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第212話 報告、そして・・・≪イリス視点≫

 ≪イリス視点≫


 暫くした後、何とか我を取り戻した私とグウェル殿下は皆を連れ本部へと歩を進めていました。


「仮にも僕と言う婚約者が居て男遊びだと・・・!?確かに家同士の婚約だが余りにも・・・ブツブツ・・・」


「有り得ない・・・何でそれなら私に色々と・・・いやでも確かに最近は・・・ブツブツ・・・」


 ・・・いえ、嘘です。両者ともに余り我を取り戻せておらず、皆に引きずられる形で本部へと向かっていました。


「ブツブツ・・・はぁもう・・・後でまた調べなくちゃ・・・あ」


 そうやって欝々とした念を吐ききった頃、丁度と言っていいのか解りませんが本部へと到着します。隣を見ると殿下も私と同じような何とも言えない表情をしながら本部を見ていたので、彼も取りあえずの鬱蒼とした気持ちからは逃れられたのでしょう。


(というか、殿下って意外とマシェリーさんの事好きだったんでしょうか?いえ、婚約者だから不満げに思うのは当然と言えば当然何でしょうけど。ん~・・・)


 テンションダダ下がりの私は連鎖する様にテンションが下がる様な事を考え始めてしまいますが、リアに『そろそろ気合入れてくださいっ!』と背中にパンと張り手をかまされた事で正気に戻ります。


「イタッ!・・・何するのリア」


「話が進まないからですよ!ほら!グウェル殿下もっ!」


「ツァッ!?何をするんだイリアス!」


「私達は赤の魔王と戦いに来たのであって、恋敵と戦いに来たのではないんですよっ!しっかりしてくださいよっ!・・・今の、上手くありません?」


 続けてリアは殿下にも同じような事をします。

 そしてそれが効いたのかは知りませんが、私と殿下はややしゃっきりとした感じになり本部へと入って行きました。


「やっと来たんですのね殿下とお付きの方々。・・・遅くありません事?」


 本部へと入るとマシェリーさんの元へ通された訳ですが、開口一番このような事を言われてしまいました。

 私と殿下は咄嗟に『誰の所為だ!』と叫びそうになりましたが、リアに背中を突かれた事により押し止まります。


「・・・すいません」


「・・・すまないな。で、色々と聞きたい事があるんだがいいか?」


「あら?・・・そうですわね、取りあえずお掛けになって?」


『今は我慢。今は我慢』と念じながら謝り、言われた通り椅子へと腰を下ろすとあのイケメン軍団がお茶を出してくれます。


「・・・どうも」


「・・・」


 それに私は一応礼を言って受け取りますが、殿下なんかはマシェリーさんに手を組まれていた人を睨みつけたりしていました。

 その様子が愉快だったのか、マシェリーさんは目をニヤつかせながらこちらを見て・・・


「・・・ふむ?」


 いる事もありませんでした。寧ろ『あれ?』みたいな顔をしていました。

 しかしそれも一瞬の事で、直ぐにすました顔に戻った彼女は話を始めました。


「さて・・・殿下達が此方へと来たのは状況を把握する為でよろしかったんですのよね?」


「・・・ああ。昨日『色々やっておいた』と言っていたが、それらを聞いておきたい。というより、何故ここに居るんだ?そしてこの者達は?」


 それに殿下が応えますが、その時ついでとばかりに疑問に思った事を追加で尋ねていました。


 ・・・まぁそれらは流される、若しくは意味深な笑顔で返されていましたが。


 と、それはさておき『色々やっておいた』の部分ですが、それは本当に色々でした。

 例を挙げると、住民達の完全なる避難とその確認、複数からなる兵士達の指揮系統の確立、訪れた商人達の受け入れ等々です。


「まぁ?私にかかればこの様な作業ちょちょいのちょいですわ!オーッホッホッホッホ!」


 それらの事を報告した後、マシェリーさんは自慢げに高笑いし始めましたが、これは素直に感嘆し拍手しておきます。いえ、本当に普通に凄いので。

 しかし何が不満なのか私達の拍手を打ち切り、『ふんっ』と鼻を鳴らしていました。そして続けて、『で?』と言って来たのですが、これには訳が解らず、私も殿下達も頭に疑問符を浮かべてしまいました。

 それに対しマシェリーさんは『ヤレヤレ』と言った感じでもう少し詳しく話し始めたのですが・・・


「殿下まで察しが悪いとは・・・」


「いや、流石に今の流れではさっぱりだぞ?」


「ふぅ~・・・まぁいいですわ。私が言いたいのはですね、指揮権限をどうするか?という事ですわ。勿論、私がとるという事でよろしいんですわよね?」


 それは何と、ここの指揮を誰がとるかという事でした。

『ここまでしたのなら・・・』と普通なら譲るかも知れませんが、この戦いは国からの命令も出ている重要な案件、流石に『そうだな』と譲る訳にもいきません。


「む?いや、流石にそれは駄目だ。もしも予めオーウェルス公爵が言っていたのなら別だったが、お前が来るとは聞いていなかったからな。というよりもう一度聞くが、何故居るのだ?」


 なので殿下はそれを断ったのですが・・・


「あら!私が来てはいけませんの!?」


 余計な事を再び聞いたせいで言い合いが始まってしまいました。


「これももう一度聞くが、その男共は何だ!?男遊びをしていたのか!?」


「そんなことありませんわー。ねーレイー」


「そうだねぇー・・・です」


 更に飛び火したのか、イケメン達にも火の粉が降りかかります。・・・というか、なんか言葉の熱量の差が酷い気がするんですが、気のせいでしょうか?


 その様にワーワーと言いあっていると、当然と言いますか人が集まってきます。

 しかも集まって来たのがこの戦いに参加する周辺領の上部の人達なので、流石にこれは不味いと思ったのか、殿下も矛を収め少しだけクールダウンします。

 そして少しクールダウンが出来たお陰で頭も回ったのか、集まった人をそのまま残し会議を開く事になりました。


「話を聞いた所、大体部隊の編纂等も済んでいると聞いた。なのでそれはそのままにし、話を進める」


「「「はっ!」」」


「で、斥候からの報告はありまして?」


「「「はい!マシェリー様っ!」」」


「マシェリー・・・居てもいいが話に口は出さないでくれ・・・」


「あら、ごめんあそばせ?オホホホホ」


 未だ居るマシェリーさんの所為で少しグダった感じになりかけますが、話を続けるとどうやら状況は思ったよりも進行が速いみたいで、既に向こう側は大分近づいている様でした。


「約1日で接敵する距離か・・・ふむ・・・」


 それを聞き殿下は少し考える様に俯き、少しした後顔を上げました。


 そして・・・


「今より全軍準備を整えろ。打って出る」



 開戦の始まりを告げました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「戦の始まりじゃぁぁ!」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 先制攻撃いたしますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【次からはいよいよ戦いが始まりましてよ!バトルパートスタンバイ!ですわ!】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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