第229話 驚愕の・・・
燦々と輝く看板だったりど派手な外見ではありませんでしたが、その建物にはハッキリと『宿泊所』という看板が掛かっていたので、そこは間違えようもなくホテルでした。
そんな所へと男女2人で入ったという事は・・・そういうことでしょう。
「そ・・・そんな・・・何かの陰謀ですわ・・・」
しかし私はそれを素直に認められませんでした。散々2人の仲を深めようとしてはいましたけれど・・・決して認められませんでした。
「いえ・・・もしかしたら私が煽りすぎた・・・それにしてもいきなりホテルにいくだなんて・・・」
ロマンスが健全なゲームで、主人公とヒーローがキス位する事はあってもそれ以上の事は無かったので油断していたのかもしれません。というより認識があまかったのかもしれません。何故ならこの世界はゲームの様に感じるところがあっても現実。いかがわしい展開になってもおかしくはありません。
(・・・というか、私もちょっとしちゃってますし?って、今はそんな場合では!)
頭の中で現状を整理していると自分の事を思い出し、それを棚上げしていると破壊されかけていた私の脳は段々元へと戻ってきました。
そして脳がホボホボ戻ると兎に角今は事実確認をしなければと考え、ホテルへと凸する事にしました。
「私達もあそこへ入りますわよ!」
「「「え?あ、はい」」」
皆へと声を掛け、私達はイリスと殿下が入ったホテルへと入ります。
そして入るなり受付へと『先程の2人組の隣の部屋を!全員で入りますわ!』と言い、お金をドーンと詰み上げます。
そうすると最初は無理な注文を言ったせいで怪訝な顔をしていた受付の店員でしたが、直ぐにニッコリと笑顔になり部屋の鍵を渡してきたので、私もニッコリと笑顔を返しておきました。
そしてそれが終わると私達は渡された鍵の部屋へと急ぎます。
「よし!聴診器!・・・はありませんわね。なら直接耳を付けて会話を盗聴しますわよ!」
部屋へと入ると私はイリスと殿下の様子を確認すべく、壁に耳を当てて盗聴する事を皆へと言います。入ったホテルはそこまで高級でもなさそうなので、会話くらいは聞けるでしょう。
そうして皆で壁に耳を当てるという、少し間抜けな構図になり隣の部屋を盗聴し始めたのですが・・・かなり衝撃的な内容が聞こえてきました。
『・・・もっとしてk・・・僕は激し・・・・・気持ちよくな・・・・。・・・とブタを見るような・・・・激しく・・・・!』
『・・・い!ブタやろ・・・!・・・・!!・・・!!これ・!?・・が気持ちいい・・・・・ろう!・・!ブーブーと鳴いて・・・!女王様と・・・・!!』
「「「!?」」」
幸いにも思った通り壁はそこまで分厚くなく、会話は全てではないですが聞く事が出来ました。
が、聞こえて来たのはかなりハードそうな会話。寧ろこれだと聞こえてこなかった方が良かったかもしれません。
「まさかあの2人がそんな関係だとは・・・意外ですね」
「いやいや、そうでもあらへんかもしれへん。だって殿下ってお姉様に煽られとる時、微妙に嬉しそうな顔しとった気が・・・」
「・・・あ~・・・だから偶にいじめられても未だ婚約者を続けて・・・なっとくかもしれないです・・・」
現に先の会話を聞いたマルシア達はイリスと殿下の事を変態だと話し、かなり2人の見る目を変えていそうな感じでしたし、私も殿下の事がブタにしか見えなくなっていました。
(だけど女王様のイリスはアリかも・・・いやいや、無しですわ!ヅカ系は許せても、鞭を持った女王様は駄目ですの!)
こうしてホテルへの凸は、イリスと殿下がいつの間にか飼い主とブタになっていたという事実が解ったのみの収穫と・・・
「お嬢様方、伝えていませんでしたが、イリス様とグウェル殿下が居りますのは逆の部屋です」
「「「え?」」」
なったかと思いきや、そうでもない様でした。というか、何時の間にかそんな情報を仕入れていたノワール、出来過ぎる女では?
「こちらは紳士そうなお父様と10歳くらいの娘さんがお部屋をとっているとの事です」
「「「成程・・・っえ!?」」」
そして追加情報も話してくれたのですが・・・下手したらイリスと殿下よりも気になりそうな情報なのですが?
「マルシア、サマンサ、シーラ。そのままこちらの部屋の様子を聞いていてくださる?」
「「「はい!任せてください!」」」
という事で、そちらの事もそのまま盗聴する事にしました。
そして私とイリアス、ノワールはイリスと殿下がいるという逆の壁へと耳をくっつけ、本来の目的を遂行する事にしました。
(ふむ・・・?先程の様な激しい運動はしていなさそうですわね。そこまで盛り上げっている声がしませんもの。ん・・・?でも声が2人分ではなく3人分?)
