第203話 マシェリー流ダンジョン攻略術(裏技)
作者より:少し間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。
裏技攻略を始めるにあたり、先ずは場所を移動します。なんせこの裏技は場所が胆になりますからね。
「えぇっと・・・ここら辺の筈なんですけれど・・・あ、あれかしら?」
ダンジョンの入口からぐる~りと外周を廻り、丁度入口と真反対辺りにまで来たところで目的らしきものを見つけたので、私は持ってきた道具・・・鍵縄を受け取り、狙いを定めます。
「外壁が崩れて穴が・・・」
「あ~なるほど、そういうことな」
「・・・ふふ・・・確かに裏技ですね・・・」
3人娘が何をするつもりなのかを覚った様ですが、私の裏技攻略法は恐らく彼女らが考えている通りのモノです。
そう・・・裏口から侵入です。
「やっ!・・・ほっ!・・・むむっ!・・・せいっ!あ!掛かりましたわね!」
本来このダンジョンは、『長~い道程を行った末にボスを倒し、それで攻略完了』となるのですが、あまりに長いためか、帰りはゲームにありがちなショートカットが用意されており、それを通る事で一瞬にしてダンジョンから出れる様になっています。
(ゲームでは一方通行ですけれど、現実ならば・・・)
ゲームでは決まった動きしか出来ませんが、現実ならばその制約もないのでこの様に裏技的攻略が出来てしまうので、かな~りずるい方法だとは思いますが今回はこの様な方法を取らせてもらいました。・・・長々とダンジョン攻略するのもリスクが高いですからね。
「それでは登りますわよ。無理そうなら上から引き揚げてあげるからいいなさいな」
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「ふぅ・・・魔法で重さを軽減したとはいえ重労働ですわねぇ・・・」
『穴にロープをかけて登り、それでダンジョン攻略成功』と字面だけ見れば超楽勝ですが、高さが30m程もあったので意外にも重労働となってしまいましたが、私達はなんとか登る事に成功しました。
「でも重労働の先には・・・っと、ありましたわね」
私達が昇り着いた場所はダンジョンのボスがいる奥の宝物庫で、そんな場所には勿論と言っていいのか宝箱が置いてありました。
ロープを登るという苦労はしましたが、ダンジョンを攻略した末の達成感とかは感じなかったので『イェーイ』と喜ぶことも無く私達はその宝箱へと近寄り、その蓋を開けます。
「「「おぉ~・・・」」」
しかし中身を見ると思わず声が出てしまいます。なんせ金銀宝石や武具防具、装飾品なんかがギッチリと詰まっていたからです。
そしてそんな中には今回の目的であるスキル書がありました。
「あ!これこれ!これですわ!」
私はスキル書を手に取り、パラパラと中身を見てみます。
「ふむふむ・・・ふむ?」
すると私はそこに書いてあったスキルを・・・憶える事はありませんでした。
「スキル書って見たら覚えるんじゃありませんの?」
「お嬢様、スキル書は珍しいスキルが記してあるだけのモノです。修得自体は書を見ながら鍛錬するしかない筈だと記憶しております」
「え?そうなんですの?」
ノワールから解説が入りましたが、どうやらゲームみたいにお手軽修得とはいかないようです。
と、そんな残念な事実を知ってしまいましたが、目的は達成したので良しとし、ノワールのアイテムボックスに宝箱を収納してもらいます。
そしてそれが終わったのなら撤収する為、再びロープを使い下へと降りるのですが・・・
「・・・む?」
私はふと、天井に大きな穴が開いていることに気付きます。
ゲームですと『そういうグラフィックか』で終了なのですが、現実だと先程やった様に登る事が出来るので、私はそこを確かめたくなってしまいました。
なので鍵縄の他にも一応用意していた梯子を出してもらい、その穴の先を確認する事にしました。
「どれどれ・・・?」
梯子を上がってみると、そこは端に石の台がぽつんと置かれている殺風景な部屋でした。
しかもこの部屋は何故か扉が無く、『何処から出入りするんだ?』と言いたくなるような不思議な部屋となっていました。
「どこかから魔法で飛んでくる部屋なのかしら?でもそんな仕掛けはこのダンジョンには無かった筈ですけれど・・・」
私が頭を捻っていると皆も上がって来たので、取りあえずは端に置かれた石の台を確認してみる事にしました。
罠があるかも知れないので念のために恐る恐る進みその石の台へと近づくと、その上には1冊の本が置かれていました。
「これもスキル書かしら?」
この様に置かれていて貴重そうな物といえばスキル書くらいしか思い浮かばず、取りあえず見てみようかとその本を手に取ったのですが・・・
「・・・あ」
「「「あ」」」
その本は私が持ち上げるとボロボロと崩れてしまいました。
「わ・・・私の所為ではありませんわよ!?色あせていたし!元から風化していたんですのよ!きっと!」
折角のお宝かもしれない物を台無しにしてしまった事もあり、私は慌てて皆に自分の所為じゃない事をアピールします。実際その本は色あせて年代物の様に見えたので、ああなったのは私の所為ではない筈です。
