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第23話 打ち上げ?いいえお茶会です

 パーティーから2日後の午後、オーウェルス家の庭園では打ち上げ・・・いえ、お茶会が開かれていました。


「お疲れ・・・ごほん。よくいらっしゃいましたわ3人とも、御機嫌よう」


「「「・・・?御機嫌ようマシェリー様?」」」


 少し言い間違えましたが、先ずは定型ともとれる挨拶を交わして席に着きます。そして席に着いたら定型も無いので、お待ちかねのフリートーク開始です。


「つい先日パーティーを開いたばかりなのにお茶会を開きましたけど、大丈夫でしたわよね?」


「勿論ですマシェリー様。というか、早くお礼を言いたかったんですから!後お話も!」


「うふふ・・・私もですマシェリー様」


「私は毎日でも会いたいですわお姉様・・・」


 若干1名あれですが・・・、やはり皆様パーティーの日の事を話したかったみたいで、本日のお茶会を心待ちにしていてくれた様でした。


 (やはり気分的にはイベント後の打ち上げみたいですわ。っと、まぁいいですわ)


「えっと・・・お礼とお話しと言うと、赤の魔王様と騎士団長様の事ですわよね?」


「そうですマシェリー様!本当にありがとうございました!そして話してみて解ったのですが赤の魔王様ですが・・・・・」


「うふふ・・・そうですマシェリー様!あぁ・・・あの夢のような時間・・・ありがとうございました!それで聞いてくださいマシェリー様・・・実はですね・・・・・・・」


「お待ちなさいな2人共、同時に喋られると解りませんわ。お1人ずつお話しなさいな、最初はそうね・・・マルシア様からお話しくださる?」


 マルシアとシーラはよほど話したかったのか2人同時に話し始めましたが、私はそれを諫めて1人ずつ話す様に促しました。

 すると2人は素直に言う事を聞きいれ、マルシアがある程度話したらシーラへと変わり、そこからシーラがある程度話したらまたマルシアへという感じで話す順番をローテーションさせてお喋りを続けたので、私はそれを楽しく聞きながらお茶を飲みます。


 ・・・サマンサ?サマンサなら私の隣でゴロニャン言ってましたわ。



 ・

 ・

 ・



「うふふ・・・という訳なんですよ・・・」


「まぁそこも騎士団長様の魅力ですわよね」


「そうです・・・はぁ~騎士団長様の事がたくさん喋れて満足です・・・」


「私もシーラ様の楽しそうな様子が見れて満足ですわ。さぁ、たくさん喋ったから喉も乾いたでしょう?ゆっくりお茶を飲みなさいな」


「ありがとうございます・・・うふふ・・・」


 お茶会が始まって3時間程が経ち、後1時間もすれば日が落ちて来るといった時刻、マルシアとシーラは一満足といった様子でお茶を飲み、喋りつかれた喉を潤していました。

 私はその2人の様子を見ながら、2人から聞いた話を頭の中でまとめます。


(2人が楽しんでくれたらそれでいいと思っていましたが、思わぬ副産物でしたわね)


 何故わざわざ2人の話を思い出しまとめるのか、それは私の知っているロマンスの情報とすり合わせる為です。


 赤の魔王は言わずもがなですが騎士団長、彼もロマンスで登場していたキャラクターです。・・・と言っても、本編ではちょっとだけしか出番がないキャラでしたが。

 それはともかく、2人は公式の設定資料集にある程度情報が乗っていたり、ゲームの中でイベントやフレーバーテキストにて情報を知ることが出来る人物達です。

 今回、現実の人間となったその2人の情報をマルシアとシーラから聞くことが出来たので、私の中のゲーム情報とすり合わせを行い、今後接する時の参考にさせてもらう事にしたのです。


(まぁ聞いた感じではゲームと大して変わりはなしですのね。ですが他の方もそうだとは言い切れませんし、油断は大敵ですわね)


 考えがまとまったところで空を見ると、太陽が大分下がっていることに気付き、そろそろ終わりにしなくてはと声をかける事にしました。


「皆様、今日はそろそろお開きにいたしましょうか」


「あら、そうですか・・・。っと、もうこんな時間だったんですね」


「うふふ・・・話に夢中になりすぎました・・・」


「時間が止まればいいのに・・・」


「3日後にまたお茶会を開きますわ。その時にまた沢山お話しいたしましょう?」


「はい!」


「うふふ・・・楽しみです・・・」


「はい・・・その時を心待ちにしています・・・本当に・・・」


 なんだかサマンサの様子が悪化している気がしますが・・・、皆様から色よい返事をもらった所で挨拶をして立ち上がり、3人が家の門へと移動しようとするので、私も見送りの為に一緒にそちらへ向かいます。


