第206話 楽しくも姦しいキャンプの午後
散歩から戻り夕食を食べ終わると、私達は汗を流しにこのキャンプ場の目玉でもある天然温泉へと向かう事にしました。
「景色がいいですわねぇ・・・」
施設の中へ入り浴場へと出るとそこは麓を見下ろせるような絶景になっており、私は思わずポツリと呟いてしまいました。
しかしその様にボォ~っとしていては体が冷えてしまうので、私は絶景から一度視線を切って体を洗うために移動します。
「では失礼いたします」
「ええ」
何時もの如くノワールに体を洗ってもらい、それが終わると温泉へとドポリと浸かります。
「ふぃ~・・・」
「ウチラも失礼しま~・・・ふぃ~・・・」
「私も・・・ふぅ~・・・」
私が温泉へと浸かると、サマンサ達やイリス達も続けて温泉へと入ってきます。出来る事ならばここで『平民と一緒の湯に浸かるなんて!』とか言った方がいいのかもしれませんが、この気持ちよさの前にそんな無粋な事を言うのもどうかと思ったので、それは言わずに大人しく温泉に浸かっておく事にします。
『・・・チラッ・・・チラチラッ・・・』
しかしその代わりと言ってはなんですが、存分に体を見させて頂くとしましょう!
(イリスもそうですが、イリアスも中々に育っているじゃありませんの・・・ふふふ・・・)
私は『あぁ~・・・気持ちいい~』と温泉を楽しんでいる振りをしながらチラチラとイリスとイリアスの体を観察します。
(お湯の中にある肢体を眺めるのも乙なものですわねぇ・・・あぁ、もう少し足を開いてくれれば・・・っくぅ・・・)
この温泉から見える景色は絶景と言いましたが、外に目を向けずともそこには絶景があり、私はその後も両方の景色を十分に堪能する事となりました。
しかしです、そんな事をしていると頭と同時に体も湯だってしまったようで、私は温泉から出るとグデェ~っと湯だったタコみたいにぐにゃぐにゃになってしまいました。
「マシェリーさん大丈夫・・・?」
「マシェリー様!死んじゃ駄目ですよ~!」
「・・・大丈夫・・・大丈夫・・・涼んでいれば問題はありませんわぁ~・・・」
原因となった2人に心配されてしまったので『貴方達が美味しそうな体を見せびらかすから』と言いかけてしまいましたが、私はそれをグッと堪えます。
しかし体は堪えられなかったので、私はコテージへと戻ると皆から離れ、冷たいお茶を飲みながら涼む事にします。
(事前にサマンサ達やイリアスには言ってあったから上手く事を運んでくれるでしょう・・・ふぅ・・・)
私は涼みつつ、予め仕込んでおいたイリス改造計画第3弾の事を考えていました。
(第3弾は私が居るとちょっとやりづらかったですからね。元から発動する時はさり気無く私はフェードアウトする必要があったから、丁度良かったかもしれませんわね)
改造計画のテーマとして第1弾は『容姿』、第2弾は『行動』と来て、この第3弾は『心』をテーマにしています。
『心がテーマとは何ぞや?』と思うかもしれませんが、要は昔の女の子らしいキャピキャピとした感じになってもらおうという事ですね。・・・『それほどキャピキャピとしていたか?』という疑問にはお答えしませんのであしからず。
とまぁ、そんな女の子らしい感じになってもらうにはアレが一番だろうと思い、私はマルシア達に予め第3弾の計画を頼んでおいたのですが・・・
「ゆっくりするのもいいですけど、暇ですね・・・」
「そうやなぁ。あ、ウチええこと考えたわ」
とか思っていたら、少し離れたリビングのソファーに座っていたマルシア達が何やら話を始めました。
私は元から話しに参戦するつもりはありませんし、未だ体が火照って体がグデっているので聞き耳だけ立てておく事にします。
「・・・ふふ・・・良い事ってなんですか・・・?」
「ズバリ、恋バナや。暇つぶしにはもってこいやろ?」
「「「おぉ~・・・」」」
「え?恋バナ・・・?」
「何やイリス、嫌なんか?」
「「え・・・?」」
「そうなんですかイス?」
「いや・・・そういう訳ではないよ?まぁ・・・うん。しようか?」
「さっすがぁ!そうこなな!」
(ナイスですわよ皆!)
