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第220話 欲深い者達と蠢く者達

 ≪ファースタット王国・王城の一室≫


 王城にある一室には数十名の貴族が集まり、会議が開かれていた。


「今回の戦争による被害は・・・・・」


「今回の戦争にかかった費用は・・・・・」


 その会議の内容は先の魔王反乱の件についてだ。


「被害はおよそ・・・・」


「費用に関しましては・・・・」


 最初は極々真面目な報告から始まり場は引き締まっていたのだが、徐々にそれは欲望渦巻く内容に変わり、場は王国に巣食う魑魅魍魎達の夜会へと変わっていく。


「しかし赤の魔王が反乱とは・・・やはり力を持つモノは危険ですなぁ」


「ですがそれも果ては犯罪者。それに魔王の力を誇って言い気になっていたブラッド家も此度の事件にて破滅ですぞ・・・キシシシ・・・」


「それで、ブラッド家が管理していた利権はどうするんですかな?ウチは彼の家の持っている利権と重なる所があり、スムーズに運用できるのですが・・・」


「いやいや、それならばうちも・・・」


「利権もそうですが、ブラッド家の者達はどうしますかな?やはり・・・」


 しかしそんな夜会にも真面な者は若干名は居り、彼らは先立っての報告の際は喋っていたのだが、今は口を閉じて黙し、話し合いには参加せず目を閉じていた。


「「「・・・」」」


 その中には此度の戦争に出ていた緑の魔王・グウェルも居たのだが、彼は殊更この現状を嘆き、ついつい小さな声で呟いてしまっていた。


「やれやれ・・・これが王国の実情か・・・」


「殿下・・・声には出さない方がよろしいかと・・・」


「解っているさクロスブレー卿。だがな・・・」


 緑の魔王であるグウェルは正真正銘この国の王族。であるならば、声を大にして正々堂々と魑魅魍魎達へと注意する事が出来る筈だが・・・現状はそうもいかなかった。

 何故なら・・・


「いや、やはりここは王家が一時利権を預かるのが当然というモノだろう?戦争の立役者もウチのグウェルなんだしさ」


 魑魅魍魎達の首魁が父親であり現国王であったからだ。


「ふむ・・・そうかもしれませんなぁ・・・」


「然り然り!しかし見事な後継者を持ち陛下は羨ましいですなぁ!」


「まぁ俺の息子だし?っとそうだ、この際ここに居ない非協力的な貴族の力を削ぐためにだな・・・」


 その為グウェルはそのまま聞くに堪えない話を聞き続けるしかなく、会議の最後の方では吐き気さえ催していた。


「では今会議はここで閉廷とする。今回の収拾役に選ばれた者達は、後日集まり再び話をするとしよう。では解散だ」


 しかしそれを何とか乗り切り会議が終了したので、彼はこれ以上胸糞が悪くならないうちに場を去る事にした。


「はぁ・・・この国は・・・」


 だがその胸中にはいつまでも淀んだものがへばり付いている様に感じ、その元凶たる者達への複雑な感情が渦巻いていた。



 -------------------------------------



 ≪とある町の郊外に建てられた教会・その隠された一室≫


 薄暗く湿った空気が籠っていそうな部屋の中、数名の異様な雰囲気を持つモノ達が椅子に座り話し合いをしていた。


「魔王の一角が散った。赤は確かファースタットだったな?」


「はい。3名居る内の1人です」


 その内容はやはりと言っていいのか、今話題の魔王についてだ。

 だが彼らの話し合いは一般人がするような内容とは少し違い、物騒なモノだった。


「3名も居たから手出しは出来なかったが、これならば少しは手が伸ばせるやもしれんな」


「はい。確実にゴタゴタしていますしね。それに今の上層部はホボホボ腐っていますので、賄賂や女を使えば軽くいくでしょう」


 石像に灯った火が照らす中、彼らは話を続けていく・・・


「偉大なる炎が降臨するには、今しばらく・・・」


「はい。解っています。全ては偉大なる炎の為・・・」


 彼らが信じる、()()()の為に。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。今話で第5章終了とさせていただきますわ。という事で、次話より第6章が始まりますわよ!ご期待なさっててくださいまし!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 謎だらけを残した戦闘終結ですね、色々な原因も不明のままですし。 しかし本当に乙女ゲーをしているですね、ヒロインが好きな対象とキスしたら愛の力を謎の目覚めてパワーアップを成し遂げましたwww…
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