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第186話 5章プロローグ 裏

 ≪とある女子生徒視線≫


 あちらこちらで新緑が芽を出し、心まで温かくなるような季節、私は立派な石畳が敷かれた道を歩いていました。


「・・・」


 何時もならば知り合い達と歩いている筈でしたが、私は今1人で歩いていました。

 まぁそれというのも理由がありまして・・・


「・・・はぁ、すっかり忘れてたなぁ・・・」


 そう、すっかり忘れていたのですが、知り合い達は『予め先に行っておかなければならない。だから今日はすまないが一緒には行けない』といって先に目的地である講堂へと出ていたのでした。


「ま、思い出せたしいいかな」


 しかしそれは全て自分の過失、知り合い達を怒る筋合いも無いので気持ちを切り替え歩きます。

 そうして歩いていると・・・


『・・・ホッホ~!行きますわよ~!』『『『はい!』』』


「・・・っ!?」


 何処かからか微かにそんな声が聞こえて来たので、私は周りを見回し探してしまいます。


「・・・あっ!」


 すると遠くに去って行く派手な姿の集団を見つけたので、私は慌てて追いかけようとしたのですが・・・


「ちょっとまっ・・・ん?」


 妙にフラフラしながら歩く小柄な女子生徒が目につきました。

 遠くに去って行く集団を追いたいのは山々でしたが、今にも誰かにぶつかってしまいそうな感じのその子を放って置く訳にもいかず、私はその子の近くへと行きます。


「ふふ・・・いえいえそんな・・・」


 そうしてその子へと近づいた時、懸念していた通りにその子は道行く集団にぶつかりそうになってしまいました。


「・・・危ないよ?」


 なので私はその子の後ろから右手で左肩を捕まえ動きを止めます。


(・・・ん?)


 しかしその時、その子の止まり方に不自然さを抱き首を傾げてしまいます。


(何だったんだろう?・・・っと)


 ですが今の私の状態を思い出したので直ぐに考える事を止め、女子生徒の肩を掴んだままだったので解放し声を掛けます。


「あれ?・・・まぁいいや、おほん。前はちゃんと見て歩かないと危険だよ?」


「あ・・・あり・・・がはぁっ!?」


「・・・?」


 すると何故かその女子生徒はとんでもない物を見た様な感じになり俯いてしまいました。


(何だろう・・・セウォターカンド国に居た頃も時々こんな感じで対応された事があるけど・・・ん~?そう言えばこんな風になるのは何時も女の子だったっけ?)


 私はつい1週間ほど前まではここではない国に留学しており、そこでも度々この様な対応がされた事がありました。恐らくそれは私が成長して色々変わった事で起こり得たモノだと思うのですが・・・私ってそんなに酷いのでしょうか?


(いや、私だってできればこの子の様でいたかったんだけど・・・)


 私は少し傷つきながら、目の前で俯きアワアワとしている女子生徒のことを観察します。

 その子は帽子を被って顔が見えませんが可愛い感じの雰囲気を醸し出し、小柄でちんまりとした手足の可愛い子でした。恐らくは新入生で年下なのでしょうが、出来れば私もこのくらいの初々しさと可愛さでいたかったものです。


(いやしかし・・・本当に可愛いですねこの子・・・もしかしたらあの人位に・・・)


 私は胸元に隠した指輪を触りながら、これをくれた人の事を思い出し心の中でにやけてしまいます。


(・・・いやいや、私はノーマル性癖なのでイヤらしい妄想なんて・・・。でもあの人は・・・うぅぅ・・・)


「そ・・・・ありゅが・・・・ましぇん?ってあ・・・いや、なんでもないです、はい」


 良からぬことを考えていると、ちんまり可愛い後輩が何やらアワアワとしながら何かを言って来ていた様です。

 しかしイマイチ何を言っていたのかは聞いておらず申し訳ない気持ちになってしまいます。私は少し申し訳なさそうな顔をしながら、取りあえず引き留めた時に怪我をしていないかどうかを尋ねてみます。


