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第241話 黄の魔王

「オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ」


「「「・・・?」」」


 黄の魔王マクシムが作った人口ダンジョン、その中に居たのは・・・機械のメイドさんでした。


「・・・しかもメカメカしいタイプの・・・趣味かしらね?」


 更にそのメイドは人間っぽく見える事はまずないだろうと思われる造形をしており、マクシムの趣味が伺われました。・・・メイド服を着ている所からは性癖が伺われる気分でしたがね!


 とまぁ・・・それは兎も角です。


「罠、敵共になし。マクシムの姿も見当たらないと・・・」


 メカメイドはさておき、周りを見渡してみるとそこにあったのはまるで町の様な風景で、ざっと見た感じ危険性が有りそうなものは見当たりませんし、マクシム自体の姿も見えませんでした。しかもここ、どうやらかなりの広さがある様な感じです。


「有用に使えたらとても素晴らしい技術ですわね。やはり」


 それを見て私はこの人口ダンジョンの凄さを改めて確認し、絶対これを手に入れて見せると決意しました。


「ゴシュジンサマ、パスワードヲオネガイシマス」


「え?パスワードですの?」


 と、人口ダンジョンへの思いを募らせていると放置しっぱなしだったメカメイドがパスワードを要求してきました。何の為のパスワードか解らなかったので、取りあえず適当に入力してみるかと思い、してみると・・・


「言葉で言えばいいんですの?」


「ハイ」


「それじゃあ・・・1234」


「・・・。『ビーッ!ビーッ!』パスワードガチガイマス。サイニュウリョクヲ」


「ああああ」


「・・・。『ビーッ!ビーッ!』パスワードガチガイマス。サイニュウリョクヲ」


「ひらけごま」


「・・・。『ビーッ!ビーッ!』パスワードガチガイマス。・・・シンニュウシャトハンテイ」


「え?」


「タイオウプロセスヲハツドウシマス『ギョーン!ギョーン!』」


 何と吃驚、侵入者判定されてしまい、防犯機能的なモノが作動してしまいました。


「え?どうしたんお姉様?何事なん?」


「ああ、いえね?ミスして防犯機能を作動させてしまいましたの。ウッカリしちゃいましたわ☆・・・って!言ってる場合ですか私!」


 確実に『ウッカリしちゃった☆てへ』とか言っている場合ではありません!というか、唯の趣味の産物かと思いきやちゃんとした入口のガーディアンじゃないですかメカメイド!


「戦闘態勢!まわりに注意ですわ!後、私達の侵入がマクシムにバレタかもしれないのでそれも注意を!後・・・煩いですわよ!」


 私は自分にツッコミを入れつつも皆へと指示を出し、未だに『ギョーン!ギョーン!』と唸るメカメイドへ斧を叩き込み物理的に黙らせます。

 しかしそれは悪手だったのでしょう・・・


「ピピピ・・・ハソンジョウキョウガジンダイ。ジバクシマス」


「・・・へ?」


「「「・・・え?」」」


 メカメイドが・・・自爆してしまいました。


「「「きゃぁぁぁぁっ!!」」」


 幸いにもバフをモリモリに盛ってあったお陰で致命的な被害は受けませんでしたが、至近距離で爆発されたものだから私達は吹き飛ばされ床に体をしたたかに打ち付けてしまいました。

 そしてそこへ狙った訳ではないでしょうが敵の増援が到着してしまい・・・


「あ・・・ぐぅ・・・か・・・各自応戦を!」


 全員が少しふらついている状態で戦う羽目になってしまいました。


 しかしこれまた幸いか、現れた敵の増援はそこまで強くはなかったので大した被害もなく戦闘に勝利、難を逃れる事が出来ました。


「うぅ・・・申し訳ありませんでしたわ・・・」


 私は戦闘が終わると皆へと謝ります。なんせ人には『気をつけろ』といいつつ全ての行動が迂闊でしたから・・・。


「気にしないでくださいお姉様」


「せやで。偶にあるしな」


「・・・ふふふ・・・そうですそうです・・・寧ろ安心感すらあります・・・」


「ドジっ子お嬢様・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」


 それに対しての反応が少し解せませんが、とやかく言う資格も無いので甘んじて受け入れる事にします。

 それよりもです、こんな事をしている場合ではないので直ぐに体勢を立て直し動かねばなりません。


「謝ったのでこの話は終わり!向かうべき方向も恐らくですが解ったので行きますわよ!」


 私は皆へとそう言い、ある方向へと顔を向けます。その方向というのは敵の増援・・・メカ執事が現れた方向です。


(一様に向こうから現れた。つまりマクシムがいる、もしくは敵を待機させておく場所へと繋がっている筈ですわ)


