第197話 主人公達と軽く手合わせ
主人公たちの超絶強化を行うにあたって、先ずしないといけない事は彼女らの詳細な戦力分析です。
それは少し前のキャンプで大体知る事が出来ましたが、あくまでも大体です。なので私はマシェリーズブートキャンプの最初のプログラムとして『私と1対1の全力バトル』を設定しました。
これは正直広い場所さえあればどこでも出来るので、私は冒険者ギルドの訓練場を借りて行う事にしました。
という訳で、私達は町の外へと出る前に冒険者ギルドへと赴きました。
「む?冒険者ギルドですかな?」
「ええ。ちょっと訓練場をお借りしようと思いまして」
「ふむ?」
しかしこれは予め立てた合宿の予定には入っていなかったので、未だこの時点では何も知らず『今日も安全安心に合宿が終わるといいですな』なんて思っているシフロート先生は不思議な顔をしていました。
「ごきげんよう。少し訓練場をお借りしたいのだけれど、いいかしら?」
「いらっしゃいま・・・ひぇ!?ひゃい!く・・・訓練場ですね!?少しお待ちください!」
今日も今日とて受付の女性にビビられつつ訓練場を無事貸切る事に成功すると、私達は早速訓練場へと入ります。
そして訓練場へと入ると、未だ困惑顔のイリス達へと向き直り説明を始めます。
「皆様、急にこんな所へと連れてこられて何事かと思っていらっしゃるかと思いますけれど、説明いたしますわね?私も昨晩急に思い立ったのですが、先ずは皆様の腕前がどれほどのモノか、詳細に確かめてみようと思いましたの」
私はここまで言うと、それまで普通の表情だった顔をわざとらしいニヤニヤした笑顔へと変化させて続けます。
「か弱い皆様とこれから合宿に行くんですもの、皆様の実力を実際に確かめておかないと、間違えてプチッとやっちゃうかもしれませんもの。あら、失礼言い過ぎだったかもしれませんわね?いくら皆様がか弱いといえど、あの計画通りならへばる事はありませんものね~?」
私は挑発する様にイリス達へとそう言います。
すると効果があったのか、イリス達も少しイラッとした感じになっていました。まぁそれはそうでしょうね。いくらイリス達が私より弱くても、『か弱いか弱い』連呼されたらイラッともくるでしょうから。
しかしそうなるのは私の狙い通りなので私は更にニヤニヤ顔を強めながら続けます。
「以前私に『あなた方の実力は私の半分以下』と言われて、内心『それは言い過ぎだ』とか思いませんでした?ならそれを証明するチャンスですわよ?ねぇ?」
殊更イラッとするような感じで言ったのが上手くいったようで、イリス達は完全にやる気になってくれたようです。・・・シフロート先生だけは『マシェリーさん・・・漸く更生してくれたと思っていたのに・・・』みたいな顔で見ていますが。
まぁそれはさておき、私達は早速1対1の模擬戦闘を始める事にしました。
私は例の鎧を着こみ、訓練場の中央へとでます。
「す・・・すごい鎧だなマシェリー」
「オーッホッホッホ!イカしてますでしょうグウェル殿下?あ、この訓練場を破壊するような魔法さえ使わなければ、魔法はバンバン使ってくれてもよろしいですわよ?というより、使ってくれないと勝負にもならないとは思いますけれど」
「・・・解った」
先ずはグウェル殿下と戦うことになったのですが、彼には今の言葉の他に『魔王といえど今のアナタは私にも劣るでしょうから、全力で掛かって来てもらってよろしいですわ』ともこっそり伝えておきます。
それを聞きプライドが傷ついたのか、『そこまで言うなら容赦はしない』という様子になった所で模擬戦スタートです。
まぁ・・・
「よっわぁ~いですわねぇ・・・あ、失礼」
「ぐ・・・ぐぅ・・・」
弱かったので即ボコでしたが。
いえ、別に本当に雑魚という訳ではなく、やはり魔王は魔王といった所でそれなりには強くありました。以前は『私の半分以下』と評しましたが、大規模な魔法を使って来れば私の7割くらいにはいくかもしれません。
「ではお次の方にいきましょうか」
「では俺が」
「ええ。お父上の名を汚さぬ戦いっぷりを見せてくださいましねペイル」
「おうともさ!」
グウェル殿下との模擬戦闘が終わると、グウェル殿下のお付きAこと騎士団長の息子ペイルや、お付きBサミュエル、それにC、D、イリアスと続きます。
ここら辺の者達の実力は、お付きに関しては『君達、一応護衛も兼ねているんだよね?』と疑ってしまいそうな実力、イリアスに関しては『可愛いから許しましょう』と言った感じでした。
「ぐぅ・・・マシェリー様・・・その鎧は反則ですよぉ・・・」
「装備も実力の一部ですわよイリアス。っと、最後はイリスですわね。・・・貴女はましだと信じておりますわよ?」
