在の重要なポイントです。

 なので私はそれを確認する為、タイラスさんを刺激しない様こっそりと移動し確認したのですが、どうやら彼女は味方の様でした。


「おぅ。マシェリーのお嬢様に頼まれてな。遅れちまったのは許してくれ」


「マシェリーさんが?」


「ああ。何か嫌な予感がするから頼むって言われてな。ま、そう言う事だからタイラスをぶっ飛ばすのを手伝うぜ」


 こうなる事が解っていた訳ではないと思いますが、フレアさんは予めマシェリーさんが呼んでくれていた助っ人らしく力を貸してくれるとの事でした。先程ミウさんとサウさんをあっさりと戦闘不能状態へと追い込んだ事から強さは十分にあるので、これは心強い助っ人です。


「はい。ではよろしくお願いします。さっきの魔法を見た感じ後衛ですか?」


「おう、任せろ。魔法は使うが後衛って柄じゃねぇ。だから俺は前衛として前にでる。そんでアイツの動きを封じてやるから、嬢ちゃんはあっちの坊主と一緒に魔法を使いな」


 なので早速フレアさんと動きを合わせる為に打ち合わせをしますが、彼女は私に魔法を使い攻撃を仕掛けろと言ってきました。

 しかし私の魔法の腕前は控えめに言っても微妙、ハッキリ言うと戦力外です。なので私はそれを伝え、私も前衛として動くと提案したのですが、彼女は『あ』と言った顔をした後謝ってきました。


「悪い、そういやマシェリーのお嬢様からの伝言を伝え忘れてたわ。『魔法の練習はしてこなかったけど、貴女は今赤色の魔法が使える筈。詳しくはこの伝言を伝えてくれた方にお聞きなさい』だとよ。つか、渡したのに使ってねぇのかよ」


 フレアさんはそう言った後に赤色の魔法の事を簡単に説明してくれましたが、『渡したのに使ってない』とは一体何の事でしょう?それに赤色の魔法・・・つまり火の魔法だと、青色(水)には効果が薄いのではないでしょうか?


「相性的には効きにくいが、効かねぇって程でもねぇから問題ねぇ。それにあっちの坊主が緑の魔法で同時に攻撃するからな。赤を防ぐために青を使う事になるから緑が生きるからいいんだよ。後、渡したのにの下りは気にすんな」


 それを伝えるとこの様に返されたので、私の心配は杞憂だったという事が解りました。


「・・・おい、さっきから何をこそこそしている」


「あ」


「はは、バレちまったようだな嬢ちゃん」


 何時かはバレルと思っていましたが遂にバレタ様で、タイラスさんが私達に強い視線と共に声を送ってきました。

 ですがここまでで打ち合わせはホボホボ終了していたので、慌てず行動を開始する事にします。


「ではフレアさん、頼みました。私はグウェル殿下と合流して先程の話を伝えてきます。直ぐに攻撃を開始しますから、それまでは無理しない様にしてください」


「おう、了解だ。・・・っし!おいタイラス!」


 私は最後にそれだけ伝えると早速行動を開始します。

 そしてフレアさんは返事をすると同時、私の行動をサポートする様にタイラスさんへと声を掛けました。


「オメエ何時までブツブツ言ってんだ!あぁん!?今は戦闘の最中だろうが!口じゃなくて手ぇ動かせや!おらぁ!」


「っち!行動まであいつに似て野蛮なのか!」


 更に声を掛けると共に殴りかかりに飛び込んで行ったので、私はその間にグウェル殿下と合流を果たし、先程のフレアさんとの会話を伝えます。


「成程マシェリーがな。色々思う所はあるが・・・すべては戦闘の後だな」


「はい。それに早くしないとフレアさんが・・・」


「そうだ・・・な?いや、意外と大丈夫そうだぞ。まぁそれでも早く加勢すべきか」


 そしてそれを伝え終わると早速作戦通りに行動を開始します。


「よし・・・緑の茨!緑の葉刃!」


 グウェル殿下が魔法を唱えている横で私もフレアさんに聞いた説明を思い出し、赤の魔法を使ってみます。


「えぇっと・・・体の内側で魔力を練って、そこにある赤色を探して・・・」


 本来魔法が得意でないのに説明も解る様な解らない様な感じのモノだったので、私は四苦八苦しながらその方法を試していきます。

 すると・・・


(あれ・・・、これかな?これを・・・こう?)


