第196話 『せっ☆とく』
『マシェリーズブートキャンプ』、それはゲームでも有名だったレベル上げイベント。内容としては鬼軍曹に扮する私が主人公達を死ぬ一歩手前まで追い込みウルトラレベルアップさせるというものです。
・・・まぁ嘘ですが。
あ、いえ、訂正します。
嘘ですが、嘘でない事にします。
え?どういう事だって?それはですね、つまり・・・
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「はいはい皆様、聞いて下さいまし!これからアナタ達には生死を賭けた戦いをしてもらいますわ!」
「「「え?」」」
「あら、失礼。端折りすぎてわかりませんでしたわね?いいでしょう。解るように説明して差し上げましょう」
『『『・・・コ・・・コクリ・・・』』』
「何故私がこんな事を言ったのか!それはアナタ達は冒険者サークルの一員であるのに実力がお粗末すぎるからですわ!」
「「「!?」」」
「あら、驚く事かしら?アナタ達が1年目のひよこちゃんなら私も『入ったばっかりだし、かわいいですわねー』となりますけれど、アナタ達は私達と同じ時期にサークルの一員となりましたわよね?なのに今の実力は私達の半分以下!流石にそれはサークルの長として許しがたいんですのよ!」
「い・・・いやマシェリー、僕らは留学等もしていたし、色々やる事もあってだな・・・」
「お黙りなさい!そもそもが殿下は人一倍強くなくてはいけませんでしょう!?ご自身でもお解かりですわよね!?」
「うっ・・・まぁ・・・そうだな・・・」
「でしょう!?だから私が鍛えて差し上げますわ!大丈夫!先程『生死を賭けた』と言いましたが、実際は死ぬほどキツイだけで死にはしませんわ!」
そう、実際にイベントを私が作り上げる事により、嘘を嘘でなくすのです。ああ、安心?してください。ちゃんと『主人公達を死ぬ一歩手前まで追い込みウルトラレベルアップさせる』の部分も実現させますよ?
まぁでもあれですね、その為には先ず・・・
「いや、それはそうだがしかし何故マシェリーに鍛えてもらわねば・・・」「何を言っているのですかな?マシェリーさん?」「オーウェルス様、いくら殿下の婚約者とはいえ・・・」「そうです、オーウェルス様。しかも・・・」「マシェリーさん???」「え?私もですかマシェリー様?」
マシェリーズブートキャンプ開催に納得せず反対や疑問の声を上げている者達、彼ら彼女らを説得しなければなりません。
なので私は早速『せっ☆とく』の準備にかかります。
「ノワール、暗闇を」
「畏まりました」
ノワールは瞬時に私が求めている事を酌んでくれたようで、サークルの部室内を暗闇の空間へと変えてくれました。
「む・・・一体何を・・・『光の光源』」
こうなると、こういう事にも慣れているシフロート先生が瞬時に動き、魔法で明かりを灯しますが・・・
「申し訳ございません」
「むぐっ・・・ぐぅ・・・」
こちらもこういう事に慣れている?ノワールが瞬時に動き、シフロート先生の口に薬品付きの布を宛がい眠らせます。
そして更に魔法を使い、部屋の中から視界だけでなく音も消し去ってしまいます。
(ここで魔力を放出して威圧と・・・こんな物かしら?)
その後『せっ☆とく』の下準備として私は魔力でイリス達へと威圧を掛けます。するとそれを感知したノワールが私の周りだけ消音をなくしてくれたので、私は明かりの魔法を使いつつ口を開きます。
「皆様・・・落ち着いてくださいまし・・・そして私の声を聞くのですわ・・・そう・・・リラックス・・・落ち着いて・・・」
私は明かりの魔法に強弱をつけながら優しい声で彼らに語り掛けます。そうなると色々な事が起こりプチパニックに陥っていた彼らはちょっとしたトランス状態へと陥り、私の声へと耳を傾ける事となりました。
「この指を見てくださいまし・・・この指はアナタ方の心の動きです・・・この指がゆっくり動けば優しい気持ちに・・・早く動けば・・・」
そうして私は洗の・・・ではなく『せっ☆とく』を皆へと施します。するとどうでしょう・・・
「「「はい・・・僕達私達はマシェリー様に鍛えてもらいたいです・・・」」」
見事に全員が自発的にマシェリーズブートキャンプを受けたいと言ってくれました。
「よろしい。ノワール」
「はい」
こうなると後は簡単なモノで、先ずは皆を普通の状態へと戻してからシフロート先生を起こし、皆が私の言っている事に納得し合宿を張る事になったと説明します。
シフロート先生は物凄く困惑顔になっていましたが、『これも全て皆のため!私は皆のために何かをしたかったのです!』等と荒れていた時の事も交えつつ情に訴えかけた説得をします。すると人格者であり人情派のシフロート先生は目を潤ませ納得してくれました。
「しかしマシェリーさん、危険な事はイケませんぞ?ちゃんとした計画を立て、安全な合宿になる様にするんですぞ?」
「勿論わかっておりますわ。それでは今からそのちゃんとした計画を立てましょうか皆様」
そして次に合宿の計画を立てていきます。
これはシフロート先生の言う通り、危険が無いよう安全なプランを立てていきます。・・・まぁ超絶偽プランですが。
実際の所は別に私が本物のプランを立て、当日にそちらを行うつもりです。ですがそうなるとシフロート先生が黙っていないでしょう。
(しかし当日シフロート先生は急用が入り私達に着いて来れなくなる予定。オホホホホ)
なので私は色々な手を使いシフロート先生抜きで合宿へと出発する様にします。
しかしそれは仕方ないのです。なんせシフロート先生が居るとイリス達をギリギリまで追い込めませんからね。
こうして全員の説得を終わらせ、偽キャンプのための会議を重ねていく裏で他の作業も並行していく事になります。
それはイリス達にも『有修休暇』を取らせたり、武器や防具の作成、実際に行うブートキャンプのプラン作り等です。
その中にはちょっと面倒な作業として『土地買収』と言う様な作業もありました。
これを聞き『そりゃ面倒だろうよ』と思うでしょうがこの『土地買収』、規模が違います。・・・なんせ町を丸々2つ分ですからね、正直ここまで来ると『領地買収』でしょう。
これは何故行っているのかも説明しておきましょう。それは魔王戦のためです。
実は魔王戦、ある町のすぐ近くで行われる筈で、その際町はほぼ壊滅状態となってしまいます。
別にそれに対し『町の人が可哀想』とは思わないのですが、人は国にとって財産でもあります。なので私は財産を保護する為の下準備としてその町と、その町の人が避難する為の土地を買い進めているのです。
これらは正直父親を噛ませて進めているので、進捗状況等は私もそこまで頻繁に知る事が出来ないので、追々話せたら話す事とします。
と、この様に色々計画を進めていると月日はあっという間に過ぎるモノで、気が付くとあれから1月ほど経ち『マシェリーズブートキャンプ』開催日当日となっていました。
(やっと出来ますわね・・・)
計画を立ててからかなり時間が経ってしまいましたが、これは仕方ないでしょう。
なんせ色々作業する事が多く、忙しかったからです。
ですが・・・ようやく、ようやくです。
(さぁ・・・主人公勢の超絶強化・・・始めますわよ!)
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【『せっ☆とく』であって洗脳ではありません。後因みにですが、『せっ☆とく』の方法は作者の適当オリジナルなので『いや、こんなんで出来るかよ!?』という苦情は飲みこんでくれると助かりますわ。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】