第192話 キャッキャウフフ?の終わりと次なる動き
「・・・っは!?」
不意にハッと目が覚めた私はカッと目を見開き、暫くの間目の前の闇を見続けた後、フゥっとため息を吐きます。
(・・・夢でしたのね)
私は先程まで起きていたと思っていた出来事を思い出します。それは体中をまさぐられたり、眩しいと感じる体を触ったり、遂には互いに・・・
(流石にこの様な場所だったり今するのはアレですものね・・・ふぅ、夢で良かった)
思春期で色々な欲が爆発しかけている私でも、流石にこの様な場所で、更には未だ敵対していなくてはならない筈のイリスとアレな事はしてはいけないという事は重々自覚しています。なので、私は先程まで起こっていたと思い込んでいた出来事が夢だった事に少しの残念さは有りましたがホッとします。
そしてもう一度深くため息を吐くと、現在の状況を確認する事にしました。
(しかし未だ外は真っ暗の様ですわね。淫夢・・・いえ、悪夢の所為で夜中に起きてしまったんですわね。ならもうひと眠りしましょうか)
外を見るとまだ起きるのには早そうな感じでしたし、そうでなくても少し肌寒いので、掛かっている毛布に潜りこんでいるのが正解だと感じた私は、毛布を掛け直して温かいベストポジションを探そうと蠢きました。
(ん~・・・ん、ここが最高ですわね。温かくてふわふわ、それにいい匂いがしますわ~・・・・・・んん?・・・っは!?)
するとすぐ背後に最高のポジションを見つけられたわけですが、段々と覚醒して来てしまった頭がそれが何かを覚ってしまいました。
そうです、その最高の温いモノは・・・イリスでした。
(なっ・・・何でこんなに近くにっ!?っというか、ガッチリつかまないでくださいまし!んぁぁ~!)
どうやらあんな夢を見たのはイリスの所為だった様です。というか、よくよく考えると半分くらいは現実で合った事だった気がしました。
(た・・・耐えなさい私の理性!こんなふわふわでいい匂いに負けてはいけません!・・・でも少しくらいならいいかもしれませんわね・・・ゴクリ・・・)
アレな事をしてはいけないと先程自覚したばかりの私ですが、無防備に目の前へと餌を投げられてはたまったモノではありません。
ですので私は、朝が来るまで精神修行の様な事をする事になってしまいました。
因みに精神修行の結果はどうだったかというと・・・勿論我慢しましたとも、7割くらいは。
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そうして最後の方にアレな感じの事があったキャンプですが、テント等の撤収を無事に済ませてから最後にシフロート先生が締めると、私達は帰路へと着きました。
特に何事もなく学園へと帰り着くと、私達は一旦全員でサークルの部室へと移動しました。
「朝一で向こうを出たので時間がありますからな、ちゃちゃっとレポートを仕上げてしまいましょう」
時刻が未だ昼くらいでしたので、どうやらこのまま活動の報告レポートも仕上げてしまおうとの事だったので、私達はチームマシェリー、チームグウェル、チーム留学生と3班に分かれてレポートへと取り掛かりました。
「牛は弱かったが美味かったな!後は全体的に温かったか?」
「いや、温いと感じていたのはお前だからだろう」
「ん?そうか?」
因みにフレッドはチーム留学生の所に居ます。というか、そこまで付き合ってくれるんですね。
そうして魔王様を含みつつ活動報告のレポートを仕上げると漸く解散となります。
「では、これで本当に終わりとなります。今日は皆さんお疲れ様でしたぞ。そしてブラッド様、昨日今日とありがとうございました」
「「「ありがとうございました!」」」
「おう!また良かったら呼んでくれや!じゃあな!」
フレッドにも別れを告げ、私達も各々の部屋へと帰ります。
まぁ・・・
「さぁ、聞かせてもらおうかしら?」
「「「はい」」」
チームマシェリーは私の部屋へと集まり、これから会議ですが!
「で?イリアスからはどんな情報が聞けましたの?」
その中でも今回の主題はイリアスからマルシア達が聞き出した、『イリス、グウェル殿下の向こうでの様子』です。
「はい、それですが・・・・・」
と言ってもです、彼女からは時々手紙で報告をしてもらっていたので大体の事は解っていました。
しかしです、彼女からは生で情報を聞かねばなりませんでした。何故なら報告してもらっていなかった事も多々あったからです。例を挙げると、イリスが何故あんな感じになってしまったのかという様な事だったりがあります。因みにこれ、何故報告してくれていなかったのかというと、どうやらそれは私が知ってしまうと要らない心配をするのではないかという配慮のためらしいのですが・・・いきなり知った方が心配するような気もしますよ?
「成程・・・そんなことが・・・」
「はい」
まぁでも確かに、途中でこれを聞いたのなら『セウォターカンドに殴り込みますわよ!』とか『究極魔法を開発して打ち込みますわよ!』とかなりそうだったので、その懸念は当たらずとも遠からずだったのですが。
「しかしセウォターカンドにそんな迷信があるとは・・・いえ、そういえば・・・」
イリスがあんな風になってしまったという迷信ですが、『黒髪の女は不吉だ』というモノです。
いえ、イリスの髪色は紺色で合って黒色ではないのですが、見かたによっては黒にも見えない事もなく、実際に言われたので男装っぽくしたのでしょう。
そしてその迷信ですが、私には『もしかしたら』と思い当たる節がありました。それはゲームにてサイラスと私が何故あそこまで相性が悪かったのかという事です。
(もしかしたらサイラスはノワールが女性だという事に気付き、それでその主たる私にも嫌悪感の様な感情を?いやでも、流石に魔王ともあろうものがそんな迷信を信じるのかしら?)
