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第235話 神木聖域ダンジョン 2

『アナタが落としたのは金の〇?それとも銀の〇?それともこちらの〇?』。この有名な問いかけは大体の人が聞いた事のある問いかけでしょうし、かくいう私も前世の子供時代寝る際に親から聞いた覚えがあります。


「旅人さん。アナタの剣は金の剣と銀の剣。どちらでしたっけ?」


 そして少々ニュアンスは違いますが、目の前にいる湖の妖精が問いかけて来るこの言葉も本質的には同じ問いかけなのでしょう。


(これがあの有名な話の問いかけならば答えは簡単ですわね。でも何でこれですの?パクり?)


 なので少し困惑しながらですが、私はその問いかけの正しい答えを答えます。


「どちらでもありませんわ」


 するとやはり正解だったのでしょう。湖の妖精は一言謝った後、違う剣をとりに行くため再び湖へと潜っていってしまいました。


「なんなんですかあれ?」


「な?落とすのもわざとらしかったし、違うモン持って来るし」


「・・・お姉様を挑発してるんじゃないです・・・?」


 湖の妖精が湖へと潜っていくと、先程の状況を見ていたマルシア達が何やら言っていますが・・・まぁ話は後でいいでしょう。

 という事で再び待つのですが、今度は先程よりも直ぐに出てきました。


 ・・・()()()()()()()()()()()()()


「すいません旅人さん。お待たせいたしました。落としたのはこの()()()()()()()でしたよね?」


「混ざってますわよ貴女!?」


 何か凄い物を持ってきたので、私はついツッコミを入れてしまいました。そしてなにやら後ろでサマンサが『流石ナイスツッコミや!』とか言ってますが、今はそれどころではないので放置し、頭の中で思考に耽ります。


(つい突っ込んでしまったけれど、本当に何なのかしら?エクスカリバー?確かにエクスカリバーは湖の妖精が授けたとか伝説では言われていましたが、何故金の斧銀の斧と話をミックス!?ん?エクスカリバーのは湖の乙女だったかしら?)


 といってもその中身はとりとめのないモノで、正直ツッコミの内容とレベルが変わりませんでした。

 が、またもやNPCさんが台詞を繰り返しているので、何とかそちらの事を考えなくてはと思い考えます。


(・・・取りあえず、原作?を忠実に再現してみましょうか)


 その結果、兎に角原作通りに正直に答えていく事に決めたので、そう答えていきます。

 するとそれも正解だった様で、再び湖の妖精は剣を探しに潜り、再度浮上してくると今度は私の渡した剣を持ってきた様でした。


「すいません旅人さん。お待たせいたしました。落としたのはこの『パメラ作・切れ味が良く頑丈かつしなやかな剣身をもつ名剣』でしたよね?」


「ええ。それですわ」


 褒め称えられるような名称で剣が呼ばれましたが、それもまた事実なので私は素直に肯定しておきます。・・・私の使っている物はどれも一級品なのですよ?何か文句でも?

 と、まぁそんな自慢はさておき、正直に自分の落とした物を答えたのです。予想通りなら今まで出してきたモノ全てが貰えるはずなのですが・・・


「素晴らしい。アナタは何と正直者なのでしょう。そんな正直者には金の剣、銀の剣、そしてエクスカリバーも一緒に差し上げましょう」


「・・・本当に貰えてしまいましたわね」


 無事、貰えてしまいました。


(というかエクスカリバー?やばすぎませんこと?あ、そうですわ)


 しかし偽物かもしれないので、私はふと思い出した鑑定を使い調べてみる事にします。


「どうかしらね・・・」



 品質:最高

 総合等級:A+

 所感:模 造 品。ほんの少しの神聖さを有している。



「やっぱり偽物じゃありませんの!!」


 すると鑑定にはでかでかと模造品の文字が!どうやらパチモノの様です。

 しかし、よくよく見てみると神聖さ?を有しているみたいなので、偽物は偽物でも高度に作られた偽物の様です。

 その証拠に少し振ってみると・・・


「いい仕事してるじゃありませんの・・・」


 程よく手に吸い付き、良い動きをしてくれます。


「ふむ・・・イリスにでも上げようかしらね?大分戦力が上がりそうですわ」


「お姉様。何1人で手のひらくるくるしとるん?」


「え?ああ・・・別に1人で遊んでいた訳じゃありませんのよ?ちょっと見極めを・・・ね?」


 そうやってエクスカリバーの事を試していると事情が全く解らないサマンサ達からツッコミを受けたので、私は先程の湖の妖精の事も含め説明していきます。


「・・・ということですの」


「へぇ・・・こいつがなぁ?」


「ええ。この湖の妖精が・・・って、貴女まだ居たんですの?」


 説明を終えた後サマンサに言われて初めて気が付きましたが、湖の妖精は何処かへ行かず未だ私達の傍に居ました。

 なので何か用があるのかと話しかけてみると、本当に用があったみたいで・・・再びNPCの如く会話が始まりました。


「ああ、そうだ旅人さん。これもアナタに差し上げましょう」


「・・・これは?」


「アナタ方の行く末に幸あらん事を。それでは私はこれで。さようなら旅人さん」


「え・・・はぁ。ごきげんよう・・・」


 湖の妖精は流石NPCと言いたくなるような会話を一方的にして来ると、レトロで解りにくいゲームの如く謎のアイテムだけ置いて去って行きました。ゲーム脳で考えると、恐らくこの先で必要になって来るキーアイテムなのでしょうけれど。

