第232話 イカレタ女達
時間は少し進み、現在はぽかぽか陽気が気持ちいい4月の半ば。そんな陽気漂う真昼間に私は山奥にあるダンジョンの入口で・・・
「んぁぁぁ~~~!限界ですわっ!」
盛大に叫んでいました。
そしてそれにつられる様に・・・
「「「・・・っ!?同意っ!」」」
3人娘も叫んでいました。・・・ですがそれは仕方がないでしょう。
「自分でやっといてなんですけれど、来る日も来る日もダンジョンダンジョン!開いた日があれば楽しくも無いオジサマ方との会食!んんん・・・限界っ!」
ここ1、2月程は青と黄の魔王に対抗する為動きっぱなしでろくに休んでおらず、その所為で体力と精神は疲弊、イライラは最高潮になっていたからです。
かなりの山場なのでそうせざるを得ないとはいえ私達は遊びたい盛りの16歳、休みも入れなきゃ持ちません。
という事で・・・
「そうとなれば遊びに行きますわよっ!」
「「「は~い!!」」」
私達は全てを一旦ストップさせ、休みをとる事にしました。
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「で、お姉様。これ何処に向かっとるん?」
あの後私達はちょっぱやで王都へと帰り、各所へと3日程休むと連絡を入れてまわりました。
そしてそれが終わると荷造りをして王都を出てきた訳ですが・・・現在馬車に乗って進んでいる場所はかなりの田舎道。疑問に思うのも当然でしょう。
「オーウェルス家が保有する別荘に向かっていますわ。ですわよね?ノワール」
「はい。地図によると後30分もあれば到着する筈です」
なので答えてあげましたが、私達が現在向かっているのは自然に囲まれとてもゆったりできると言われている別荘です。
最初は海に行ってマルシア達を脱がし、ちょっとアレな写真でも撮ってやろうと思っていたのですが『まだ少し寒いので却下。どうしてもというならお姉様も脱いでください』と言われたのでそれは中止となり、ならどうしようとなった末に出たのがこの別荘だったのですが・・・
「お姉様、その別荘行った事ないん?」
「ええ。『良い場所ないかな~』となった時に広げたオーウェルス家の保養施設一覧の目録、そこに書かれていた場所を適当に選んだんですもの」
そう、実はその別荘には行ったことが無く、どんな場所なのかも目録に書かれていた『自然豊かでゆったりと出来る場所』位しか情報がありませんでした。その時は『癒されるならやっぱり自然ですわよね~』という安易な考えだったのですが、今思うと少し早まった選択だったのかもしれません。
しかし、もう30分の所まで来ていたので今更引き返せるわけもなく、私達はそのまま馬車に揺られます。
「着きました」
「・・・いいじゃない」
「「「おぉ~・・・」」」
30分位というのは当たっていたみたいで、その時間通りに別荘へと到着したのですが・・・別荘は中々良い具合でした。
「小さいけれど周りは花々に囲まれてて可愛いし、隣の家とも大分離れているので静かに出来そう。更に大きな大木が作る木漏れ日がグットポイントですわね!」
オーウェルス家が保有するにはかなり小さい(といっても下手な宿屋よりよっぽど大きい)ですが、かなりお洒落な造りをしていますし周りの環境もいい感じです。
これならば期待以上だと、私達は早速別荘の中へと入ります。
「「「ようこそいらっしゃいましたお嬢様。お嬢様の御友人方」」」
中に入ると別荘の管理をしている使用人達に出迎えられたので、彼女らに使える部屋へと案内をさせます。
「ここは如何でしょう?窓から見える景色もいいですし、日当たりも良好となっております」
「ならここにしますわ。外の馬車にある荷物を入れておいてくれるかしら?」
「畏まりました。では御友人方の部屋も案内させていただきます」
「あ、それはいいですわ。彼女達もこの部屋に泊めます」
「え?」
私が部屋を決めると、続いてマルシア達の部屋も案内しようとしていた使用人を私は止めます。理由としては折角の休みですから、彼女達とスキンシップでも取ろうかと思った訳です。
それを察したのか3人娘はニヨニヨとし始めましたが、察していない使用人は頭にハテナマークを浮かべ困惑していました。
