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第237話 セウォター―カンド王国との戦争≪イリス視点≫

 ≪イリス視点≫


 季節は立っているだけで汗ばむような夏、私達はセウォターカンドに一番近い港町『モヨゥセ』に居ました。

 何故居るかと言われれば、それは観光・・・ではなく、サークル活動の為・・・でもなく・・・


「異常なし!」


「備蓄はどうなっている!?」


「敵影なし!監視を続ける!」


 戦争の為でした。


 ・

 ・

 ・


 それは1月の半ば頃の事でした。


「イリス、2人で町へ出かけないか?」


「え?」


 私は唐突にグウェル殿下からそんなお誘いを受けました。

 遊びに行く分には全然構わなかったので直ぐに了承の返事を返そうと思ったのですが、『2人で』という部分が少し引っかかったので尋ねてみます。

 すると・・・


「まぁあれだ・・・デートという奴だ」


「へ・・・?・・・!?ででで・・・デートですか!?」


 何とそれはデートのお誘いだと言うじゃありませんか!私は驚き、流石にそれは遠慮願おうと拒否しようとしたのですが、どうもそれは()()()の理由だそうでした。


「そっ・・・そうなのだ!お も て む き !の理由としてデートとして欲しいんだ!いや、というのもだな・・・」


 グウェル殿下が言うには『秘密裏に情報屋と接触したい』との事で、その隠れ蓑としてデートという体をとって欲しいという事でした。

 私はまぁそれなら・・・と納得し掛けましたが、それなら自分の婚約者を誘ったらいいのではと疑問に思い尋ねてみました。が、あの人にもなるべくなら内密にとの事を言われてしまいます。


「正確には、彼女の家に内密にしたいのだ」


「家?オーウェルス家ですか?」


「ああ。その理由は・・・流石に話すと面倒になるので止めておく」


 グウェル殿下の言い方からするに貴族のアレコレが絡んで来そうな感じだったので、私はそれ以上は聞かずに唯頷いておきます。と、あの人を誘わない理由は解ったのですが、それならリアでもよいのではとも尋ねてみます。


「イリアス・・・か。いやな?先に誘ったのだが断られてしまったのだ」


「あ、なるほど」


 何となくリアの『あ~、ちょっとあれ何でごめんなさい!』という特に理由はありませんが面倒くさいのでパスという一連の流れが思い浮かび、私は納得してしまいました。


「解りました。いきましょう」


 そんな親友の尻拭い・・・ではありませんが、パスされた事項を私は受け取る事にします。というか、グウェル殿下も友達ではあるので頼み事は聞いてあげるべきでしょう。


 そんなこんなでデートと称した情報屋への接触ミッションをこなしたのですが、情報屋からグウェル殿下が受け取った情報が・・・


「こちらのリストの方々が開戦を推し進めている様です。恐らくこのメンツならば、王が止めなければ来年年辺りに開戦が濃厚かと・・・」


 というド級の爆弾情報で、聞いてしまった私は否応なしにそれに巻き込まれる事となってしまい・・・


 ・

 ・

 ・


(結果、こんな所にいるんですよね・・・)


 以上、私の回想でしたが、私やグウェル殿下やリアと言った何時ものサークルメンバーが戦場となり得る港町に居る理由はこんな感じです。


(あの人が私達を鍛えたり武器をくれたりしてたのってまさかこの為だったのかな?いやでも、武器をくれた後からはなんだか八つ当たりみたいな感じだったし・・・ん~)


 私はチラリと腰にさしてある神々しい剣を見やります。これをくれた人曰く、これは最後?まで使える凄い剣なのだとか。


(よく解りませんが良いモノだという事は解ります。あの人からの期待だと思って頑張りましょう。それにしてもセウォターカンド王国と戦争かぁ・・・知り合いもいるし嫌だなぁ)


 剣を見て知り合いを思い出したように、今から戦争する国に対しても知り合いの事を思い出します。セウォターカンド王国は一時期留学していた国、学友に商店のオジサンオバサン、教会のシスター等知り合いになった人は結構いるので、そんな人達と戦う事になるのかと思うと私の気分はドヨンと落ち込むばかりでした。


