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第204話 ブートキャンプ再び

 第2回マシェリーズブートキャンプもとい2回目の主人公達の強化合宿開催を私が高らかに宣言すると、部室に居たシフロート先生やイリス達はポカーンとした顔をしていました。


「聞こえませんでしたの?ならもう一度言いましょうか?」


「いや、聞こえておりますぞマシェリーさん。唯あまりにも唐突に現れて言うモノだから皆固まっているだけですぞ」


「あ・・・ああ。その通りだマシェリー」


 聞こえてなかったのかと思ったのですが、どうやらあの顔は呆気に取られていただけみたいでした。・・・まぁ、知っていてワザとそう聞いてみたのですが。


「ならそういう事ですので、早速予定を組みましょうか?あら?丁度ダンジョンの探索予定を立てているじゃありませんの。ナイスタイミングですわ~」


 現在主人公達と少し距離を置く為、原点回帰として原作の様なKY悪役令嬢を演じている私は彼らが行っていた会議にずかずかと割り込んでいきます。

 そして様々な手管を使い、強引に彼らが立てていた計画を第2回マシェリーズブートキャンプの計画へと変更させて見せました。


「それでは私、この後用事がございますので失礼しますわね!」


 それが終わると、彼らが眼を白黒させている間にこの場を去る事にします。・・・時間をかけていたら冷静になり、『いや、その計画はやはり却下だ』と言われるかも知れませんからね。言い逃げするが勝ちです。


「私、楽しみにしていますからね!あ、用意は大体こちらでしておくので、いつも通りの装備くらいを準備しておいてくださいまし!それでは!御機嫌よう!」


 去り際に後々『やっぱやめた』と言ってこさせない様に捨て台詞を残し、私達は風の様に部室がある棟から去り、部屋へと向かいます。

 そして部屋へと着いたなら使用人達に『誰か来ても忙しいから会えないと言っておいて』と伝え、面会謝絶状態にしておきます。・・・これでイリス達が来ても文句はいえないでしょう。


 その後は旅の疲れもあったので早々に休み、翌日になると私達は学園の外へと再び出かけました。

 と言っても今回は王都から出ず、王都内のとある場所へと向かうのですが。


『・・・チリンチリン・・・』


「いらっしゃい」


 私達が向かったのは細い路地にある1軒の喫茶店で、私は入るなり店員へと声を掛けます。


「奥の静かな部屋をお願いできる?」


「・・・明るい部屋と暗い部屋、どちらがよろしいですか?」


「暗い部屋で。静かな音楽が流れていると素敵ですわね」


「・・・案内します」


『席の注文細かいな!』と思うかもしれませんが、これは唯注文しているだけではなく、所謂『符丁』という奴だったりします。


 そう、ここは唯の喫茶店ではなく・・・


「客だジェーン」


「ありがとうジョン。いらっしゃいお客様。今日は何用でしょう?」


「御機嫌ようジェーン・ドウ。情報の確認に来ましたわ」


 王都に幾つかある情報屋の1つでした。


「前に言っていたあれでよろしかったですかお嬢様?」


「ええ」


 因みに、ここに来たのは初めてではなく、目の前にいる情報屋の女性『ジェーン・ドウ』とは顔見知りでした。

 この明らかな偽名の女性はゲームでも登場する人物で、対価さえ用意出来れば大体の情報は教えてくれたりします。・・・まぁ、お助けNPCって奴ですね。

 そんな彼女に依頼して収集している情報とは、ズバリ『魔王の動き』です。


(ゲームとは違う所もありますからね。油断できませんわ)


 本来のロマンスは選択で未来が変わって来るマルチエンディング型ですし、更にそこへ私という異分子が介入している所為で、エンディングルートを全部知っている私でも読み切れない部分が存在しています。

 なのでそれを補うため情報屋を利用しているのですが、これがどうしてなかなか便利だったりします。


「こちらにまとめてあります。どうぞ」


「どれどれ・・・ふむふむ」


 ジェーンから受け取った報告書には、6人の魔王全員の動きが書いてありました。これを自力で調べようとするとかなり大変なので、凄く助かるのですよね。


「そしてこちらはおまけです。お好きかと思いまして」


「ほほぅ・・・解ってますわね」


 更におまけとして、私達が好きそうな喫茶店やらお菓子の情報なんかも教えてくれたりするので大変助かります。・・・え?情報屋の無駄遣い?いえいえ、もの凄く有意義でしょう?

 とまぁ、そんな痒い所に手が届く便利な情報屋さんからもたらされた情報ですが、魔王関連のモノはそこまで動きがありませんでした。

 なので料金を支払い、王都㊙スイーツ情報だけを持ち帰る事にします。


「引き続きよろしくお願いしますわね。料金は割高になってもいいので」


「解りました。それと、言ってくれればこちらから出向きますが・・・」


「・・・ふむ」


 実はゲームでもないので、言づけておけばここに来ることもしなくて済んだりします。ですが私はなんとなく合言葉や符丁のやり取りをやってみたかったので、わざわざ足を運んでいたのですよね。

