第218話 赤の魔王戦4
『殴って勝つ!コレですわ!』
『あぁ?ッハ!イイじゃねぇか!かかってこいやっ!』
『え?えええぇぇぇっ!?』
と、イリスの困惑した声と共に再開したフレッドとの戦闘でしたが・・・
「うぉっ!?んだぁ!?うらぁっ!」
「どうしましたのフレッド!?動きが鈍っていましてよ!?」
「鈍ってねぇ!っつぅのっ!!」
「甘いですわ!パリィ!からの流れ太刀!」
「があっ!」
「私もいますよ!流水切りっ!」
「うがぁぁっ!」
何故か割と優勢に戦えていました。
その原因は恐らく、私が叫んだ通りフレッドの動きが鈍っていると言うのが原因だと思うのですが・・・
「クソッ!何かいきなり動きが早くなったじゃねぇかオメェ等!」
フレッドが言うには『私達の動きの方が良くなっている』との事でした。
これに何時もの私なら『いえ、確実にフレッドの動きの方が鈍っていますのよ』と言ってしまう所でしたが、私は共にフレッドを攻めているイリスを見て確実にそうだと言えずにいました。
「はぁっ!たぁっ!流水切りっ!」
「うぉっ!くっ!赤の波動!」
「こっちもいい加減慣れましたっ!えいっ!」
「っくそっ!これにも付いて来やがんのかっ!」
それはこの様に、フレッドが強化魔法を使ってもまともに打ち合えているからです。・・・少し前までなら、フレッドと打ち合うと数号で形勢が不味くなっていた筈なのですが。
(いえ、今はそれはどうでもいいですわね。勝てば全て良かろうなのダァーッ!ですわ!)
しかし勝利の前にはそれは些細な事という事にして、私は構わずイリスと共にフレッドを責め立てます。
「流水切り!ついでに雷の矢!!オーッホッホッホ!まだまだ行きますわよっ!」
「その通りです!闇の光線!水の千槍!」
「え?」
「何ボーっとしてるんですかマシェリーさん!攻撃をっ!」
「えっ・・・ええ」
何故か今まで使っていなかった魔法もバンバン使ったりしていますが・・・ええ、それも些細な事・・・ではありませんが取りあえず今は置いて置き、フレッドへと攻撃を続けます。
「千鳥舞!螺旋水流!」
「そんな技も持ってるんですねマシェリーさん!私も負けませんよ!雷の祝福!からの・・・こうですか!螺旋水流!」
(み・・・見様見真似!?そんなのアリですのっ!?)
2人だけになり圧力が下がったと思いきやそうでもないので、怒涛の攻めを繰り出し攻め立てます。
途中何かイリスが見よう見まねでスキルを習得し出したりと、チート技を繰り出し始めます。
そうなると防御を抜けないと思っていたフレッドの防御を少しずつ抜き始め、遂には彼の体には傷がドンドンと増えていきました。更に、攻撃の合間にチラリとノワールやシーラ達の方を見ると、彼女らも起き上がって来ている様子が見えました。彼女らは体勢を立て直したここに加わってくれるはずなので、そうすればフレッドの防御は完璧に抜ける事でしょう。
そう、思っていた時でした・・・
(よし!もう少し粘れば・・・)
「ぐぉっ!っく・・・っそがぁぁぁ!赤の波動!並列機動!」
フレッドも不味いと思ったのでしょう、切り札を切ってきました・・・魔法の多重起動です。
「ふっっ!」
「「・・・っ!!」」
「おぉぉぉらっ!爆竜掌ぉ!」
フレッドの切り札である多重強化魔法の効果はやはり物凄く、私達はフレッドの動きを終えなくなってしまいます。そうして私達が彼を見失うと、フレッドはその一瞬のスキを突き攻撃を仕掛けてきました。
「危ないっ!っぐっ・・・」
「っきゃぁ!」
狙いはイリスの様でしたが、私は間一髪のところで2人の間に滑り込み盾でガードします。
しかしあまりにギリギリだった為盾のウェポンスキルを使う事が出来ず、イリスを巻き込み吹き飛ばされてしまいます。
「ついでにコイツも喰らっとけや!赤の牡丹っ!」
しかしフレッドはこれだけじゃ甘いと思ったのでしょう、追撃で魔法を撃ちこんできました。
その撃ち込まれた魔法は範囲も広く威力もそこそこある赤の牡丹、まともに食らうとゲームオーバーでしょう。
「「ウォ・・・水の防御壁!」」
ですが幸いにも少し前の事故みたく絡み合って吹き飛ばされた訳ではないので、私達は魔法を発動させフレッドの攻撃を防御する事が出来ました。
しかしそれらは・・・
「おぉぉぉっ!赤のぉ・・・極炎華っ!」
これを決める為の準備だった様です。
(赤の極炎華ですって!?不味っ・・・!)
