第188話 復活した悪役令嬢は悪巧み?をする
偽装された青の魔王の紹介、そしてその他にも居た留学生たちの紹介が終わると集会は終了、締めの挨拶がなされた後は留学生達との交友会・・・単なるパーティーとも言いますが、それが開催されました。
まぁ私はそれには参加せず、マルシア達を拾いそそくさと寮の部屋へと戻りましたが。
「さて・・・ちょっとした情報共有タイムの始まりですわよ!」
部屋へと着くなり使用人達にお茶の準備をさせ、私はそう宣言します。
ですがそれに対し、マルシア達は微妙な顔をしながら拍手をしてきました。
「それはいいんですがお姉様・・・急に元気になりましたね?」
「え?」
「いやいや、察そうやマルシア。さっき帰って来た人らん中におったやろ?あいつが」
「ふふふ・・・例のあの人ですね・・・」
「ああ、なるほど」
「いやぁほんまイリス様様やな。ま、ウチラだけでは足らんいうのは遺憾ではあったけどな」
どうやら彼女らは私がいきなり元気になった事に対して思う所があった様で、そのせいであのような微妙な感じの顔をしていた様です。
私はそんな感じで見られていた事を察し、慌てて言い訳をしてしまいます。
「べべべ、別に!イリスが帰って来たから元気になった訳ではありませんわよ!?ただちょっと、懐かしい顔を見て安心したと言うかなんというかっ!」
「「「はいはい」」」
・・・まぁ、適当にあしらわれてしまいましたが。
と、それより兎に角、今からするのは結構重要な話なので気を引き締めて聞いてもらう事にしましょう。
「・・・あの・・・今からするのは重大な話なので、心して聞いて下さいね・・・?」
「「「・・・」」」
「・・・どうしました?」
「いやお姉様、気ぃ引き締めろ言うて自分がそんな感じなんはどうかと・・・」
「・・・え?・・・あ」
サマンサに言われて気が付きましたが私はどうやらまた陰キャモードに入っていた様で、背筋は丸く帽子を被り俯きながらぼそぼそと喋っていた様です。
「お嬢様、元気が出た様ですがまだまだ情緒が不安定の様ですね。ですのでここは1つ、お話は明日という事にして今日は心が安らぐような事をしては如何でしょう?」
「・・・あ・・・うん」
イリス成分を取り込み元気になったかのように見えた私ですが、どうやらまだまだ精神が安定していなかったみたいなので、今日はノワールの言う通り大人しく静養した方が良さそうです。
という事で今日は真面目なお話は止めておく事にして・・・
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「ふう、今日は精神も安定していて、やる気も十分ですわよ!」
翌日は休みだった為、朝から皆が私の部屋に集まっている中で私は声を張り、自分はもう大丈夫だという事をアピールしました。
「私達もやる気十分なので、何でもお話しください」
「いや、何ならまたやる気充填さすために昨日みたいな事してもうてもええんやけど?」
「ふふ・・・朝から盛ってますね・・・サマンサ・・・」
「うっさいわ!」
そして私のアピールにマルシア達もバッチコイとなっていたのですが、少々バッチコイ過ぎる人もいる様です。
まぁそれも仕方ないのかもしれません。なんせ昨日はあれから歳相応に育ってきている彼女達と、ちょっとアレな戯れを・・・。
(実はこの世界が百合系エロゲーの世界だった可能性も微レ存ですわね!っと、今日は真面目なお話をしなくては・・・)
煩悩の事は取りあえず追いやり、私は真面目な話をするために頭を切り替えます。
「まぁそれは後日時間がある時にやるとして・・・ここからはちょっと真面目な話をしますわね。ちょっと『え?それヤバくない?』的な事もあるので、心して聞いて下さいまし」
「「「はい」」」
「よろしい。ではまず、昨日留学生たちの引率にタイラスという方が居ましたわよね?実はあの方・・・・・・」
私は不穏な前振りをしつつ、昨日話そうとした真面目な話をしていきます。先ずは軽・・・くもないのですが、この後する話からしたら軽い事実のタイラスの事から話していきます。
「あの方が・・・」
「はぁ~・・・なんやえらい物騒な雰囲気の人や思たけど、納得やわ」
「・・・あの人が青の・・・なるほどです・・・」
3人はそれを聞き驚いていましたが、驚くのはまだまだ早いでしょう。なんせここからの話が本番なのですから。
「で、これから話す事なんですけれど、先ず覚えておいてほしいのが、これから話す話は『青の魔王が来たから起こる事ではない。居なくても起こっていた』ということです」
「「「?」」」
「イイですわね?」
「「「はい」」」
「よろしい。では話しますが、実は今年、多分秋頃かしらね。魔王と魔王の戦いが起こる・・・筈ですわ」
「「「!?」」」
私が話した内容に、3人娘はおろか青の魔王の事を聞いてもそれほど吃驚していなかったノワールさえも驚いていました。