何やらイリスが一瞬渋りかけましたが、皆の連係プレーでイリスに首を縦に振らせたようです。
私は心の中で皆に親指を立て、そのまま聞き耳続行とします。
「ほなら恋バナ決定ゆーことで!」
「えっと・・・そんなに乗り切って事はサマンサさんは話したかったり?」
「ん?ま、そやな!実はな・・・最近運命の出会いをしてん・・・」
「「「おぉ~・・・」」」
(っく・・・NTR感が・・・)
聞き耳を立てていると、何やら私の子猫ちゃん達が男の事を語り出したので心にモヤモヤが生まれてしまいますが、まぁあれは予め決めておいた通りの事なので、何とか耐えることが出来ました。
(昔の感じ・・・というか、本来だとノーマルな筈。だから恋バナでは私の事を言うよりも、普通に男性の事を話す方がいい筈ですからね)
ロマンスは乙女ゲーなので、本来は女性が男性との疑似恋愛を楽しむというノーマル思考のゲームです。
なので今の百合系思考になっている3人娘が普通に話してしまうと、それはノーマル思考からかけ離れてしまい、本来ならノーマル性癖な筈のイリスが不思議な感じになってしまう恐れがあります。・・・すでにちょっと不思議な感じになっていますが!
「でな?そんときヒューイ様が言うたことがこれまたええねん・・・なんて言うた思う?」
「え?うーん・・・これを使いなよ?とか?」
「ちゃうちゃう。何も言わずにスッと拭いてくれたんや・・・しかもその後の顔がまた・・・」
とまぁそういう事なので、3人娘には私とアレな関係になる前という設定で話をしてもらっている訳です。
「相変わらず軟派な男が趣味なんですねサマンサ」
「うっさいわ。朴念仁やオジンとかよりええやろ」
「・・・ふふ・・・オジサンじゃなくて渋い男性・・・ですよ・・・?」
因みに忘れている方もいらっしゃるので説明しておくと、サマンサは元チャラ男好き。マルシアは赤の魔王(頼れる兄貴系?)が好きで、シーラは年上趣味でした。
「ちなみにイリアスはどうなんや?あんたの趣味は全く不明なんやけど。あ、イリスはグウェル殿下とかやろ?」
「え?いやちが・・・」
「ええねんてええねんて。それよりまず今はイリアスや。で、どうなん?」
「え!?私ですか!?えぇ~っとぉ・・・うぅ~・・・」
(む・・・気になりますわね・・・)
時間が経ち話が進むとイリアスへと話がフラれたのですが、私はその話題に興味がシンシンでした。というのも、あまり彼女の事をそういう事を聞いたことが無かったからです。
「リアはアレだよね?近所の・・・」
「わぁ~!あぁ~、あ!イス!イスはどうなんですか!?やっぱりグウェル殿下なんですか!?」
「え!?」
「そうやそうやー!イリスはどうやねん!」
「「そうだそうだー!」」
「ええ・・・」
(チチィッ!まぁいいですわ!後で聞き出せばよろしいですものね!・・・さて、イリスはどう答えるのかしらね)
上手く逃げたイリアスは置いて置き、本命のイリスです。まぁキャピキャピとした恋バナをすると言う時点で目標としては達成の様なモノですが、どうせならば彼女にも語ってもらいたいですからね。
何故なら、それによって今度の動きも変わって来るでしょうから・・・。
(と言ってもイリスは恐らく皆が言っている様にグウェル殿下か、もしくは・・・)
「え~・・・あ~そうだねぇ・・・ん~・・・」
私が頭の中でイリスの事を考えていると、彼女は何やらもごもごと言った感じで唸っていました。生憎とそちらを見る事は出来ませんが、見たら恐らくは物凄くキョドっている事でしょうと予想がつくほどの唸り声です。
「あ~・・・勿論グウェル殿下も素敵だけどね、私の理想は違うんだ」
(お・・・語り出しましたわね?)
何やら声のトーンが先程より小さくなっていましたが、私は地獄耳のマシェリーちゃんとも呼ばれている女、蚊の鳴く様なイリスの声もバッチリ聞こえていました。
「芯が強くて誰よりも輝いている・・・そんな人が理想なんだ。私とは真逆な・・・そんな人がね」
「ほぉ~ん?けど真逆てなんやねん?イリスも結構尖・・・いや、輝いとるで?うん」
「そう・・・かな?」
「そうだよイス!輝いてるよ!・・・時々胸元が」
「え!?イリスまさか金属で入れ乳でもしとるんか!?」
「え!?そんな事してないよ!あ、これじゃない?」
「お?なんやねんそれ?殿下からの贈り物かいな?」
「ひゅーひゅー!イスやるぅ~!」
「え!?違うよ!これはその・・・別の人・・・」
「なんやなんや!やることやっとるんかぁ~?おぉ~ん?」
「きゃーきゃー!イスやってるのぉ~!?あ、でも確かに向こうで・・・」
「なんやそれ!はなしてみい!」
(なんですのそれ!?話してみなさいな!)
最初は弱弱しい声でしたがサマンサ達も入って騒がしくなり、最後には恋バナというか姦しトークへと移行していました。
その後も眠くなるまで彼女らは語り合い、キャンプ1日目は楽しそうな女子トークで幕を引くことになりました。・・・因みに私はいつのまにか寝ていたので、その輪に入り損ねましたがね!ぐすん。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「恋☆バナ」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと 私が語ってあげますわ。
マシェリーの一口メモ
【今回は特になし!ですことよ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