赤の極炎華、この魔法はフレッドが使える最高威力の魔法だった筈なので、下手をすると骨すらも残らず燃えて尽きてしまうかも知れません。・・・というか、燃え尽きるでしょう。
なんせ目の前には・・・煌々と輝く小さな太陽があるのですから。
「え・・・えぇぇ・・・」
高威力の魔法だと言う事は知っていましたが、実際に見るとこんなトンデモ魔法だったとは思いもよらず、私は目を点にしてしまいます。
そしてイリスもこれには驚愕した様で、『うそー』と呟きつつ遠い目をしていました。
「って『していました まる』じゃないですわよ!イリス!あらんかぎりを尽くして防御!急ぎなさい!」
しかし呆けている暇はないと、直ぐに我を取り戻した私はイリスへと叫びます。彼女もそれで我に返った様で、直ぐに魔力を練り始めました。
そして魔力を練り終わると、急いで防御魔法を展開します。
「火の加護!」
「水の防御壁!」
「燃え尽きろやぁぁぁああっ!」
防御魔法の展開はギリギリ間に合ったようで、殺す気満々のフレッドの魔法を防御する事が・・・出来ていませんでした。
「っくぅ・・・」
「ま・・・不味いですよ!マシェリーさん!このままじゃ!」
「解っていますわよっ!解っているからっ!もっと魔力を振り絞りなさいっ!」
圧倒的に防御力が足りていないのでしょう・・・煌々と輝く小さな太陽の勢いは少しも弱まらず、ちっぽけな私達の防御魔法毎私達を飲みこもうとしていました。
(不味い不味い不味い!抑えきれませんわ!)
イリスには魔力を振り絞れと言いましたが、彼女はどう見ても既に一杯一杯。私としても既に全力を出しているので、防御魔法はこれ以上強化する見込みはありません。
(ノワール達は!っく・・・まだフラ付いている!アイテムも・・・駄目ですわね)
ならばと皆の様子を見てみても間に合わなさそうですし、今使えるアイテムを思い出してみても雀の涙程度の助力にしかならないでしょう。
つまり・・・完全に詰んでいました。
「命は取らないと言ってましたのにっ!こんなの喰らったら確実お陀仏ですわよフレッドぉぉぉ!」
「ハーッ・・・ッハ・・ッ!燃え・・・えろ・・・!燃え・・・がれ・・・ぇええっ!」
一応一縷の望みを託しフレッドに声を掛けてもみますが、フレッドが完全にハイになっているからか、はたまた魔法の所為で声が届いていないのかで、反応はありませんでした。
と言うより、『命は取らない』宣言はフレッドに圧倒的余裕があったからこそしたモノであって、追いつめた結果それが無効になってしまったのかもしれません。
(くぅ・・・大人しく敗北宣言しておけばよかったですわ・・・)
私は今更ながらそんな事を心の片隅で呟いてしまいましたが今更ですし、したらしたで後悔していたでしょう。
(あはは・・・どっちもどっちですわねぇ~・・・)
そんな風に半ばやけになっていた、その時でした。
『仕・・いですねぇ、れい・・・は・・・』
何処からか、聞いた事がある様な声が聞こえた気がしました。
「え?」
「マシェリーさん!見てください!威力!弱まってますよ!」
ですがそれは一瞬で、その後聞こえてきたイリスの声の方が重要だったのでそちらへと意識を傾けます。
するとそれは本当だった様で、確かにフレッドの魔法の威力が弱まっていました。恐らくですがこのまま防御し続ければどうにかなる・・・それほどに、です。
「・・・踏ん張り所ですわよイリスっ!」
「はいっ!」
なので私は弱気になっていた心を奮い立たせて魔力を全力で放出し、イリスにも声を掛けます。
「ど根性ぉぉぉですわよぉぉぉ!」
「はぁぁぁぁぁあああっっ!!」
しかしこのまま続ければどうにかなると思っていたのは攻撃側・・・フレッドも同じだった様で・・・
「クソッッ!大人しく燃え尽きやがれやぁぁぁぁああっっ!!」
彼もあらんかぎりの魔力を振り絞り攻撃を続けます。
そうして長い様で短い様なせめぎ合いが続き・・・
「オーッホッホッホッホ!どぉ~んなもんですわぁっ!」
「や・・・やりました・・・ね・・・」
「・・・っそ・・・ぜぇぜぇ・・・」
私達は見事、フレッドの最強攻撃をしのぎ切りました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【つい☆ヤっちまうんだ by○○○ド】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