 進んだ先にマクシムが居れば問題ありませんし、敵が待機している場所を見つけたなら後の邪魔となる増援部隊を潰せるのでそれも問題ありません。

 なので私達は体勢を整えると早速そちらへと向かいます。


(やはりゲーム時代のモノとは違うようですわね。全然知らない地形ですわ)


 進む中で周りの様子も確認していくのですが、思った通りこの人口ダンジョンはゲーム時代のモノとは別物でした。恐らくですが、ゲーム時代のモノはここから改良が加えられたモノなのでしょう。


「なんや手抜き感あるな」


「ですわね」


 その証拠と言いますか、ここは町を模したダンジョンなのですが造りが粗く、所々建物ではなく唯の四角い箱が置いてあったりしました。


(ふむ?ここを使うのは直近な筈なのにこれとは?そもそもダンジョン自体が違うのかしら?ん~・・・)


 進む中で考察もしていくのですが、こちらはさっぱり解りません。前世でもこの人口ダンジョンについては深堀されて居なかったですし、今世でも今まで類似したモノが作られた事も無いので全く持って何もわかりません。


「ですから貴方に聞けば解るのかしらねマクシム?」


「何がですか会長?」


 特に襲撃や罠もなく道を進んでいると何でもない様にマクシムが待っていたので、私も同じ様に何でもない様に気軽に声を掛けてみました。・・・まぁ質問が唐突過ぎて、返答は疑問しか帰って来ませんでしたが。

 しかし今重要なのはそれではないので、私は別の質問をする事にします。


「それは忘れてくれて結構。それよりもマクシム・・・ここで一体全体何をしてらっしゃるのかしら?」


「何をですか?それは勿論魔道具の開発ですが?」


「魔道具?一体どんなものですの?」


「色々ですね。先程見た使用人風の魔道具とか、そんなのですよ」


 望んだ返答は帰って来ませんでしたが、答えとしては普通・・・極々真面目な返答でした。しかしこの真面目な返答、やっている事を知っている身としては恐怖しか感じないものです。


(サイコパスってこんな感じなのかしらね?)


 やっている事を普通だと思っているのならこのまま話していても埒が明かないでしょうから、確信を着く様な質問をする様にしてみます。


 すると・・・


「そう・・・てっきり私はマクシム・・・いえ、黄の魔王、貴方が危ないモノでも造っているかと思ったんですけれどね。この人口ダンジョンとか・・・殺傷力の高い対人用の魔道具とか、ね」


「あ~・・・なるほど?ん~・・・ならどうでした?使用人風の魔道具も、一応無人の兵隊をコンセプトに作ってみたんですけど」


「数はいましたけれど弱い。戦いの場においてはあまり意味は無いかもしれませんわね。全機爆弾を積んでいたら解りませんけれど」


「そうですか。ふむふむ」


「危ないモノを造っているという事は否定しませんのね?」


「はぁ。まぁそうですね?」


「で、造ったモノはどうなさるおつもり?」


「勿論使いますが?あ、もしかしてほしかったりします?実際に人に使用してその使用感を教えてくださるのなら構いませんよ!」


 マクシムはあっさりとそれを認め、あまつさえ私に渡そうとしてきました。

 本来の私ならここで『あらぁ!いいじゃありませんの!こう、ながぁ~く痛みが継続するモノとかありませんの?』とか言ってウキウキで話しに乗るでしょうが、今の善なる女神であるこの私はそんな話には乗りません!