「広いですし、せっかくここまで来たのです・・・お友達と楽しく過ごしたいじゃありませんの。ね?」
「そうでございますか・・・畏まりました。足りない寝具だけ追加させていただきます」
「それもいいですわ。ベッドは大きいし、全員で寝られますもの」
「畏まりました」
なので私は適当に理由を話しておき、納得させておきます。
「じゃあ、私達は散歩にでも出かけますわ」
そして無事部屋も決まった所で、私達は外へと出かける事にします。
夜のお楽しみも確かに楽しみですが、それだけだとアレですからね。ちゃんと外の自然でも心を癒してもらうとしましょう。
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翌朝・・・いえお昼、私達はモソモソと起きだし、ご飯を食べていました。
「今日は何をしましょうかしらねぇ・・・」
「何ならお姉様、寝室に籠っても・・・」
「ありやな」
「・・・ふふ・・・ありです・・・」
お昼に起き出した理由はまぁ・・・その、ね?夜遅くまで起きて色々していたからです、はい。
そして私の呟きを聞き、引き続き3人娘が『色々しましょう?』と行って来ましたが・・・
「そう。でも流石にそれだと休みにならないから、寝室に行くのは夜だけにしましょう?」
「「「は~い」」」
今の私は超絶スッキリしているので、誘いを断っておきます。・・・まぁその分また夜には楽しみますが。
と、今はそれは置いて置き、何をするかですが・・・
「ん~・・・昨日に引き続き、外でのんびりしましょうか」
結局の所、昨日に引き続きゆっくりする事にしました。
「昨日は辺りを散歩しましたけれど、今日は大木の陰でティータイムでもしません事?」
昨日ですが、部屋を決めた後は別荘周りの花々を見つつゆっくりと散歩等をしていました。
季節は少し旬を過ぎ掛けていますが未だ春、花々が綺麗に咲き誇っていたのでとてもリラックスできた午後となり、更に別荘へと帰ると、季節の野菜を使った料理を食べ、お風呂は木で作られた浴槽に入りとしたので、とてもいい休みの日を過ごせていました。
そんないい休みの翌日です、今日も良い休暇にするためにのんびりしようと提案すると、皆もそれに賛成してくれました。
という訳で、私達は昼食を終えると外に出て、近くにある大木の元へと移動しました。
「大きいですわねぇ~」
「ですね」
「別荘よりでかいんとちゃう?」
「・・・何の樹なんですかね・・・?」
昨日は大して疑問にも思いませんでしたが、改めて見てみるとこの大木は異常な大きさをしていました。どのくらい異常かというと、背は優に別荘の高さを越え、太さは直径で4,5メートル程はあるかもしれません。
「この樹は別荘が建つずっと前からあるそうです。古くから住む人曰く、200年物とかではないかとの話もあるそうです。樹の種類は・・・不明だそうです」
何処からか情報を仕入れてきたノワールが言うにはそういう事らしく、兎に角凄い樹だったようです。
が、凄い樹だったとしても何かある訳でもないので、私達は『へぇ~』とだけ言ってティータイムにする事にしました。
ノワールにイスと机を出してもらい、平らそうな場所を選んでセット。お菓子とお茶を広げて準備が出来たら、いざお嬢様のたしなみであるティータイムスタートです。
「おほほほほ・・・」
「あはははは・・・」
「なはははは・・・」
「ふふふふふ・・・」
『・・・・・・』
「・・・え?」
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【私達がどれくらい休みなしで動いていたかというと、早朝~夜までダンジョンor会食&裏工作をずっとです。寝るのと食事、お風呂の6時間位以外は動きっぱなしでしたわ!】
マシェリーより宣伝
【スローペースな新作が始まりましてよ!『センテイシャ』https://ncode.syosetu.com/n7217id/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