「まぁよろしいのではないでしょうか?」
「せやな。ダンジョン探索なんかスカ引くのも珍しないし、そういうモンやったと思えばええでしょ」
「・・・ですです・・・」
しかし皆はそれほどお宝への執着も無いみたいで、先の事を笑って許してくれました。
『皆がイイ子で良かった』と私はホッとし、他にめぼしいモノも無いのでさっさと撤収する事にします。
隠し部屋から降り、宝物庫からも降りると、私達は一旦ダンジョン入口方面まで戻ってきます。
そして現在時刻を確かめると未だ時間もさほど立っていない様でしたので、少しだけダンジョンに入り狩りをする事にしました。
「折角の高難易度ダンジョンですしね。レベル上げにはもってこいの場所ですから利用しない手はありませんわ」
普通に攻略すると時間が掛かりすぎてNGですが、直ぐ帰れる距離で雑魚を狩る位なら全く問題が無いからです。それに帰れる距離にも宝箱が会った筈なので、それも回収したいところですからね。
因みにですが、『それならばダンジョンの奥側から進んで行けばよかったのでは?』とも思うかもしれませんが、それこそNGです。なんせここのダンジョンのボスは強敵で、対ボス用に装備を整えれば別ですが、そうでないとかなりリスキーな勝負になってしまうからです。
(命を大事に、ですわ。唯でさえ魔王戦が待っているのに、こんな所であんな強敵と戦うのはお断りですことよ!)
命を大事に!と言いつつモンスターと戦う、そんな矛盾した行為を3,4時間程続けたのですが、それ以上すると日帰りで済まなくなってきそうだったのでそこで切り上げ、私達は別荘へと戻りました。
「戻りましたわよ~。あ、パルフェ、今日はこれで夕飯を作ってくださる?」
「はい。畏まりました」
別荘へと帰ると最初はネタか外れだと思った海産物ドロップを使用人達へと渡し、私達はそのまま庭へと行きます。
庭で何をするかですって?それは勿論BBQの用意・・・ではなく、スキル書の確認です。
「どれどれ・・・ふむふむ・・・ふむ。・・・こう動いて・・・こう・・・かしら?」
「これで・・・いや、違いますね」
「こうしてこうやろ!・・・なんかちゃうな」
「・・・ウェポンスキルは苦手です・・・あばばば・・・」
スキル書は最終的にはイリスへと上げる予定ではありますが、その前に私達も覚えておいて損はありません。なのでスキル書に書いてあった何種類かの武器用スキルのうち、自分の使っている武器に対応したモノを練習していきます。
しかし流石に数時間で覚えれるモノでもない様で、練習をしているともうすぐご飯が出来上がるとの知らせが来ました。
「ふぅ・・・取りあえず今日はここまでにして、明日から頑張りましょうか」
なので一旦練習を切り上げ、汗を流しに行く事にします。
直ぐ後に食事が待っていますので、何をする事もなく汗をサッと流すとダイニングへと移動すると・・・
「「「・・・っ!」」」
何とも香しい香りがして来るではありませんか!誰ですか海産物ドロップがネタか外れと言った者は!?あ、私でしたね。
「ごくり・・・っは!香りだけで満足している場合じゃありませんわね!さぁさ!頂ましょう!」
「「「はい!」」」
「量は十分ある筈だから貴女達も食べなさいな!」
「「「はい。ありがとうございますお嬢様」」」
匂いを嗅いでいるだけで涎が口の中に溢れてきたので、私は使用人含め皆へと声を掛け、急いで席に着きます。
そして・・・お腹いっぱい海産物を堪能しました。
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その後は元あった予定を少し変更し、別荘でひたすらスキルの練習と海産物パーティー、合間にダンジョンへ行き海産物補充と実戦でのスキル練習と日々を送りました。
そうして暫く経つと流石にスキルも修得出来たので、私達はリゾート地を後にし、学園がある王都へと帰ります。
そして学園へと帰ると・・・
『・・・ッバーン!』
『『『ビクッ!!』』』
「あら皆様お揃いでしたわね!呼ぶ手間が省けてよろしくてよ!」
「「「???」」」
「第2回!マシェリーズブートキャンプの開催を宣言いたしますわ!勿論!拒否は却下ですわよ!」
タイミングを見計らってサークルの部室へと突入し、第2回マシェリーズブートキャンプの開催を宣言しました。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「流石お嬢様、卑怯でございます」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと 私が更なるワザップを教えてさしあげますわ。
マシェリーの一口メモ
【私は有り余る魔法の才能を使い、フルプレートの鎧を装備していても全く問題なく行動できますのよ!なので大よそ10階建てのビルの高さに相当する30mもスイスイ登れちゃいますわ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