(だけど戦わないとこの国に居る知り合いの人達が・・・うぅ~・・・モンスター相手なら気が楽なのになぁ・・・)


「殿下っ!来ていたのですね!早速司令部へとご案内いたします!」


「ああ、頼む。皆、行こう」


「あ、はい」


 色々な事を考えているとグウェル殿下を迎えに来ていた騎士の人が私達を見つけたので、その人に連れられ私達は司令部へと向かいます。

 司令部へと着くと、中には何やら偉そうな雰囲気を漂わせた人達が一杯いて話をしていました。


「失礼します!グウェル殿下をお連れいたしました!」


「「「!」」」


「よい。ここは戦場だ、楽にせよ。それで?」


 そんな中グウェル殿下の到着が知らされると皆一様に立ち上がり礼をし始めましたが、グウェル殿下は直ぐにそれを止めさせ、現在の状況について話をし始めました。

 司令部の人達はそれを聞くなり直ぐに姿勢を直し、早速言う通りに状況を話し始めます。


「現在沖合にて散発的な開戦が発生しております。我らも海軍は有しているとはいえ、セウォターカンドに比べれば規模、武力は劣るので・・・・」


(あ、この人達はまともっぽいですね)


 その様子を見て私はそんな感想を思い浮かべていました。というのも、往々にしてある事なのですが、お偉いさんと言うのはちょっと()()な人が多いため、そういう人達が多いと話がグダったり、そもそも進まない可能性等があります。

 今回の戦争にしても、情報屋さんから貰った情報ではそういう人達が火を点けたので司令部の人達もそういう人達なんだろうなと思ったのですが、しかしここに居る人たちはそう言う事も無さそうなので取りあえずは一安心です。


「・・・・よって現段階では小競り合い程度に納め・・・・・」


 そんな人たちの報告を一通り聞くとグウェル殿下は頷き、少し考えをまとめる為に黙り込みました。

 そして少しした後、考えた結論を話し、それがまとまると一旦私達は退散する事になりました。


「宿へご案内いたします」


 私達は案内の騎士さんに連れられ宿へと向かいます。そして宿へと着いたら一旦食事をとりつつ、ブリーフィングをする事になりました。


「少しマナーは悪いが食べながら話そう。と言っても、やる事等は先程司令部で話していた通りだな」


「相手を引き込むためにワザと隙を作る、その為の工作ですね?」


「ああそうだ」


 私達のファースタットとセウォターカンドは海を挿んでいます。その為戦うとなると必然的に2つの国の中間、海上で戦う事になってしまうのですが、正直な所それはこちらとしてはあまり好ましくありません。

 理由としては大きく2つあり、1つ目はセウォターカンド王国の海軍が強いという事です。


(留学の時見学もしたけど、凄かったからなぁ)


 セウォターカンドは四方を海で囲まれた島国。となれば必然的に海軍は屈強になり、周辺国では敵なしとまで言われるほどになっています。

 そして理由の2つ目、それはグウェル殿下の存在です。


(魔王でも緑の魔王だと海上では制限がきつすぎますもんね。というか、船上で使われたら船が沈んじゃいそう)


 グウェル殿下は言わずと知れた緑の魔王。しかし緑の魔王の強さは陸の上でこそ発揮されるため、海上で戦うのは好ましくないのです。


 以上2つの理由から戦いの場を陸へと持ち込みたいため、私達ファースタット王国はセウォターカンド王国の人々がわざと侵攻出来る場所を作り出し、罠を仕掛けねばならないのです。


「明日から選定した場所へと赴き、土の魔法を使うモノ達と一緒に工事を行う事になる。この作戦は少し長引くかもしれないので、そのつもりでいてくれ」


「「「はい」」」


 その為に私達は明日から作業を始める事になるのですが、正直な所この作業中は体はえらかったですけど心は楽でした。



 何故なら、この作業が終わり戦争が始まってからは・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「脈無し!脈無しっ!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 脈が戻りますわ。


 イリスから一言

 【情報屋との接触場所をもうちょっと考えてほしかったです!】


 マシェリーより宣伝

【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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