 案外簡単に聞いた方法通りに出来てしまい、私は困惑してしまいました。昔から魔法を使おうとすると魔力と頭がこんがらがり、基礎的なものくらいしか出来なかった筈なのですが、今は何故かすんなりと魔法が組みあがっていったのです。


「え・・・えっと・・・赤の火花!」


「なにっ!?っく!!」


「お、いいじゃねぇか嬢ちゃん!その調子だ!」


「あ・・・は・・・はい」


 しかも発動もすんなりとしてしまい、更には狙いまで上手くつけられている様でした。

 私はそれが信じられずそれが夢じゃないかと疑ってしまいますが、横で必死に魔法を使っているグウェル殿下の声が聞こえてきたので『そんな場合じゃない』と頭を振り、必死に魔法を使い攻撃を仕掛けます。


「緑の寄生木!緑の針葉樹!」


「あ・・・赤の火花!赤の波動!赤の牡丹!」


「っく・・・青の波動!青の亀!」


 そんな私達の魔法をタイラスさんは必死に防ぎ、偶に被弾もしたりしていました。


「オラオラ!よそ見してねぇでこっちも見やがれ!赤・・・じゃねぇやバ・・・バーニング☆ナックル!」


「ふ・・・ふざけた名前の癖に強いだと!」


「う・・・うるせぇ!黙れ!萌え萌え☆ファイアー!」


 更に、私達の攻撃が始まるとフレアさんも本格的に攻め始めたのか、タイラスさんは被弾が多くなり、魔法での回復が徐々に追いつかなくなっている様でした。


「よし、押しているぞイリス!そして出来るなら威力より手数で攻めてくれ!その間に僕が高威力の魔法を使う!」


「はい!解りました!萌え萌えの火花・・・じゃない、赤の火花!赤の火花!」


「気になるが気にしては駄目だイリス!」


「はい!」


 この状況を攻め時だと思ったのでしょう、グウェル殿下は高威力の魔法を使う準備を始めます。

 私はそれをサポートする為、フレアさんの魔法名が気になりましたが気にしない様にして赤の魔法を連発していきます。


「赤の火花!赤の火花!赤の火花!赤の・・・」


「良い具合だぜ嬢ちゃん!おらおら!こっちも食らっとけや!情熱☆キック!」


「ぐはっ!」


 そしてそれに合わせる様フレアさんも踊る様に攻撃し、タイラスさんの防御を突き破り・・・


「萌え萌え☆ファイアー!未だ坊主っ!!決めろっ!」


「はい!緑の・・・王樹!」


 終にはグウェル殿下の強威力魔法がタイラスさんへとクリーンヒットします。


「ぐ・・ぉ・・・ぐぁぁっ!!」


 クリーンヒットした魔法は唯の魔力弾の様でしたが、その身にタイラスさんを取り込むとそのまま大きな樹へと姿を変えていきます。恐らくですが敵を圧殺するような魔法なのでしょう。


「って・・・圧殺ですか!?」


「ああ・・・中途半端にやるとこちらがやられるからな。やるなら殺す気でやらねば駄目だ」


「そう・・・ですか・・・」


 その結果を見て私は叫んでしまいましたが、グウェル殿下の言う事ももっともです。しかもそれを肯定する様にフレアさんも頷いていたのでその考えは正しいモノなのでしょう。

 しかしフレッドさんの時もそうでしたが、知り合いだっただけにそうすんなりとは納得できずもやもやした気持ちが残ってしまいます。


(ですがこれで戦いは収束へ向かいますよね・・・トップが落ちたんですから)


 しかしそれよりも今はこの戦いを終わりへと導く方が先決だと考え、そちらへと頭を切り替える事にしました。


「さようならタイラスさん。セウォターカンドが酷い事にならない様に頑張ってみますから。如何か安らかに・・・」



 ・・・最後にタイラスさんへと言葉を掛けながら。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「いったいだれなんだふれあさん」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 美少女型フレアさんも出てきますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【い・・・いったいだれなんですのふれあさんー】


 マシェリーより宣伝

【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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