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第222話 魔王戦後の話

 魔王対魔王という滅多にない戦いが起きてから数週間経ち、季節はすっかり冬になっていました。


「・・・」


 そんなある冬の日、私は()ブラッド家の領地にある墓地に来ていました。


(私の為すべき道の犠牲となってしまった方へ感謝を。謝罪はしませんわよ?決意の元に行った、私が成すべき事をした結果なのですから)


 墓地に来た理由は至極当然ながら墓参り・・・慰霊です。

 先の私の心の声を聴くと『慰霊?』と首をかしげたくなるでしょうが、あれは私なりの慰霊なので納得してください。


「っと、先にお掃除した方がよろしかったですわね、失敗失敗。さぁ、アナタ達も一旦掃除に移りましょう」


「「「はい」」」


 普通、墓地へ来たのなら最初に墓を清掃、その後に参るのですが、私は来た直ぐに共同慰霊碑へと参ってしまいました。

 なので一旦それは切り上げ、清掃、そして花を供えて慰霊碑や墓を綺麗に整えます。


 そしてそれが終わると、再びお参りを始めます。


「今度は共同の慰霊碑だけでなく、個人の墓へも参りましょうか」


「「「はい」」」


 共同慰霊碑もあるのですが、出来る事ならば別れている墓の方も参った方がいいだろうと考えたので、私は短いながらも今回無くなった方の墓を周り手を合わせていきます。

 そうやって順々に回って行くと、最後に他のより大きな墓へと来たのでそちらにも手を合わせていきます。


「フレッド・・・ゆっくり休んでくださいましね」


 そう、この大きな墓はブラッド家のモノです。


「貴方にも謝りはしませんわよ。あれが正解・・・とは言い切りませんが、正しい道のりだった筈なのですから。ですから貴方にも感謝を。私の道、その礎になってくれたことに・・・」


 私は回って来た墓と同じ様に祈り、手を合わせます。

 すると一緒について来ていたノワール達も同じ様に手を合わせ祈り始めたのですが、その中で1人だけ手を合わしたと思ったらすぐに止め、頭をポリポリとかいている人物が居ました。


「先祖が入ってるから手ぇ合わしたがよ・・・流石に俺自身に手ぇ合わすのはなぁ・・・」


「オホホ、それもそうですわね。なら私達もこのくらいにしておきましょう」


 そう、フレッドさんです。


 ・・・え?死んで無いやんけ!?ですって?


 勿論死んでませんよ(ニッコリ


「いやしっかし、マシェリーなら普通に俺にトドメ差すと思ったんだがな・・・」


「そんなもったいない事・・・おほん。私達は友達でしょう?そんなことする筈がありませんわ」


「いやまぁ、いいんだがよ」


 なんせ彼は美味しい美味しい神ユニット、死なせるにはもったいなさすぎます。


 というのは半分冗談で、まぁ彼は本当に友達ですし、かなり気の良い人物です。殺すはずがありません。


「ですけどフレッド、世間的には死んだ事になっているのでかなり不便にはなりますわ。そこは了承してくださいましね?」


 まぁ、世間的には死んだ事にはしてありますがね。


「おう。それは解ってんぜ。ま、のんびりするのも結構好きだからよ。それはそれでいいって奴よ」


「ありがとう。ですが折りを見てそれも解除しますわね。多分そう・・・5,6年もあれば解除出来る筈ですわ」


「ほぉん?」


 世間的に死んだ事にしているのは、()()()()()()()()()という奴です。


(ロマンスでは攻略している魔王と戦った魔王は死んでいきましたからね。それに沿わなくては・・・)


 ロマンスでは基本、仲間になる魔王は攻略している人物1人になります。一応攻略している人物以外もユニットとして使える場面もあるのですが、それはお試し的な意味合いが強く直ぐ離脱してしまうんですよね。なので都合上、フレッドは表舞台から退散させざるを得ないのです。


「ご家族の方もその時同時に貴族籍へと戻る事が出来ると思いますわ」


「あー、そっちは好きにしてくれ。親父達も民は大事だが運営はめんどいって言ってたから、もしかしたら拒否するかも知んねぇしな」


「そうですのね」


 因みにフレッドの家族であるブラッド家の面々、彼らは内乱を起こしたとして処刑される所でしたが、私が食い止めある地方に追いやっておきました。フレッドも今はここに居ますが、この後彼もそこへと行く予定です。


「っし、手合わせた事だし、そろそろ親父達のとこへ行くとするわ。またな」


「ええ。偶に遊びに行きますわね」


 話していると丁度区切りがいいと思ったのか、フレッドはそう言って去って行きました。


「私達もそろそろ帰りましょうか」


 私としても一通り回り手を合わす事が出来たので、そろそろ帰る事にし、馬車へと乗り込みます。

 そうして馬車に揺られながら学園へと向かった訳ですが、途中暇だったので私は今回の件諸々について話をする事にしました。


「サマンサ、避難した人たちや前線基地になった町の報告は今聞けるかしら?」


「いけますよ」


「じゃあお願いできるかしら?」


 先ずは人や町の状況についてです。


「了解や。えぇっと・・・町は壊れたとことか修理中で、未だ人入れるには少し掛かりそうって感じやね。避難した人等については、事前にきっちりとしたトコ作っといたで、意外にも『帰らんとここに住みたい』って人も居る位やから問題は無さそうやね」