聞き耳を立て始めると、こちらも途切れ途切れにはなりますが声が聞こえてきます。しかしその会話にはイリスと殿下の他にもう1人、女性とみられる声が聞こえてくるような気がしました。
『・・・・が・・・ので・・・・・ですね。後・・・・・・』
『ふむ。そうなる・・・・・は・・・・?・・・・・だと・・・・・が』
『・・・・・・す。・・・・がある・・・・・。』
『ええっ!?それは・・・・!じゃあ・・・・・・?』
しかもどことなく聞いたことがある様な声なのです。
ですが・・・
(内容が全く解らない上、声が小さいから誰の声かイマイチ解りませんわね)
3人で楽しんでいる訳でもないので声は小さく、得られる情報は極々わずかでした。・・・いえ、いかがわしい事をしている訳ではないと解ったので大きな情報かも知れませんが。
兎に角、イリスが清純派で間違いない事が解ったモノの何故こんなホテルへと入り3人で話などをしているのか、それがさっぱりと解りません。
「むむむ・・・一体何を話しているのかしら」
「ですねぇ・・・。あ、でもいいんじゃないですか?別にわからなくても」
「え?」
「だってここに入ったのって、イスがあれな行為に及んでるんじゃないかって事を確かめるために入ったんですよね?してなかったからいいんじゃないですか?」
「・・・確かに!」
言われてみれば、私がここへと入って盗聴行為をした理由はイリスと殿下があれな行為をしているのかを確かめる為。していないと確定したのなら、何をしていようが問題はない・・・のでしょうか?
「いえ、『確かに!』とか言ってしまいましたけど、問題大ありじゃありませんの?」
「そうですか?」
「ええ。確かにここへと直で来てこの状況なら問題はないのですけれど、今はデート中ですわよね?なのになんでその途中でここへ?おかしくありません事?」
「・・・。・・・確かに!」
私がおかしいと思いした反論に今度はイリアスが『確かに!』と言ってしまいました。・・・これもなんだかおかしいですね。
と、言葉遊びをして楽しんでいないで、どうするか考えましょう。
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といってもです、どうするかなんて簡単な事。
「ごめんくださいまし!」
隣の部屋に居た第3者へと凸すればいいだけの事です。
という訳で、上手い事イリスと殿下が先に帰り隣室にその第3者のみが残ったので、私達は隣室へと凸しました。
「ちょっと聞きたい事があるん・・・ジェーン?」
「は・・・はい。ジェーンですが・・・吃驚しました」
するとそこに居たのは何と情報屋のジェーン・ドウでした。通りで聞いたことがある声な筈です。
ですがこれはこれでラッキーかもしれません。
(顔見知りの方が話はスムーズに進みますものね。それに彼女は・・・)
知らない人物だと1~10まで説明した上で脅したり懐柔したりと、色々な手順が必要でしたが、彼女ならばある程度は手間が省けます。
という事で、私は早速彼女へと話しかけてみます。
「ジェーン、ちょっと聞きたい事がありますの」
「はい。ああ、よっぽど急ぎのお仕事でしたか?なんでしょう?」
「先程居た2人と何を話していたのか教えてくれません事?」
「・・・お嬢様。情報屋は情報の精度と共に信用も大事なんです。おいそれと他のお客様の情報は・・・」
私達が誰か等の省けるところを省き早速本題を切り出したのですが、流石にそれは無理だと断られてしまいます。なので私は必殺の交渉術を仕掛けてみる事にしました。
『・・・ドン!(お金が詰まった袋を置く音)』
「・・・え?お嬢様?」
『・・・ドン!ドン!(更にお金が詰まった袋を置く音)』
「いやいや、流石に・・・」
『・・・ドン!ドン!ドン!(更に更にお金が詰まった袋を置く音)』
「先程のお2人、イリスさんとグウェル殿下と話していた内容ですね。畏まりました」
どうやら私の必殺交渉術『大金殴り』が見事決まった様でした。
「まぁその内容はお嬢様の依頼とも関係があると言えばあるので、後ほどお伝えするつもりではあったので、それは誤解しないでくださいね?」
そして見事『大金殴り』を食らった、実はお金に弱い情報屋が言い訳と共に話し始めたのですが、その内容は・・・これまた驚くべき情報でした。
「実は・・・ファースタット王国がセウォターカンド王国へと攻め入る様な動きを見せているのです」
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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☆やイイネをぽちっと押すと イリスの清純度が上がりますわ。
マシェリーの一口メモ
【私の脳は守られましたわ!ですが、紳士と娘のハードなアレでおかしくなりそうですわ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