完全なる推測ですが、無い事もないのかもしれません。まぁでも、9割方はゲームのマシェリーが性格悪すぎだからでしょうがね!
「でもあれですわね?男装した理由は解りましたが、何故あんな性格・・・というか紳士的な動きを?」
「それはイリアスも、『さぁ?』と言っていました。『もしかしたら受けが良かったからかも?』と推測はしていましたが」
「ふむ・・・まぁ解りました。それとあれですのね、イリス達がそんなに強くなっていなかったと思ったけれど、やはりあんまり戦いはしていなかったんですのね」
「はい。ですがそれは仕方のない事かと。なんせ交流の為の留学ですから・・・流石に戦いを通して交流というのはあまり・・・」
「ですわね。もしあったなら『ソレドコノ戦闘民族?』ですものね」
「はい」
イリアスの報告にはイリスの変化の他にも、実力が何故あんな感じだったのかもありました。
私はそれを聞いて一応納得はしましたが、素直に受け入れられるかというとそれは別問題です。なんせ今年は大きな戦いがある訳ですし、その後もドンドンと強敵が出て来ます。だから強くなってもらわねばならないのです!
「ま、イリス達はマシェリーズブートキャンプに強制入会させるとしましょう。それで他には特にめぼしい情報は無かったんですのね?」
「はい。あ、お土産?があるそうなので、その内渡しに来るそうです」
「あ、そう・・・」
イリアスからの情報は以上だそうなので、次は私が収集したフレッドやイリス達の実力情報を話す事にします。
といってもこれは簡単な話で、魔王はヤバい、イリス達は雑魚との報告で終了です。・・・いえ、流石にもう少し詳しく話はしましたが。
しかし概ねこんな感じでしたし、イリス達は兎も角フレッドの実力のほどは推測でしか話せないので、やや微妙な感じの話になってしまいました。
「まぁ、本物は私の話の倍くらいヤバそうと見積もっておきましょう。本物の魔王相手だと、それ位でも不足はないはずですわ」
「「「はい」」」
「それでですけれど、正直私達も成長しているとはいえまだまだ不足していると思いますの。ですからあの制度を使って追い込みをかけていきますわよ!」
「「「!?」」」
「学業の方が少し大変になりますけど、文句はありませんわよね?」
「「「・・・はい」」」
フレッドの話をした末に自分達もまだまだだと感じた私は、3人娘に向けてある宣言をしました。
それは学園で4年生に上がった時から使えるある制度を使い、レベルアップの時間に当てるというモノでした。
因みにこの制度、使おうとする者はあまり学業の事は考えません。何故ならこの制度は、結婚して家庭に入る令嬢や家業を継いだりする者の為の制度なのです。
(そうでない私達にとっては学業でも成績を維持したい所ですからね)
一応どういうことなのかと説明しておきますと、学園には4年生に上がった時から『有修休暇』という、先に説明した者達の為の制度があります。
これは学業より相手方の家に入る事になる令嬢がマナーを覚えたり顔を繋いだりする為や、家庭の事情により家業等を卒業前から手伝わなくてはならない為の者達が、学園に席を置いたままそれらを行える様にできる制度です。・・・まぁぶっちゃけ、『有給休暇』の学校バージョンです。休んでいるのに単位がでる、みたいな感じです。
これはゲームの時にもあり、『色々出来る時間を増やす為の一種のシステム』みたいなものでした。・・・まぁロマンスは学園外にもフラグが一杯あったので、『フラグ回収が捗るんじゃ~!』とか思って使っていました。一応使わずにも行けますが、その際はより一層厳しいフラグ管理が求められたりしました。
(ま、縛りプレイとして使わずに周回なんかもしていましたが・・・っと、それは置いておき)
途中から余計な事を考えてしまいまいしたが、兎に角私はその制度を使い、レベルアップ作業や情報収集、更にイリス達にも使わせて修行なんかをさせようと考えていました。
なので私は3人娘に再度追い込みを掛けると宣言したのですが・・・
「では明日より早速使い、ガンガンパワーアップをしていきますわよ!ですから今日は解散!明日に備えて休むとよろしくてよ!」
「「「はーい」」」
「なんせ素材回収も兼ねて『ドラゴン』を狩りに行く予定ですからね!ハードな予定になりますわよ~!」
「「「!?」」」
あれ?私また何か変な事言っちゃいました?
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「半分夢かよ!・・・ん?半分?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと 何があったかを知る事が・・・。
マシェリーの一口メモ
【『有修休暇』は、結婚が確定している令嬢は大体が使うモノだったりします。まぁ主人公ちゃんは一応平民設定で婚約者も居ないので取る理由も無いのですが、『何かある体』で休み、学園外へと行きますのよ!因みにゲーム時代のマシェリーは、サボりや遊びの為に使いまくっていましたわよ!】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】