「???あ~えっと、大丈夫かな」


「え・・・えへ・・・えへへ・・・」


 すると大丈夫との答えは帰ってきませんでした。ですが笑っていますし、動きに不自然な所も無かったので問題は無かったのだと判断します。

 そして大丈夫だったのならと、私はその子に1つ提案をしてみます。


「あ~えっと、講堂行くのかな?よかったら一緒に行かない?」


 奇しくも私同様その子も1人、更に私としては何故かその子が気になり仲良くなりたいという気持ちがあったので、私はその子へとそんな提案をしてみます。

 ここで断られると少しショックでしたが、その子はどうやらとてもいい子みたいで、私の提案に快い返事をしてくれました。


 という事で、私は留学から帰って来て初めて知り合った後輩(推定)の子と楽しく会話をしながら講堂へと向かいました。


 ・

 ・

 ・


「あ、ごめんね?私はちょっと行く所があるから一緒には入れないんだ」


「あ・・・はい・・・」


 講堂の入口にて私は後輩ちゃん(推定)とお別れをすることになってしまいました。

 それには一応理由があり、その為別入口から入り待機する事になっているからなのですが・・・出来る事ならこのまま後輩ちゃんと一緒に入りたいものです。

 しかしそんなことをしてしまうと先輩の威厳がガタガタになってしまうので、私は涙を呑んで後輩ちゃんに別れを告げ知り合いが待つであろう所へと向かいます。


「イリスです。入ります」


「ああ、イリスか。おはよう」


「おはようございます殿下。そして皆さんも」


「「「おはよう」」」


 知り合い・・・一緒にセウォターカンド国へと留学していたメンバー達が待つであろう控室へと入ると、やはり皆は既に待っていました。

 私は挨拶をすると置いてあった椅子へと座り話を聞く事にします。


「リアももう居たんだね。おはよう。話はどんな感じなの?」


「おはようイス~。えっとですね・・・」


「ああ、集会の流れは今から話すところだから聞くといい」


「あ、はい」


 この後の集会の流れは今から話すみたいで、それを聞きこの後の流れを一通り聞きます。


 ・

 ・

 ・


 そうしている内に外から集会の始まりを告げる声が聞こえて来て、控室がノックされます。


「殿下、皆様、そろそろですのでご用意を」


「ああ。皆、行こうか」


 いよいよ私達の出番だという事で、私達は控室から出て舞台袖へと移動します。


「それではこれより、本学園よりセウォターカンド国へと留学していた生徒達、並びに交流の為出向いていた卒業生、そしてセウォターカンド国より我がファースタット国へと数年間留学していただく方達の登場となります。皆様、暖かくお出迎えください」


 舞台袖で待機していると司会の人が合図をしてきたので、私達は壇上へと姿を現します。


『『『・・・ワーワー・・・パチパチ・・・』』』


 すると司会の人が言ったからでしょうか、講堂に集まった生徒の人達、そして先生方が笑顔で拍手をしながら私達を迎えてくれました。


(・・・あっ、ってあれはマニーさん達か。・・・いないなぁ?)


 だと言うのに、その時私は至極真面目な表情をしつつ、さりげなく目だけ動かして講堂の中で目的の人物を探していました。・・・いえ、暖かく迎えてくれる皆さんには感謝をしているのですが、ついつい探していたのです。

 しかし私が探している人物は一向に見つからず、そのまま集会は進行していっていました。


「続きまして・・・イリス・ウェンディゴブルー。彼女は平民ですが・・・」


(・・・あ、私だ)


 そして気が付くと私の紹介になっていたので、私は皆から一歩前へ出て軽く頭を下げ笑顔を見せます。

 そして紹介が終わるまで笑顔のまま皆より一歩出ていた状態を続けていたのですが、その時私はあの後輩ちゃんの姿を見つけました。


(あ、後輩ちゃんだ。そう言えば名前聞いてなかったなぁ)


 自分の紹介を聞いていても意味がなかったので、司会の人の話を聞き流しつつ私は後輩ちゃんの事を見ていたのですが、その時初めてハッキリと見た後輩ちゃんの顔を確認して私は叫びそうになりました。


(えっ!?いやいや・・・そんな・・・えぇぇえ!?)



 そう、よく確認できたなら凄く特徴があったその後輩ちゃん?ですが・・・



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「百合の波動が見える。」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 塔が建ちますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【ウチの3人娘が凄い恰好をしている様に、この学校は帽子等被っていても問題はありませんのよ!オシャレ公認学園ですわね!】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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