「マクシム・・・ああマクシム。興味がある事に対して貪欲なのは構いません。けれどね、倫理観や道徳心を忘れてはいけませんのよ?」


 それどころか女神らしく善を説いてみせます。


「はぁ?」


 まぁ、サイコパスさんにはさっぱり響かなかった様ですがね!

 それなら仕方がないと、私は武器を構えます。善なる女神の愛のムチを食らわせてやるのです。


「え?何故武器を会長?倫理観や道徳心は?」


「勿論私の中に溢れておりますわ。ですが貴方には足りない様なのでこれで注入して上げようと思いまして、ね?」


「む・・・無茶苦茶だ!」


「おまいう、ですわよ?」


 何かピーチクパーチクと言っていましたが、鬼子母神となった私は泣く泣くマクシムへと物理的な説教をくれてやる事にしました。

 すると向こうも『こりゃだめだ!』とでも思ったのでしょう、応戦体勢をとります。


「・・・おや?でも考えようによっては良いのか?会長達ならタフだし、一杯試せるかもしれないな」


 そして応戦体勢を取る途中に良い事を思いついたとでも思ったのか、そんな事を呟いていました。馬脚を現したという奴でしょう。

 こうなればもう遠慮はいらないので、私は全力を持ってマクシムと対峙する事にします。


「先手必勝!ですわ!『圧壊斧』!」


 なので私はこれで片を付けるとばかりに強威力のウェポンスキルを放ちます。直撃したなら名前の通り圧壊するかもしれませんが、恐らく大丈夫でしょう。相手は魔王だし、これは愛のムチですからね(謎理論。


「・・・あら」


 という訳でぶっ放した私のウェポンスキルですが・・・見事に決まりました。


 何時の間にか居た、メカメイドに。


「ソンショウダイ。コウドウフカ」


「ん~・・・耐久性は高い筈なんだけどなぁ。なら15号、26号、君達の出番だ」


「「ハイ」」


 更にマクシムは何処からか追加のメカメイドを呼び出し、こちらへと向かわせてきます。

 ですが私も1人ではないので・・・


「『紅蓮斬』!」


「『紫電突き』や!」


 追加のメカメイドはマルシアとサマンサによりあっさりと片付けられてしまいます。


「ふむ・・・?じゃあ・・・・」


 マクシムはそれを見て何か呟いた後、更に追加のメカメイドを(けしか)けてきます。


「・・・水の千槍ウォーターランスサウザンド・・・!」


闇の光線(ダークビーム)


 しかしそうなると先程の焼きまわしとなり、シーラとノワールによって片付けられ・・・


「38号、40号」


 ・

 ・

 ・


「119号も駄目か」


「・・・オホホホホ、楽勝楽勝」


 その後、『マクシムがメカメイドを(けしか)ける』→『私達が迎撃する』というパターンが幾度となく繰り返され、気が付くとマクシムが嗾けて来たメカメイドの号数は119にまで上がっていました。

 正直そこまで強くはないのですが、延々と繰り返されると中々面倒なモノです。


「120~150号、陣形2で」


 が、マクシムはまだまだやめる気はない様で、更にメカメイドを呼び出しました。流石にこれには私もマジ卍、ムカチャッカファイアーです。


「ちょっと!いい加減にしなさいなマクシム!男なら貴方自身が掛かって来なさいな!!」


「え?いや、まだまだ試したいんでそれは・・・というか会長、それなら会長も援軍を連れてこればよかったのでは?」


 ですが私の言葉にもどこ吹く風、どころか煽りまで入れてきます。


「クゥ~ッ!それは私だってね!連れて来れるなら連れてきましたわよ!でもね!最強の援軍は・・・!」


 これに腹を立てたので私は口が出てしまいましたが・・・そう、最強の援軍は連れて来ても良かったのですが諸事情により連れてくることはありませんでした。



 何故ならその援軍は・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「メカメイド!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 美少女型ロボットが出てきますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【因みに私の斧ですが、リサナウトという神木聖域産の武器を使っておりますわ。これは北欧の伝承に登場する武器・・・らしいですわよ!】


 マシェリーより宣伝

【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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[一言] 凄いドジっ子マシェリーさんだったw
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