第225話 次に向けての修行と実験
「会長?どうしたんですか会長?」
「・・・え?あ、いえ、何でもありませんわ。オホホホ」
少しと言っておきながらガッツリと回想してしまっていた私は、マクシムに声を掛けられ回想の世界から帰ってきました。
「えっと・・・それで何の話だったかしら?」
そして回想の世界へと旅立っていた私は全く話を聞いていなかったので、何の話をしていたのかと問います。
すると『先ずはどのような事から手を付けましょうか?』という事だったので、私は少し考えた後、魔道具の開発を命じました。
「魔道具の開発ですか?どのような?」
「ここに条件をまとめたモノがあります。これを元にお願いできるかしら?」
マクシムへと渡したのは『スイッチを押した後爆音が鳴る魔道具』『付近一帯に知らせを届ける魔道具』等、数点の魔道具について書いてあるメモです。
それを受け取った彼はサッと目を通した後了解を示してきたので、なるべく早く作るように指定し、次の指示は出来次第だと言っておきました。
「では以上となります。開発をする場所や人員、物についてはここを使ってくれても構いませんわ」
「解りました」
「よろしい。では私達はこれで。帰りますわよ貴女達」
「「「はい」」」
「ではごきげんようマクシム!オーッホッホッホッホ!」
そして面通しや作業の指示も終わったので私達は帰る事にしたのですが、帰りの馬車の中でサマンサが質問してきました。
「倒すための魔道具の開発を本人に頼んでいいんです?手の内バレバレになるんとちゃいますか?」
その質問は『確かに!』というモノでしたが、勿論私にも考えがあったので答えておきます。
するとその答えにサマンサは納得し、続いてもう1つ質問してきました。
「儲けれそうな魔道具の開発は何時から頼むんです?決まっとったら大々的に広告とかだしますけど?」
それは彼女らしい質問で、私は思わず笑ってしまいました。ですが確かにそれも重要な質問だったので、私は答えます。
「そうですわね、ん~・・・・」
と、この様な話をしながら私達は学園へと戻り、部屋へと戻るともう少し話を詰める事にしました。
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黄の魔王と紫の魔王への対応を進めていると何時の間にか時間は過ぎ、気が付けば新年を迎えていました。
そんな新年を迎え1月も半ばになった頃、私達が現在居る場所は・・・
「うぅ~・・・山に居ると一層寒いですわねぇ・・・」
「しかもいつぞやの時と違うて、山頂付近やしね。あ、見てやお姉様、寒すぎて樹に触ったらポロっと折れたで」
「あら本当ね」
冬の雪山、その山頂付近にある比較的平らな場所でした。
こんな所で何をしているのかと言えば・・・そう、勿論・・・
「あばばばば・・・寒すぎて剣がまともに振れません・・・」
「僕の魔法はこの様な場所、気温だと発動しにくいのだが・・・」
イリス達の修行です。・・・まぁ正直、場所のチョイスを間違えた感がありましたが。
それというのもイリスとグウェル殿下が口走った通り『兎に角寒い!』、これに尽きます。
「冬で修行と言ったら山だと思って来たけれど、ん~・・・失敗でしたわね!ごめんあそばせ!」
漫画やアニメだと修行は山で行っている事が多いので雪山へと来たのですが、実際行ってみると戦闘経験より生存経験が養われそうで、これには私も正直に謝ってしまいました。
ですが折角来たので、修行は続けることにします。
「ほらほら殿下のお付きの方々、背を丸くしないで姿勢を正しなさいな。素振りは正しい姿勢で行う!ほらほら!」
「「「そそそ・・・そんなこといっても・・・」」」
「そんな事では再び魔王級の敵と戦う時に爪の先程の役にも立ちませんわよ?」
「「「・・・っく!1!2!1!2!」」」
「よろしい。マルシア、サマンサ、シーラ。貴女達はこのままペイル達を見ていてあげて」
「「「はい」」」
私は少し前にあった対魔王戦の事を引き合いに出し、彼らを奮起させていきます。するとそれに思う所があったのか、彼らは寒さでガタガタ震えていただけの体を怒りや情けなさの震えへと変えて素振りをし始めました。
「殿下も!魔法が発動しにくいからなんて言い訳等、生死のかかった戦いにおいては通用しませんわよ!」
「わ・・・解っているさ!緑の硬樹!」
「よろしい。ノワール、殿下を見ていてあげて」
「畏まりました」
殿下へも発破をかけると、彼自身対魔王戦では戦力としては微妙だったことを思い出したようで奮起し始めます。
(うんうん。正直貴方がメイン火力にならないといけませんからね。がんばってくださいましね殿下)
私はそれを見て頷くと、最も重要な人物である主人公へと顔を向けます。
「そしてイリス!」
「は・・・はい!」
「貴女は・・・」
「はい・・・!」
「ちょっとこっちへ来なさい」
「はい!」
イリスへは発破をかけるでもなく、皆から少し離れた位置へと誘導します。
そして・・・
「イリス」
「はい!」
「ちょっと貴女・・・私を抱きしめなさい」
私はイリスへとハグを求めました。
「はい!・・・はい?」
皆が真面目に修行している中でいきなりこんな事を言われたイリスは不思議な顔をしていましたが、これは私の欲望を発散せせる為のモノではないので安心してほしいところです。
しかし今よりする事を説明するのもアレでしたので、黙って私を抱く様促します。
「わ・・・解りました。では・・・ふぉぉぉ・・・」
するとイリスは頷き、私を正面から抱きしめましたが・・・
「・・・少しだけ鼻息を抑えてくださる?」
「あ・・・荒くないですし!私の呼吸はこれが正常ですし!」
(好感度がまだまだ高いですわね、喜ぶ所か嘆く所か・・・むむむ。でもナイス感触ですわよ!)
興奮しているのか鼻息が荒く、下手したら事案に見えるところでした。
とまぁ、順調に調教されてしまっているイリスは一旦置いて置き、今回の修行を行った理由でもある、ある実験を始める事にします。
「少し魔法を使いますが、貴女は気にせずそのままで居てくださいまし?」
「え?はい。解りました」
「よろしい。では・・・火の球」
私はそのままの状態を維持したまま、魔法を数種使っていきます。
そして満足した所でイリスへと次の指示を出します。
「ふむ・・・?ちょっと離してくださる?」
「あ、はい」
「失礼?」
「え?えぇっ!?何で急に私の胸を触るんですか!?」
「まぁまぁ・・・」
「えぇぇ???」
「あ、もう一度抱きしめてくださる?」
「えぁ???はい???」
「よろしい。火の球」
その後もイリスへと妙な指示を出しつつ、実験を続けます。
時にはグウェル殿下や、お付きのペイル達を呼びながら・・・。あ、因みにですが殿下やお付きの方々には手を触れさせる程度の接触しかさせていませんからね?
と、色々な条件を付けて実験した結果、満足の行く結果が出たところで私は実験をストップさせます。
「ふむ・・・」
「???」
未だイリスは私が何をしていたのか解らないようでしたが、私はそれに応える事も無く頭の中で先の実験結果をまとめていきます。
そしてまとめた末に出た答えは・・・『イリスの魔力を受け取ると能力が上がる』という、とんでもないモノでした。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「イリスさん?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと イリスがまともになりますわ。
マシェリーの一口メモ
【修行と言えば冬の雪山で正拳突き、もしくは滝行ですわよね?】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