 しかしそれももう十分なので、次からは知らせてもらう事にしましょう。


「そうですわね。そろそろ雰囲気も堪能しましたし、頼みましょうか」


「・・・え、あ、はい。では次からは定期連絡と、特別な動きがあった場合お知らせに上がります」


「ええ。よろしく」


 それをジェーンに伝えると、私達は情報屋がある喫茶店から出て・・・受け取った情報に書いてあった喫茶店へと行く事にします。


(・・・情報屋が入っている喫茶店ってガワだけだから、お茶とかお菓子が微妙なんですわよねぇ)


 その後、喫茶店に入った私達は雑談をしながらお茶を飲み、お菓子を食べます。


「しっかしあれやな・・・情報屋にテストの情報でも貰えばよかったわ」


「っ!いい考えじゃないですかサマンサ!何なら今から!」


「・・・ふふ・・・もう少しでテストですもんね・・・」


「いや貴女達、それは許しませんわよ?」


 その際3人娘が物凄い事を言っていましたが、彼女らが言う通りもう少しで中間考査があったりします。

 正直妙な制度を使って学校も休みがちなので落としても構わないんですが、一応受けておきたいんですよね。


「そんなに不安なら帰ってから勉強を見て差し上げますわ」


「「「えぇ・・・」」」


「頑張りなさいな。いい点が取れたら、ご褒美もありますわよ?」


「「「頑張ります!」」」


「私も頑張りますお嬢様!」


 と、この様にこの日はゆったりした感じで一日を過ごし・・・


 ・

 ・

 ・


「やはりイリス達が帰ってきたらああなりますのね・・・」


 数週間後、私はテストの結果を思い出し何とも言えない感情になっていました。


「3人が1位タイ・・・。まぁ上限があるテストだと仕方ありませんわよねぇ」


 イリスとグウェル殿下が居ない間は私が1位を取っていたのですが、以前は私と同じかそれより上の点数を取っていた2人です。あの結果は仕方ないかもしれません。

 なので・・・


「さ、それは兎も角、第2回のマシェリーズブートキャンプを始めましょうか。ああ、大丈夫。悔しいからって特別に厳しくはしませんわよ?ええ」


 今から私が行うのは八つ当たりとかそういうのではありません。あくまで主人公達を鍛えるために行う普通の修行です。


「さぁさ!今日は全員でウェポンスキルを習得しますわよ!先ずは見本の動きを真似て素振り1万本ですわ!オーッホッホッホッホ!」


 テストも無事に終わりその数日後、私達は宣言していた通り第2回マシェリーズブートキャンプもとい2回目の主人公達の強化合宿に来ていました。

 残念ながら?今回はスキル書のウェポンスキル習得がメインの為、激しい狩り等はなしで、ひたすらに地味なトレーニングとなっています。


「そこ!違いますわよ!そんな角度で手を振ると、次の動きに繋がってこないでしょう!?こう!この角度ですわよ!皆様もよく見てくださいまし!こうですわよ!こう!」


「「「はっ・・・はい!!」」」


 まぁ、彼ら彼女らにとっては激しい狩りの方が良かったかもしれませんが。


「返事だけはよろしい様ね!いいから黙ってみていなさいな!」


「「「・・・」」」


「返事は!?」


「「「・・・!?は・・・はい!」」」


「お黙りなさい!」


「「「・・・!?」」」


 なんせメインで教えている私が滅茶苦茶言いますからね。さぞかしイライラするでしょう。


 とまぁ、少しスッキリして来たのでもうちょっと真面目に教えるとしましょうか。


「グウェル殿下。そんな優雅な踊りは今は必要ありませんから、ちゃんと教えた型で振ってくださいましね?水平に構え、手首を返して・・・こう!」


「踊りは踊っていないのだが・・・こうか?」


「ん~・・・もう少し振り上げのタイミングを早く」


「・・・こうか?」


「そうそう、そんな感じですわ!その調子で続けてくださいまし!」


「ああ」


 と、この様に、普通に指導もしていきます。因みに指導する際親密度がアップしてはならないので、罵倒を標準装備としています。


「イリスはそうね・・・もっと腰を・・・えふんえふん。腰の捻りが足りませんわね。もう少し足をこう・・・こんな感じで開く様にすると回りますから、その様に」


 なのでイリスを指導する際、ついついボディータッチをしに行ってしまいそうになりますがグッと我慢し、彼女にも罵倒をプレゼントしておきます。


「ふむふむ・・・こう・・・かな?」


「・・・壊れた絡繰りですの?もう少しスマートに出来ませんの?」


「え・・・だめかな?」


「駄目に決まっているでしょう?」


「えっと、感じが解らないから動きを手で修正してみてくれるかな?」


 ですが、やはり彼女には罵倒が効いた感じは無く、どころかニコヤカに笑いながら私に体に触れと誘惑?してきました。

 ですが私は鋼の精神でそれを耐え、彼女の体は少し触るだけで留まる事が出来ました。


 ・・・いえ違います、きちんと動きを修正するために触れただけですよ?


 ・

 ・

 ・


 と、そんな感じで再び1週間程みっちりと合宿を組み、どうにかこうにかスキルを発動させるところまで指導をしたので、残りはスキル書を渡すので自分達で練習をしてもらう事にします。



 その後、第3,4と2~3週間毎に合宿を組み、主人公達の強化を図っていると、いつの間にか季節は夏になり・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「スパルタお嬢様」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 私が励ましてさしあげますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【ゲームですと、情報屋では強いアイテムが何処にあるかとかが聞けましたのよ!便利ぃー!】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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