第214話 戦場の悪役令嬢さん
マシェリーよりお詫び:申し訳ありませんが、今回はかなり短めとなっておりますわ。次回にご期待!という事で許してくださいませ!
「そろそろイリス達とフレッドが戦いだした頃かしら」
「ちょっと前から前が騒がしいし、そうなんじゃないかい?」
赤の魔王擁するブラッド家と王家+周辺領連合が戦っている戦場で、私は椅子に腰かけお茶を飲みながらのんびりとしていました。
これに『戦場でのんびりしとる場合カァーッ!?』と思われるかも知れませんが、私が居るのは戦場の最後尾にいる補給部隊、しかも別に指揮を執る者がいるというお飾り隊長の役を貰っているので、特にやる事がないのです。
まぁそういう事なので、暇を持て余した私がここに来る行軍の最中に度々クレームを入れていたのも仕方のない事なのです、ええ。
(いやまぁ、あれは私の印象操作的なモノも含んではいましたけれどね?)
先程『特にやる事がない』とはいいましたが、それでも普通は『何かやってる感』を出すためにそこら辺を見回ったり、そこらに居る兵士へと無駄に『○○はどうなっている?』的な事を聞いたりするもので、優雅に椅子に座りながらお茶をキメているのは異常だと言えるでしょう。
しかしこれ、実は印象操作をするためにワザとやっている事だったりします。
(私は『悪役令嬢』マシェリー・フォン・オーウェルス。色々出来るけれど、傲慢かつ非常識でなくてはいけませんからね)
魔王同士が相対するという今回のイベントは、世界にとって相当重要なファクターが存在します。
それは『魔王同士が戦った』『ブラッド家が内乱を起こしたのは、中央にいる貴族達の腐敗が原因』といった、現実であるこの世界にとっても大きな意味を持つモノだったり、『敵の魔王を、少女と味方の魔王が倒した』という、ゲームとしてとても大きな意味を持つモノがあります。
そしてまた、ゲームとしてのファクターの中には・・・『傲慢で非常識な貴族の少女がいた』、これが必要なのです。
勿論と言っていいのか解りませんが、これらのファクターを取り除く事も可能です。・・・例えば敵の魔王を私が倒すとかですね。
しかし今回のファクターは事が事なだけに、後々色々な事が如何転がるか解らなくなってしまう危険性があるのでなるべくならば取り除きたくないのです。
ですから私はわざと我儘に振る舞ったり、性に奔放な姿を見せたりと、ヤリたい放題している訳です。
あ、因みに性の方ですがご安心ください。
「んー、ちょっと前を見て来て下さる?レイラ」
「あいよ」
「あら、言葉が崩れていますわよ?」
「いや、それを言ったらマシェリーだってレイラって言ってるじゃないか」
「あら失礼。では、頼みましたわレイ」
「あいよ・・・です姫」
そう、私としっぽり夜を過ごしたイケメン使用人のレイの正体、実は先輩冒険者でもあるレイラなのです。
ですから、私が男を連れ込んで ピー な事をしているという事実はありませんし、他のイケメン使用人もレイラの知り合い女性冒険者ですのでマルシア達もアレな事はしていません。まぁ私はレイラとちょっと楽しい事はしましたが。
「うふふ・・・」
「何変な顔してるんだいです?見て来たですよ?」
「あら失礼。貴女との夜を思い出してましたの」
「・・・忘れなください」
と、良い夜を思い出しているとレイラが戻って来たので、私は戦況を彼女から聞きます。
するとやはりフレッドと戦い出している様で、場がかなり荒れているとの事でした。
「なら、念の為に様子を見てきましょうか」
一応イリス達に稽古をつけましたし、グウェル殿下も魔王として覚醒はしたので恐らくですが戦えている筈です。
なのでこのまま座して成果報告を待ってもいいのですが、フレッドが私の想定を超えてくる場合もあるので様子を見て来るに越した事はないので、私は戦闘準備を始める事にしました。
「鎧装着」
ノワールとの研究で偶然生み出せた装備早着替え魔法で鎧を簡単装着し、マルシア達にも同じように魔法を使って装備を着けていってあげます。
そうして対フレッド用装備へと着替えが済んだなら、私はレイラへと補給部隊の指揮を執っている者に『暇だからぶらついて来る』と言づけして来るように頼み、補給部隊が留まる戦線の最後尾を離れます。
そして魔王達と主人公が戦いを繰り広げる戦場へと向かったのですが・・・
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「やぁ!」
「魔力弾!」
「雷の槍!」
「土の壁!」
「よっ・・・ほっと。赤の石楠花」
(・・・様子を見に来て正解だったかもしれませんわね)
私が魔王達と主人公の戦場へと赴くと、そこにはベテラン魔王に翻弄される新米魔王と主人公の姿がありました。
新米魔王と主人公にはガッツリと稽古を付けさせたはずなのですが、それでも尚足らなかった様です。
「・・・お姉様、あれは不味いのでは?」
「・・・ウチもそう思うんやけど」
「ええ。ですからタイミングを見て割り込むかもしれないから、何時でもいける様にしていて」
「「「はい」」」
それはマルシア達もそう思っていた様で、もの凄く心配そうな感じで声を掛けてきました。
私はそれに対し、飛び出せるように身構える様に言い、魔力を練り始めます。
すると幾分もしない内、ついに・・・
「赤の波動っと・・・うし、そろそろギア上げてくぜ?」
「「「え?」」」
(・・・っ!不味そうですわね!)
不味そうな雰囲気を強く感じ、私はマルシア達へと短く声を掛けつつ魔法を紡ぎ始めます。
そして・・・
「赤の星爆」
「出ますわよ!」
「「「はい!」」」
フレッドが最終辺りで覚える筈の魔法を唱えたので、私は場へと飛び出しました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ピンチに現れる・・・ヒーローかな?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと 私が名乗りをあげますわ。
マシェリーの一口メモ
【鎧装着の魔法は闇魔法のアイテムボックスを応用した魔法となりますわ。ものすっっっっごく!便利ですわ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