「勿論だよ」
そして肝心のイリスなのですが・・・
「先程のドヤ顔はなんでしたの~?ねぇ~?」
「っく・・・」
見立て通りの感じで、私の4~5割くらいの実力でした。昔は一時的に『主人公パワー!?』みたいな感じを出し『つよっ!?』と思っていた時もあったのですが、何故か今は・・・
「キャラを戻したら強くなるんじゃありませんの・・・?」
「はぁ・・・ふぅ・・・え?キャラ?」
「・・・何でもありませんわ」
微妙だった実力に突っ込んでしまいますが、不思議な顔で返されてしまいました。いやまぁ、今のキャラも私的には有りよりのアリですが。
とまぁイリスのキャラはさておき、全員の実力が確認できたので、予めいくつか選んでいたキャンプ地の候補から最適な場所をピックアップし、それをノワールへと伝えます。
それが終わると後はその場所へと向かうだけなのですが、その前に1つしなければならないことがあるので私は先程戦った全員に戦闘の評価を聞かせつつ時を待ちます。
すると30分くらい経った頃でしょうか、待ち人が来ました。
「失礼します!ここにシフロート先生はおいでですか!?」
「む?ベンジャミン先生?」
来たのは学園の教諭の1人で、彼はシフロート先生を見つけると近づき、何やら慌てたような感じで話しかけます。
「実は・・・・・」
「ふむ?・・・!・・・・!?」
そうして5分程話した後・・・
「申し訳ありません皆さん・・・緊急で対応しなければならない用事が出来てしまいましたぞ・・・」
シフロート先生に緊急で用事が入ってしまいました。
普通ならこの後の流れは『ですから今回の合宿は中止としますぞ。流石に引率の者が居ないというのは不味いですからな』となるのですが、私はそれを阻止します。
「あら・・・あ、先生!それでは何時かの様に冒険者の方に依頼を出して引率してもらうのは如何かしら?まぁ私が居ますので必要ないかもしれませんが」
私はこの様な提案をし、合宿中止を阻止します。・・・まぁ正直な所、シフロート先生の用事は私の仕込みによるモノなので、すこし棒読み気味でしたが。
私はその後も渋るシフロート先生へと説得を続けます。そして最終的には『やっぱり素行不良だった事もある私には任せられないと思っていますのね。うぅ・・・』と泣き落としを掛け、何とか合宿続行のお許しを貰います。
唯冒険者には引率を頼むことになったので、私達は訓練場を片付けた後受付へと向かい、その仕事を受付へとクエストとして出しました。
まぁ勿論の事ながらこれも仕込みがしてあったので、無事に私と馴染みのある冒険者のレイラが仕事を受注しましたが。
「では、私は学園へと戻りますが・・・マシェリーさん、くれぐれも無理な事はしない様に」
「任せてくださいませ!このマシェリー・フォン・オーウェルスが責任を持って皆様を導きますわ!」
こうして自分の後任引率が見つかった事でシフロート先生は帰ることになり、最後にこのような事を言って来たので私は自信満々に言葉を返してシフロート先生を送り出します。
そしてシフロート先生を見送ると私は宣言通り、『皆を導く為、無理が無いように死ねるくらいにキツイ合宿』をスタートさせる事にしました。・・・まぁ無理な事はしないという言葉に『ハイ』とはいっていませんからね。宣言通りではあるでしょう。
「では皆様、改めて出発いたしますわよ!貸し馬車屋にはすでに手配を付けてありますので、先ずはそちらへ!」
私は先ず計画の第一歩として皆を馬車へと誘導します。
そうして周りが見えない完全箱型の馬車へと乗りこんだら、ノワールとレイラに御者をしてもらい、哀れな子羊達を地獄のブートキャンプ開催地へとドナドナしていきます。
・
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「さぁ!つきましたわよ!降りてきなさい!」
そうして着いたのが・・・
「えらく時間がかかったな?行くのは近場では・・・む?」
「どうしたん・・・え?」
「何を驚いていますのグウェル殿下にイリス?」
「いや・・・ここは・・・」
「渓谷・・・?しかもこの肌でも感じられる魔力は・・・」
「いい場所でしょう?皆様の訓練にはもってこいの場所ですわよ!ここ鳴哭の谷は!」
不穏な魔力渦巻く危険指定地域『鳴哭の谷』でした。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【作者からの一言で『展開の進みが遅くてすいません』との事ですわ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】