第226話 ウェイ再び
実験の末『イリスの魔力を受け取ると能力が上がる』という事が解った訳ですが・・・私は大して驚かずに、『主人公らしい力だ』と受け入れていました。『順応性が高いな!』と突っ込まれるかも知れませんが、私は転生だか憑依だかをしたあげく魔法なんてものを使っているのです。いまさらと言う奴ですね。
という事で、事実を事実として受け入れた私はこの発見を生かすべく、イリスへとこの事を伝えます。
「イリス。理由は解りませんけれど、貴女の魔力には周りの者を強化する力があるようですわ」
「・・・へ?」
「そんな顔をされても、私もこれ以上は説明できませんの。唯、貴女はそう言う事が出来ると、そう考えておくとよろしいですわ」
「・・・はぁ。解りました?」
「まぁあれですわね、フレッドと戦った時の様なピンチに陥ったら使えばいいんですの。グウェル殿下にでも使えば大体のピンチは切り抜けられますわ。・・・多分」
「ふむふむ・・・」
まぁ伝えるといっても、かな~りふわっとした感じでしたが。
しかし取りあえずでも伝えておけば次の対魔王戦で活用してくれる筈なので、問題は無いでしょう。
(確かめるべき事は確かめられたし、後は・・・)
そして確かめるべき事は終了したので、次は通常訓練へと移る事にします。
「さて・・・それでは皆と同じ様に、通常の訓練へと移りましょうか」
「あ、はい。と言っても何をするんですか?ペイルさん達は武術、殿下は魔法を訓練してますけど」
「それはね・・・全部ですわ」
「え?」
「武術も魔法も知識も、戦いに必要そうなことは全部やりますわよ!」
そう、通常訓練へと!
「さぁ先ずは武術を学びつつ魔法の知識を詰め込んでいきますわよ!武器を構えなさい!」
「え、あ、はい!」
「前は鍛え方が足りませんでしたからね!今度はどの魔王が来ても太刀打ちできるようにして差し上げますわ!感謝しなさい!」
「はい!はい?」
「さぁ~!いきますわよ~!!」
主人公が敵に負ける様では話が成り立ちません。
なので私はイリスがどんな敵にも勝てるよう、心を鬼にして訓練を進めました。
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そうして訓練をする事1週間程・・・
「ごきげんよう皆様。さぁ、今日も張り切って訓練を始めましょうか!」
「「「・・・ぉ~・・・」」」
「・・・あら?元気がありませんわね?」
「「「・・・そんなことありません・・・」」」
皆は見るからに疲弊してしましました。
(流石にやりすぎだったかしらね?)
まぁそれも仕方がないのかもしれません。なんせ寝る以外の時間は常に訓練していたのです。流石に限界が来たのでしょう。
「やれやれ・・・軟弱ですわねぇ?仕方ありません、今回の合宿はこの辺にしておきましょうか」
なので私は今回のマシェリーズブートキャンプを切り上げ帰る事にしました。というか、普通に学園の冬休みも終わっているのでそろそろ帰るべきでしょう。
「あ、そう言えば今回は特別にお疲れ様会を企画いたしましたわ。王都に店を予約してありますから、そちらへと行って存分に疲れを発散いたしましょう」
そして合宿は終わりですが、訓練ばかりしてアレだとも思ったので今回はお疲れ様会と称した打ち上げを企画していたのでそれを伝えます。
「「「・・・!おぉ~!」」」
すると皆死んでいた顔が急に蘇り始めました。・・・現金なモノですね。
「元気が出た様ですわね。ならさっさと帰りますわよ!片付け始め!」
「「「はい!」」」
元気が出たのなら容赦はいらないとばかりに指示を出すと、皆はサクサクと動き始めます。
それを見て『もう1日くらい訓練しても良かったかも』とも思いましたが何も言わない事にして、私も帰り支度を始めました。
そして全員の帰り支度が済むと、サクサクと下山する事にします。
「帰りはこれを使って帰りましょうか。楽しいですわよ~?」
「「「???」」」
その際、私は皆へと2本の板と2本の棒を渡します。
そして皆へと渡し終わると、それらの使い方を説明していきます。
「この板はこう足に装着しますの。そしてこの様に・・・斜面を滑りますの」
勘の良い方だと気づいたと思いますが、私が渡したのはスキー板とストックです。まぁあれです。折角山の頂上から下って行くので、スキーを楽しんで帰ろうと言う訳ですよ。
「冬のレジャーとして来年位から流行らせようかと思っている遊びですの。それを皆様へと先行公開いたしますわ」
「別名、モニターともい「シッ!サマンサ!」っとと、なんでもあらへん。さ、皆、帰ろや」
といってもぶっちゃけスキーがこの世界で流行るかどうか解らないので、実験みたいなモノでしたが。
「オホホ!それでは最初はゆっくり行きましょうか。行きますわよ~」
まぁ知らぬが仏という事で、私はイリス達へは来年流行るレジャー先行公開という事にしたままスキーを楽しんで貰う事にしました。
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そうして楽しんで下山した後王都へと着くと、宣言した通りにお疲れ様会を開く為、私達はある場所へと向かいました。
「店も予約して、今日は私達の貸し切りにいたしましたわ!存分に楽しんでくださいませ」
「「「おぉ~!」」」
その道中、勿論と言っていいのか皆はウキウキとしていました。
しかし・・・皆私が普通の店を予約してあると思っているのでしょうか?
