第187話 これまでの話と相性の悪い人物再び
唐突ですが自己紹介をしましょう。
私は転生者で、前世ではアラフォーの極々一般人として生きていました。名前は・・・まぁ今更なのでいいでしょう。
そして今の私はピチピチの15歳で、『悪役令嬢役』マシェリー・フォン・オーウェルスとして生きています。
そして今日は留学に行っていた私のライバルであり、私達が今いるゲームの世界『六人の魔王と藍の聖女イリス』の主人公、イリス・ウェンディゴブルーが返って来る日です。
本来のゲームの流れならばなかった留学でしたが、それから2年ぶりに帰って来た彼女は吃驚するくらい変わっていました。
なんと彼女・・・背中にかかるほどだった髪が短くなり、顔はふにゃっと柔らかそうだったのがキリッと、更に背は高くなっていました。まるで『○塚所属の役者さんですか?』と言わんばかりの風貌です。
(ぐぬぬ・・・本来ならば私も見劣りしない位に育っていた筈なのに・・・)
本来のゲーム世界で私マシェリーと言えば、能力・容姿共にハイスペックな主人公のライバル役に設定されており、公式設定では身長も18歳時点で160後半、更に体型もナイスバディーとなっています。
ですが今の私はというと・・・12歳時点からさほど成長しておらず、身長は150cmちょいで体型はペターンと見事にチンチクリンでした。
だからというのもあるのでしょうね。・・・先程会った時に気付かなかったのは。
いえ、まぁそれだけじゃないというのは解ります。というか、成長していないだけならば逆に向こうからは解った筈ですから。
ならば何故か?それは私の様子が以前とはかなり様子が違っていたからでしょう。まぁそれというのも全てイリスの所為なのですが。
何故イリスの所為なのか、ですか?・・・いいでしょう、お話いたします。
それを語るにはまず2年前、イリスが留学に出た時にまで話は遡ります。
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2年前、イリスが留学に出た日から数日後、私は実家に戻り色々な事を考えたり、動いたりとしていました。
それというのも、私が知っている筈の世界の流れが違って来ていたからです。その所為で本来の流れと違う動きは他にもあるのか、そして元から考えてあった計画の見直しと色々な事をしていたわけです。
「ふぅ・・・取りあえずこれで様子を見てみましょうか」
それも後は様子を見ながら随時確認していくしかないと考え、私は始まった学園生活に戻る事になりました。
そうして以前と同じように過ごし始め、始めは順調でした。
「今回もマシェリーさんが学年トップでしたな。サークル活動も順調だし、私はこの様な生徒を持ててうれしいですぞ」
「オーッホッホッホ!まぁそんなこと・・・もありますわ!オーッホッホッホ!」
勉学も優秀でサークル活動もバッチリこなしたり・・・
「依頼達成確認しました。ご苦労様でした『虹』の面々!」
「オーッホッホッホ!また何か良い依頼があれば教えてくださいまし!」
冒険者活動もぼちぼちとこなしレベルアップ・・・
「お姉様、間違いあらへん。この先のアジトにあったん禁制品やったわ」
「ふむふむ。では強襲後に通報しましょうか」
「「「はい」」」
本来の流れ通りで変わっていなかったイベント等をイリスが居ない分熟したりと、誰が見ても問題なく順調に進んでいました。
しかし・・・
「マシェリーさん、勉学やサークル活動は問題ないのですが、授業態度等はもう少しどうにかなりませんかな?他の先生方も困ってますぞ?」
「え?何か問題がありまして?私的には普通にしているつもりですのよ?」
学園で授業態度を注意されたり・・・
「依頼は達成ですが、ちょっと納品物の状態が・・・」
「何か問題ありまして?」
「あ・・・いえ・・・」
冒険者ギルドでちょっと小言を言われたり・・・
「お姉様、この前言われていた件ですが・・・」
「あ~・・・あれは見送りましょうか・・・」
大して支障が無さそうなイベントをスルーしたりと、徐々に徐々に色々な所に問題が出てきました。
そして終には・・・
「マシェリーさん!盗んだ馬で走るのはやめるのですぞ!」
「やっぱり大人は解ってくれませんのね!きぃぃー」
盗んだ馬で校舎の周りを駆け巡ったり・・・
「ひぇぇ・・・すいませんっす先輩!」
「アナタの肩が当たった所為で私の肩が砕けましたのよ?どうしてくれますの?んん?」
新人冒険者に無駄に絡んでみたり・・・
「オーッホッホッホ!力はパワーですのよ!」
「「「わぁ・・・お姉様パワフル・・・」」」
イベントを権力と暴力でごり押して消化したりと、暴走状態になりました。
まぁそのすぐ後には陰キャ状態に陥り、最終的には暴走と陰キャ状態を繰り返す唯の情緒不安定状態になった訳ですが。
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と、このような事があったわけです。
・・・え?これのどこがイリスの所為?ですか?
それは勿論アレですよ・・・私がこの様になったのは全て『イリス成分が不足した』所為だからですよ。
・・・意味が解らない?・・・そうですか。
いえね、最初は何ともなかったんです。ですけれど段々と『今イリスはどうしているのか?』『怪我をして寝たきり状態になりました、とかなっていないかな?』『恋人なんて出来ていないだろうか?』とか色々な考えが頭に浮かんできて不安になったのです。
まぁそれも最初はノワールの胸を揉んだり、3人娘のお尻を枕にしたりだとかで精神は安定していたのですが、段々とそれでも効かなくなってきたのです。
つまり、『イリス成分が不足した』のです。
うん?解りませんか?まぁもう少し言い換えると、イリスの事が気になりすぎて情緒不安定になったという事ですね。
この『気になりすぎる』は色々な意味がありますが、まぁそこは各人の御想像にお任せいたしましょう。
と、ここまで長くこの2年間の話を語ってきましたが、話を現在に戻しましょう。
現在は講堂にて私がイリスを、イリスが私を見ているのですが、それで私はイリス成分が補給され、今までの不安な気分がスッと無くなったかのようになりました。所謂『わたくしはしょうきにもどったぞ』というやつです。
その様になったおかげで頭も回り出したお陰か、私は未だ続く紹介の中、壇上にあまり見たくない様な人を見てしまいました。
(なっ・・・あの方は・・・いえ、そうですね。今年には確かに居ないといけませんものね)
私がイリスから視線を移してマジマジと見ていると、丁度その方の紹介になったので一先ずそれを聞いてみる事にします。
「これまでは我がファースタット王国から留学した方達の紹介でしたが今度はその逆、セウォターカンド国より我が国へと留学の為に訪れた方の紹介となります」
司会の方がそう言うと、青色の髪と青色の目を持つ男性が皆より一歩へと出てきます。
「まず、学生ではありませんが引率役として来られたこちらの方、タイラス・フォン・セウォターカンド様です。名前から解る通り、タイラス様はセウォターカンド国の王族で、王城にて公務をしながらも教育にも携わっているお方でした。その実績として・・・・・」
私はその紹介を聞き、『ダウト』と叫びそうになります。
なんせ彼の本当の名はタイラス・ブルー・セウォターカンド。セウォターカンド国を裏から動かす・・・青の魔王なのですから。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【本来ならばイリスはTHE普通の女性になっていた筈ですわ。なんせ乙女ゲーの主人公ですからね。】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】