第230話 予定通りのストーキング続行と予定変更の対魔王
ジェーンからもたらされた情報は正に青天の霹靂。私はポカーンとしてしまいます。
ですがジェーンは話を止めず、続きを話し始めます。
「これまでは赤の魔王擁するブラッド家がセウォターカンド王国と仲が良かったので問題なかったのですが、赤の魔王様が居なくなった事により一部の貴族達が暴走、そこにもっと国力を増強しようとする過激派達が煽りを入れたのです。結果、今では上層部に居る貴族達の半数程が開戦派になっている様です」
話を聞いていると少しづつ実感が沸いてきたので、そのゲームの設定と大体同じだった内容を聞いて頷き、同時に頭の中で結果がどうなるかを思い浮かべます。
(それで攻め込んだのはいいんですが青の魔王による反撃で侵略失敗。どころか青の魔王が逆進行を仕掛けて来るんですのよね)
ヒーローに青の魔王を選んでいれば時期がズレ結果も変わってくるのですが、そうでなければ私が頭に思い浮かべた結果となる筈です。
しかしそれでももう少し後になる筈なのですが、これはどうした事でしょう?
「ふむ・・・ジェーン、暴走している貴族達や煽っている過激派達は調べがついておりますの?」
「はい。まとめてある報告書がここに」
それを推測する為に暴走した貴族達や開戦を煽っている過激派達の名前を確認してみましたが、彼らの名前を見ても特に思い当たる事はありません。つまり彼らが原因ではない・・・筈。
ならば一体何がと考えてみますが、それ以上は特に思い当たる節もありません。
「お手上げですわね」
「はい?」
「いえ、こっちの話でしてよ。それより、ここであったのなら、ついでに他に報告も聞いておこうかしら。何かありまして?」
最初の衝撃から立ち直り、大体平常運転へと戻った私はジェーンから他に報告が無いかと聞いていきます。無いとは思いますが、ここで他の魔王が動く兆候があったのなら厄介極まりないですからね。
「はい。こちらとこちら、こちらですね」
私の声を受けてジェーンが報告書を何点か渡してきましたが、それらは魔王関連のモノではなく別に頼んでおいたものだったので、私はホッとしながらそれらを確認していきます。
そうして確認が終わるとそれ以上は用が無かったので、私はジェーンに挨拶をしてホテルを出ようと・・・した所で、もう1つ重大な事を聞き忘れていた事を思い出しました。
「ジェーン」
「はい。まだ何か?」
「2人はデートをしていた様でしたけれど・・・あれは貴女と会うための隠れ蓑だったのかしら?」
そう、イリスと殿下がデートしていた理由です。
もしかしたら2人がデートしていたのは『誰かに覚られない様ジェーンに会うため、デートと言う隠れ蓑を纏っていた』と、そんな事を思ってしまったからです。
まぁそれは知ったところで何という訳でもないのですが、何となく私の心がホッとする気がしたので聞いてみる事にしたのです。
「あー・・・」
「あ~?」
「そうだったんですか?初耳ですね」
「!?」
しかしその結果は私の心を乱すような答えでした。しかも・・・
「平民と王族がデートですか・・・いいネタになりそうです」
なんてジェーンが言い出したので、私はギロリと睨んでおきました。
「あ、いえ。嘘です。お嬢様の婚約者ですものね?そんな訳はないですよね~あははは~・・・」
私の心が向いているのはそっちではないのですが・・・まぁ良いでしょう。
兎に角、2人はジェーンと会うのは別として、唯単にデートをしているという事が解ったので尾行を続行するといたしましょう。
私は今度こそジェーンに別れを告げ、ホテルから出ます。そしてイリスと殿下の後を追おうと思ったのですが・・・
「どっ・・・何処に行きましたのあの浮かれポンチ達は!」
当然と言えば当然なのですが、私達がジェーンと話している間に何処かへと行ってしまっていました。
護衛達にも『私達が護衛も勤める』的な事を言った手前、『見失っちゃいましたわ~。てへぺろり~ん』とか言えませんし、2人がまたいかがわしい事をしそうになるかもなので見つけなければなりません。
なので私は予め聞いていた行き先である、広場の方へと向かおうとしたのですが・・・
「そっ・・・それよりマシェリー様!あっちを追いませんか!?あの2人組って多分、殿下と逆の部屋に入っていた2人ですよ!あの豚と女王様です!」
イリアスが『それよりも、もの凄く気になる人物達の後を追いましょう』と提案してきました。
「えっ!?どいつですの!?あ・・・あの如何にも紳士っぽいのと、いかにも素朴で性のせの字もしらなさそうな清純そうな子があの豚と女王・・・。よし、あの2人を追いますわよ!」