(最近好感度を落とすために色々やっているのにねぇ?)
本性は善人なマシェリーちゃんですが、最近皆には悪役ムーブをかましているのです。疑わないなんて甘々と言わざるを得ません。
「さ、着きましたわ。ここですわよ」
「「「・・・んん?」」」
「ごきげんよう!予約しておいたオーウェルスですわ!」
「「「お帰りなさいませ、お嬢様方。お帰りなさいませ、ご令息の方々。輝く星の一同、お帰りをお待ちしておりました」」」
そんな事だから、まんまとホストクラブへと入ってしまうのですよ。
「さぁ皆様、奥の席を予約してあるので行きますわよ」
「ウェーイ!俺が案内させていただきまーす!あ、俺はペガサスと言います!チョリッス!」
私は未だ『ん?』となっている皆の背を押し、案内に出てきたウェイ系ホスト・ペガサスの後へと続かせます。
そして席へと到着すると適当に飲み物を頼ませ、勢いのまま乾杯させます。
「かんぱ~い」
「「「・・・か・・・かんぱ~い?」」」
「ここかぁ・・・かんぱ~い」
「わ~い!かんぱ~い!」
殿下やお付きの男性陣は不思議な顔をして乾杯していましたが、一度来た事のあるイリスやイリアスはいち早く正気を取り戻し乾杯していました。
と、このままだと男性陣が可愛そうなので、一応説明をしておくとします。
「グウェル殿下、ここがどんな所だかは知っておりますか?」
「一応は・・・?だがこういう所は女性が来る場所ではないのか?」
「あら!そんなことありませんわよ!男性でも来ていいんですのよ?それに、扇情的な女性がいる店でお疲れ様会をするのもあれでしょう?ね?」
「ふむ。まぁ確かにそう・・・なのか?」
「そうですわそうですわ。あ、ペガサス!皆疲れておりますの。ガッツリ系の料理を持って来て下さる?」
「ウェーイ!リョ!っす!」
まぁ物凄く適当な説明でしたが。
そうして物凄く適当な説明を男性陣へとした後、私は料理を運んできたペガサスへとある人を読んで来てくれる様言います。
「リョ!っす!ちょっち待っててください」
そのある人とは、私がわざわざお疲れ様会にここを選んだ理由である・・・
「いらっしゃい。こんにちは皆さん、俺はムラサキと言います」
そう、紫の魔王ヘイズ・パープル・ヘンドリックでした。
「何人かは知っている顔だね。それと・・・そちらはグウェル殿下では?」
「ああ。・・・む?ムラサキとやら、何処かであった事があったかな?」
「いえ?初対面ですよ殿下。ですから、よろしくおねがいします、ね?」
「・・・ああ」
ぶっちゃけここをお疲れ様会の会場に選んだのはムラサキの様子を見る為だったのですが・・・何やら面白い状態になっていました。
「それにしてもムラサキ、いやムラサキ殿」
「殿だなんて殿下・・・気軽にそのままムラサキでいいですよ」
「そうか。それでムラサキ、お前かなり強いな?」
「まぁ、これでも一応B級冒険者ライセンス持ってますしね。そこそこですよ」
恐らく魔王だけに感じる何かがあるのでしょう。殿下はムラサキへと積極的に絡んで行っていました。
正直あまり収穫を期待していなかったのですが、ソコソコの収穫が見込めるかもしれません。
「そうですよ殿下。この方は召喚魔法等も使える、ソコソコ強いお方ですのよ?以前見た時は・・・」
なので私も色々と情報を得る為そこへと加わり、色々話を続け・・・
『・・・パチン!・・・』
「・・・っく!何をするマシェリー!」
「あら、ごめんあそばせぇ~?」
気が付くと、グウェル殿下に平手打ちをかましていました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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☆やイイネをぽちっと押すと ウェイがウェェイになりますわ。
マシェリーの一口メモ
【特にありませんことよ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