「ふむふむ」


()ブラッド領の人らも、当初こそ混乱はあったけど今は平時位に戻っとるな。ま、下のモンは上が変わってもそこまで変な政策とらんだら変わらんいうこっちゃね」


「そう。まぁでも、今後は私が管理する事になったのです。きちんとして差し上げてくださいまし」


「了解や。代官に伝えときますわ」


 そういえば言ってなかったですが、ブラッド家が管理していた領は現在、オーウェルス家・・・いえ、私が管理しています。

 これは内乱戦争が終わり浮いたブラッド領をどうするかとなった時、私が父親に頼みオーウェルス家の管轄へとしてもらい、更にそこから私に管理させてほしいと頼み込んだ事でそうなりました。

 因みに何故そうしたかというと・・・


(流石私達のA☆NI☆KI、義理人情味がマックスですわ)


 そう、フレッドに頼まれたからです。

 彼は戦いが終わって目を覚まし、現状を把握した瞬間先ずは自領の人達の事を頼んできたのです。

 私としてもゲーム時代の好きなキャラNo1に頼まれたら無下にする事は出来なかったので、彼の願いを叶えさせてもらいました。

 結果、私が管理する形に落ち着いたと言う訳ですね。


(最終的にはあそこを私の本拠地にしてもいいですし、ブラッド家へと戻してもいい。ですから整備はきっちりとしておかなくては・・・っと、次にいきますか)


 とまぁ人や町の事はこのくらいにして、次の話題へと移る事にします。


「次に王国の情勢ですけれど・・・一番詳しそうなノワールは御者をしていますわね。誰か情報仕入れたりしましたかしら?」


「軽くなら」


「ウチもかるーぅやな」


「・・・同じくです・・・」


「ならマルシア、話してくださる?」


 次の話題としては王国の情勢です。自国の魔王と魔王が潰しあいをしてしまったので、かなりの影響が・・・


「表面上は特に大きな変化はありませんね。まぁ慌て過ぎると他国が眼を付けて来るからでしょうけれど」


 無い様です。いえ、無い様にした様です。

 しかしこれは十分理解できるので、流して他の事を聞きます。


「まぁ、そうですわね。グウェル殿下はどんな感じかしら?」


「赤の魔王を倒した強き魔王。彼の者が居ればファースタットは安泰。と、この様な感じですね」


「まぁ予想範囲内ですわね」


「はい。そういうプロパガンダを張らなければ、それこそ他国がちょっかいを出してくるでしょうから」


「国内も荒れますものね」


「はい」


 グウェル殿下については、彼が強い魔王だと言う事を全面的に押し出し、プッシュしていく作戦の様です。まぁ事ここに至っては隠していると逆に響きそうですし、それでいいのでしょう。

 とまぁグウェル殿下についてはここまでとして、一番重要な所を聞いてみる事にします。


「では・・・グウェル殿下と一緒に戦ったイリス。彼女についての評判は何かありまして?」


 そう、我らが主人公の事です。原作だとここら辺りから一気に名が売れて来るのですが・・・


「イリスはそうですね・・・殿下、緑の魔王と一緒に赤の魔王と戦った人物として、貴族間ではかなり名が出ている様です」


「平民なのに、と?」


「はい」


 といってもそれはプラスの意味だけでなく、マイナスの意味もあります。


(貴族が名を売ったのなら万々歳ですが、やはり今の状況だと平民が名を売るのはあれですか・・・)


「平民間では?」


「公に広まってはいませんが、知っている人は・・・と言う感じですね。更にその知っている層では、かなり人気が高いようです」


 しかしマイナスだけでない様で、原作通りに平民間では良い意味で徐々に注目を集めていっているみたいでした。


(良い具合ですわね、よしよし。ああ、そうだ・・・)


「変な力や謎の力を持っているとかはありませんでした?」


「いえ、その様な事は全く」


「そう・・・」


 そのついでにイリスの力についても聞いてみたのですが、そちらはさっぱりの様です。まぁ本人もさっぱりなので、噂が出回る訳もないといえばないのですが。


(後で思い出してみると、どう考えてもキスした後から強くなっていましたものね。・・・やはり主人公パワーは愛で目覚める的なアレなのかしら?)


 あ、変な力や謎の力というのはあれですね、所謂『チュー事件』が起こった事のアレです。


(どう考えてもそれまでは負け濃厚だったのに、()()

 があった後から競り合えるようになった何て、確実そうでしょう!?でも何で私と・・・え?まさか私攻略対象?)


「お姉様?」


「・・・っは!?何でもありませんわ!なら次、私の事はどうですの!?何か噂されてまして!?」


「あ、それはですね・・・・」


 と、『チュー事件』の事を考えていると妄想が爆発思想だったので、私は慌てて次の話へと移ります。



 しかしその後の話はイマイチ頭に入って来ず、気が付くと私達は学園へと帰って来ていて・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「生きとったんかいワレェー!!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 兄貴がピースしてくれますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【あいるびーばっく byムキムキ兄貴】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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― 新着の感想 ―
[良い点] おぉ、魔王死ななかったのは意外です!マシェリーさんが案外にかなり上手く事態を運べましたね〜
[良い点] 愚問!ヒロインはお前だぁー!! [気になる点] で、万能悪役令嬢のマシェリーは何色の魔王を名乗ればいいんだ?
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