 その道中の事、私は私の腕に自分の腕を絡ませて歩いているサマンサに、予め考えていたある提案をする事にしました。


「ねぇサマンサ?」


「なんですかお姉様・・・?」


 サマンサはもう少しで私と別れるとなった事でションボリとしていましたが、私の口から聞こえた言葉に様子が変わります。


「今日・・・私の家へお泊りしていきません事?」


「・・・ふぇ?」


 最初は呆けたようになり・・・


「お・・・おと・・・お泊りですか!?」


 次に慌て・・・


「おおお泊り!お姉様と一緒!!一緒のベット!!!愛し合う二人!!!!」


 やがて興奮し始めました。

 流石に様子がやばくなり始めたので落ち着かせるために声を掛けます。


「サマンサ、どうどう・・・落ち着きなさいな!私は一緒のベットで寝るとは言ってませんわよ!?」


 私がサマンサにそう声をかけると、サマンサは一気にテンションが下がります。


「・・・え?お泊りなんだから一緒に寝てくれるのではないのですか・・・?」


「サマンサも子爵家の令嬢ですもの、寝る時はちゃんとゲストルームにご案内いたしますわ?」


「えぇ・・・聞いた話と違います・・・」


 サマンサはチラリと自分についてきた使用人を見ました。


(確かに以前恋や性について教える様には頼んだはずですが、この使用人どんなことを教えたのかしら・・・)


 少し心配になりつつ、どうした物かしらと考えていると、サマンサにクイクイと腕を引かれたのでサマンサの方を見ると・・・


(うっ・・・)


「お・・・おねえしゃま・・・」


 サマンサは目を潤ませながら縋る様にこちらを見ていました。


(ち・・・小さい子のこんな表情は反則ですわっ!)


「おねえしゃま・・・いっしょにねてくれないのでしゅか・・・」


「ぐっ・・・わ・・・解りましたわ・・・」


 私はまんまと敗北しました・・・。

 まぁでも、よくよく考えれば小さな子供達のお泊り会、貴族令嬢的には他人とベットで寝るのはどうかと思いますが、別に一緒のベットで寝たところで何かあるわけではありません。


「やった!うふふ、今日は良い夢が見れそうです!」


 なのでこの敗北は良しとしましょう。


 そんな私達の話が聞こえていたのか、マルシアとシーラも「私達もお泊りしたいです」と言ってくれたので了承しようとしたのですが、「駄目です!今日だけは私のお姉様なんです!」とサマンサが駄々を捏ねたので、マルシアとシーラのお泊りはまた今度という事になりました。


 和気あいあいと話しながら歩いていると、門近くに止めてあった馬車へと着いたのでマルシアとシーラとはここでお別れです。


「それではマルシア様、シーラ様、御機嫌よう」


「「御機嫌ようマシェリー様」」


 2人へと挨拶をして見送ると次はサマンサへと話しかけ、お泊りの件を話し合いました。

 結果、サマンサの使用人の1人が、私が事前に書いておいた手紙とオーウェルス家の使用人1人を伴ってマルドール家へ言づけに行く事になりました。

 突発的な事とはいえオーウェルス家からの頼み事です、多分断っては来ないだろうと思いながらサマンサの使用人を見送りました。


「戻ってくるのは1時間後って所かしら?」


「いえ、私も乗っていないしもう少し早いかと思います。お姉様の家と同じく、私の家もゲートから近い方ですし」


「そうですの。っと、いつまでもここにいるのもなんですし、私の部屋へ行きましょうか?」


「はい!」


 私が歩き出すと直ぐにサマンサは私の隣へと来て再び腕を絡ませ、よっぽどご機嫌なのか鼻歌まで歌い出しました。

 それを見て私の中に少しだけ罪悪感が生まれます。


(魔力についての検証がしたかっただけなのですが・・・まぁいいですわ、さっさと終わらせればいいだけですものね)



 私も初めてのお泊り会をちょっと楽しみにしつつ、オーウェルス家の中へと入って行きました。



 マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「お茶会し過ぎ問題」等思ったら、☆で評価やブックマークをして応援してくだされば幸いですわ。

 ☆がもらえると 更にお茶会の開催頻度が増えますわ!


 マシェリーの一口メモ

 【お茶会し過ぎでは?と思われるかも知れませんが、未だそこまで忙しい時期でもないので基本的に私達は暇なのです。その為、お茶会を頻繁に行っている訳です。一応コネクション強化的な家の思惑もあるわけですが、感覚的には『友達が家に遊びに来た』といった感じですわ。】

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