まぁそれはそうでしょう、なんせ魔王と魔王の戦いが起こる・・・いわば何処かで核を打ち合う戦争が始まると言っている様なモノですから、驚かない筈は有りません。
「お・・・お姉様、それはこの首都で起こるのですか!?なら逃げなくては!」
「もうこの国終わりやん・・・」
「あば・・・あばばば・・・荷物まとめなきゃ・・・あ・・・何処に逃げましょう・・・」
3人娘は『この国終了!逃げる準備しなきゃ!』と考えたらしく、あたふたとし始めましたが・・・いやいや、私は何も首都、そして貴女達の家の領地で起こるなんては言っていません。
「落ち着きなさい。何も街中で戦いが起こるとは言っていませんわよ?それに、戦いが起こるにしても『出会って3秒で即戦闘』とかにはならない筈ですから、十分に逃げられる筈ですわ・・・タブン(ボソッ」
まぁ全ては『恐らく』ですが!というのも、ゲームではゲーム性を持たせる為に戦いの前ではRPGパートを挿んで来たのですが生憎とこれは現実、戦いの前にレベル上げの時間があったり、うだうだと会話パートがある訳ではないのです。
ですがそれを今言うと焦りを助長させるだけでしょうから、ここら辺は落ち着いた時にまた話す事にしましょう。
という事で、私は話の続きをします。
「ここからは確実ではないのですが、恐らく『赤の魔王』と『緑の魔王』が戦うと思われますの。それでその際、どちらの側につくかで後々が変わって来る筈なんですけれど・・・」
ゲームですと、攻略対象の好感度次第では戦う魔王の組み合わせや自分が加わる側が変わってくるのですが、今のイリスを見るに戦う魔王はこの組み合わせで、イリスは『緑の魔王』側につく可能性が一番高いと私は予想したので、そう話しました。
一応軽く説明しますと、『赤の魔王』はここで戦うのが確定となっており、相手側は好感度が高い順で選出されることになっています。
唯例外として『赤の魔王』の好感度が高い場合プレイヤーが『赤の魔王』陣営につき、相手側は黄・水・紫のどれかになるのですが、まぁそこら辺の細かい所は良いでしょうし、それより今はどちらにつくかが問題です。
「3人はどちらにつくのがイイと思います?」
『悪役令嬢』だったマシェリーがどちらについたかを私は知っていましたが、一応3人にも意見を聞いておく事にします。
すると・・・
「私としては元ファンとして・・・いえ、今もファンではありますが、『赤の魔王』様をお助けしたいかと・・・」
「いやいや・・・『緑の魔王』である殿下が戦うとしたらそっちにつく方がええやろ。ってか、『赤の魔王』様についたら国家反逆罪とかでアウトちゃうか?」
「んん・・・状況が解らないから・・・国家反逆罪となるかは微妙じゃないです・・・?・・・それに相手も魔王です・・・可能性は薄いかと・・・あ・・・私としては勝ちそうな方につくで・・・ふふふ・・・」
3人の意見は見事に割れる事となりました。
まぁ私としてはそちらの方が助かるかも知れません。何故なら私的にはゲームの時と同じく両方の陣営につこうと思っていたからです。
「ふむ・・・ならば両方につくとしましょうか?つまり、シーラの案を採用ですわね」
ゲームの時はまだ学生だったからでしょう、この時の『悪役令嬢』は戦いには表立って参加はしていませんでした。
しかしその実、イリスと敵対する側にこっそり支援を送ったり、それがばれない様にイリス側にもほんの少しだけ支援、そして嫌味を送ったりとどっちつかずの蝙蝠状態になっていました。・・・まぁ後々には直接相手側に参戦して戦っていましたが。
兎に角です、今は未だ準備もそこそこなので、ゲーム通りの対応をした方がいいのでしょう。
・・・まぁそこにプラスアルファの動きはしますが。
(折角ですからね。しかし・・・)
色々考えたところで、私の中にはある疑問が残っていました。それは・・・
「とまぁシーラの案を採用・・・なのですけれど・・・」
「「「?」」」
「正直、グウェル殿下がフレッドに勝てるビジョンが浮かびませんの。ひよっこ魔王がベテラン魔王と勝負になるのかしら?相性も最悪そうじゃありません?」
そう、ゲーム通りに『イリスが参加している陣営が勝つ』とはならないんじゃないか?ということでした。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「マシェリーさん?エロいのは・・・良いと思います。」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと ああいう展開が・・・。
マシェリーの一口メモ
【エロは置いておき、魔王戦ですが・・・まぁボス戦ですわね。ゲームだと調整が入りそれなりに戦えるのですが、現実だと如何に?】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】