勿論私も興味津々だったので、イリス達の事は放置しその2人の事を追う事に・・・
「・・・って、気になるけど、今はイリスと殿下ですわよ!広場に向かいますわよ!」
賛同仕掛けましたが、今は豚と女王様より平民と王子様を追わなければと思い直し、広場へと急ぐ事にしました。
「あ、マルシア、サマンサ、シーラ。貴女達は豚と女王様を追いなさい」
「「「はい!お任せを!」」」
・・・まぁ、あの2人の後もちゃんと追わせましたが。
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「やはりデートでしたわね・・・ぐぬぬ・・・あの○ッチめ・・・」
帰って来た寮の自室にて、私は紅茶を飲みながら取り巻き達へと管を巻いていました。
というのもあの後、広場へと行くとイリスと殿下を発見する事が出来た私達は2人のストーキングを開始し、2人が寮へと帰るまで観察し続けました。
結果、やはり今日の行動は唯のデートで、ジェーンとのあれはついでだったという事が解ったのです。
なのでどうにも心がウネウネするので、取り巻き達へと絡んでいたのですが・・・
「はぁ・・・イリスの事はお姉様がそうなれと望んだとおりになったではありませんか」
「そやで。気持ちは解らんでもないけど、しゃあないやろ?」
「・・・ですです・・・何かを得るには、何かを諦めなければいけませんよお姉様・・・」
「ぐぬぬぬ・・・」
見事論破されてしまいました。
まぁそれは私も解ってはいた事なので、管を巻くのはこのくらいにして問題点を話し合う事にしましょう。
「はぁ・・・解りました。イリスの事は・・・棚上げしておきましょう。それより、発生した問題を話し合いましょうか」
「豚と女王様ですね!?」
「まかせや!すごかったで!!」
「・・・ぶーぶー・・・ふふふ・・・」
「それも確かに大問題ですけれど・・・違いますわよ!セウォターカンド王国の件です!」
「「「あぁ~」」」
私が言った問題という言葉に彼女らは豚と女王様を思い浮かべた様ですが、そっちではありません。
なのでそれは後で聞くと言っておき、セウォターカンド王国・・・いえ、青の魔王戦についての話を始めます。
「言いましたわよね?私の予想だと次は黄か紫だと。それが崩れそうなので予定を組み直さなければいけませんわ」
玄人の経験により次に戦う事になると予想していたのは黄もしくは紫の魔王で、対策装備等もそちらへと合わせて準備していました。
それを対青の魔王へと切り替えるのです。少し慌ただしくなるでしょう。
私はそれを皆へと説明し、この後の予定の大幅変更を伝えていきます。
「青の魔王相手だと、セウォターカンド王国へも少し細工をする必要がありますのよね。しかもそれと解らぬ様密かにと。あぁ後、青の魔王戦が終わった後の事も手配しておかなくては・・・」
それらを伝え終わるのは簡単ではなく、更に装備を製作するパメラやグロウ、グラァにも話を通しておかないといけないので時間が掛かります。
ですので、話は翌日にも行われる事となりました。
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「ほんでな?おもむろに豚が茂みに行ったかと思うと・・・・」
「・・・ごくり」
翌日、私達はロギヌス工房で雑談をしていました。
というのも、パメラはロギヌス工房で仕事をしているので問題ないのですが、グロウとグラァは別の工房でマクシムと仕事をしているので、彼女達が来るまで少し時間があったからです。
「うちら目を疑ったで・・・あんな子があんな・・・」
「来たろっ!」「来たらっ!」
そうやって雑談を続けていると双子がやって来たので、それまでしていた雑談を一度止め話し合いを始める事になったのですが・・・
「・・・なんですって?」
双子が『ちょっと話がある』と切り出した内容は、それまでの衝撃的だった雑談内容を凌駕するようなモノでした・・・
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ぶーぶー!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと 豚さんが鳴きますわ。
マシェリーの一口メモ
【本来の青の魔王戦の戦端は、『ファースタットの貴族がセウォターカンドの貴族にちょっかいを出す→ファースタットの過激派が煽る→色々あって険悪な関係に→激おこプンプン丸な青の魔王出☆陣!』と言った感じですわ。因みに、ちょっかいを出したのはわたくs・・・】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