 兎に角、この場でやる事は恐らく終了?したので去る事にします。


「探索を続けましょうか」


「「「はい」」」


 森の中の探索が終わっていなかったので探索を再開しましたが、この森自体があの湖の為に作られたのか他には何もありませんでした。

 なので私達は入口へと引き返し、樹の回廊へと戻ります。


 ・・・が、樹の回廊へと出た時ふと思いついたことがあったので、私達は再度扉を開き、森の中へと入って行きました。


 ・

 ・

 ・


「アナタ方の行く末に幸あらん事を。それでは私はこれで。さようなら旅人さん」


「ええ!ごきげんよう妖精さん!これでサヨナラですわ!オーッホッホッホッホ!」


 ()()()を思いつき、再び森の中へと入った訳ですが・・・バッチリ成功してしまいました。

 何が成功したかと言えば何となくお気づきかも知れませんが、そう・・・


「カドゥケウスの杖!ゲットですわ!」


 アイテム増殖バグです。・・・正確にはちょっと違いますが。


「これも偽物ですけれど性能はソコソコ。最高ですわね」


「ですね。お陰でいい剣と盾を手に入れれました」


「けどなんなんあれ?ちょっと意味不明すぎとちゃいます?ウチのこの武器なんか金の槍でも銀の槍でもない言うたら『すいません。そうでしたか。ならもう一度探し・・・うわああ、脇腹に槍がー。あ、旅人さん。アナタが落としたのはこの槍でしたっけ?』やで?頭おかしなりそうやったわ」


「・・・それに何回来ても初対面面して来ましたしね・・・ふふふ・・・」


 まぁあれですね、一回出てもう一回来たらどうなるかと試してみたら同じ事が起こり装備を貰えたわけですよ。起こったイベントはサマンサが言う様に、武器毎に違いましたが。

 と、茶番をこなして全員分の武器をゲットした所でもう用はありません。なので私達は漸く1つ目の扉から進む事にします。


「またおかしな事が起こるかも知れないから、十分気をつけていきますわよ」


「「「はい」」」


 最初の扉は大して危なくはありませんでしたが、進む先はその限りではないので警戒を強めながら進んでいきます。


「ん~・・・何も起こりませんでしたわねぇ?」


 しかしまた次の扉に到着するまでは何も起こらなかったので、この神木聖域ダンジョンは『回廊部分は安全地帯。扉の中は本番のギミック部屋で、そちらを攻略していく事でクリアーに繋がる』、そんな作りになっているのかもしれません。

 なので扉を開ける時は細心の注意を払いながら、慎重に開けていきます。


「2つ目の扉・・・開きますわよ?」


「「「はい」」」


「・・・クリアー!ゴーゴーゴー!」


 扉を開けると特殊部隊さながらの動きで安全を確認し、繊細かつダイナミックに入室すると警戒を強めながらゆっくりと進んでいきます。


 そうやってハンドサインなんかを出しながらそろりそろりと進んでいると、川が見えてきました。


「・・・なんですのこれ?船?」


 そこには船らしき物が置いてあったのですが、それは不思議な形をしていました。


「船・・・ですか?この球が?」


「始めて見たわ。けど川に浮いとるし入口も一応あるから、お姉様の言う通り船ちゃう?」


「・・・入りたくないですね・・・」


 その船は球形をしており、材質も木ではない何かで出来ている様でした。触った感じは弾力があるのでゴムといった感じなのですが、ゴムで船を作る訳はない筈なので・・・謎です。

 しかしこれ見よがしに置いてあるので、これに乗れという事でしょう。覚悟を決め乗るしかありません。


「乗ってみましょうか」


「「「!?」」」


「大丈夫ですわ。最大限に防御を固めれば魔王クラスの攻撃でも数秒は持つはずですもの。さ、乗り込んで魔法でガードしますわよ!」


 といっても無防備に乗る訳にはいかないので、魔法でガチガチにガードして乗り込み、乗り込んだ後も船?に魔法をかけガードしていきます。


「・・・動き出しましたわね」


 そうして乗り込むとやはり何らかのギミックだった様で、入口が閉まり船は自動的に川を流れ始めます。が・・・


「あら?止まった?」


 船は直ぐに止まった様です。扉が閉まり外が見えないので何とも言えませんが、目的地に着いたのでしょうか。


『なら扉が開きますわね』


 なんて思っていた、その時でした。


『・・・ズガガガガ!』


「「「!?」」」



 船の上部を切り裂きながら・・・何かが私達へと迫ってきました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「バグNPC!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 修理してさしあげますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【サマンサがゲットしたのは聖人の腋を貫いたという逸話がある伝説の槍ですわよ!パチモノですけれどね!】


 マシェリーより宣伝

【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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― 新着の感想 ―
[一言] 固定仕様かよ(笑)
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