第177話 ヘファイナーの品評会6
『それでは、ただいまからヘファイナーの品評会2日目を開催いたします』
『『『・・・ワーワー・・・パチパチパチパチ・・・』』』
『先ずは審査員の発表をさせていただきます。同品評会において過去何度も優勝経験のある・・・・・・・』
遂にヘファイナーの品評会の本戦とも言える2日目がスタートし、会場は絶好に盛り上がりを見せていた・・・のですが、そんな盛り上がりとは一転、私達のいる控室は微妙な空気が漂っていました。
何故そんなことになっているのか、それはイリス達が控室に入室してきた時に私達と少しいざこざがあったからでしょう。
(ですがあれでは貴女の方が悪役みたいですわよイリス・・・)
いざこざと言っても殴り合い等の暴力ではなく口論で、最初は軽い感じで『こ・・・こんにちは。は・・・早いですねマシェリーさん達』『え・・・えぇ、まぁ』と無難な感じだったのですが、微妙にジャブが入り、次はストレート、最後には『頭のいいマシェリーさんなら約束は覚えていますよね?あ、でもテストで私に負けるくらいだから、記憶力が微妙で覚えていませんか?』とエルボーが飛んできて、控室の中はとげとげとした空気が流れ始めました。
まぁ私もやられっぱなしでいるのは何でしたので『優勝できなかった方が一発芸ですけれど、今からしなくてもよろしくてよ?それ、最後に負けて誤魔化すっていう一発芸ですわよね?』なんて反撃してしまい、最終的にとげとげした空気は控室に蔓延してしまい、後から入ってきた人たちも微妙な雰囲気になってしまいました。
と、これを聞くとどちらも言い合っているので、『イリスの方が悪役みたい』って何の事だと思うかもしれませんので説明しておきますと、会話にジャブやストレート、反則のエルボーを叩き込んで来たのは、全部イリスからなんですよね。
更にです、取り巻き・・・と言っていいのか解りませんが、イリスの近くにいたテッショウもこちらへとウザ絡みをしてきたので、それも合わさりイリスの方が悪役っぽい感じになってしまったんですよね。
(主人公の筈なのに悪役なんて・・・それは私の役割でしてよ!っと)
『それではご紹介や諸々の説明も終わったので、早速始めさせていただきます。先ず品評会のトップを飾りますはワムノス工房となります。ワムノス工房の人は作品を持って会場へと出てください』
役割を取られた事を嘆いていると、いつの間にか審査員やルール説明等が終わり審査が始まっていました。
(えぇっと・・・)
考え事をしながらも聞いていた所によると、この審査は審査員10名がそれぞれ10点を持ち、性能や発想等諸々を審査した上で作品に点数をつけていく点数制らしく、会場へと出て来た工房の方々の前で審査していくのだそうです。
この審査員には鍛冶師ランクの最高級である『マイスターランク』を持つ方や、有名工房の引退した方々がいるらしく、コメントも沿えて厳正に審査をしてくるので、『微妙なレベルにも関わらず一般審査を通ってしまった工房は頑張ってください』との事でした。・・・MCの方酷いですね!?
因みに何時もならば貴族の審査員もいる様ですが、今回は諸事情により居ないとの事で、『のびのび出来ますね』なんてMCの方は言っていますが・・・聞こえていますよ?
「あぁ・・・。まぁ貴族の審査員の人ってこう・・・コメントとか評価がちょっとアレだから・・・」
顔にでも出ていたのかパメラがひそひそと私に囁いてきましたが、その気持ちは解らなくもないので頷いておきます。
「そうですわね、ええ」
『審査が終わった様なので、これより点数発表となります。審査員の方は合図の後、点数の札を一斉に上げてください』
そんな風に余計な事を喋っていると会場から評価点数と作品に対するコメントが聞こえて来たので、私はそれが気になり、確認しようと会場へと意識を集中させる事にしました。
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そうやって他工房の作品を集中して見ていると時間は瞬く間に過ぎ、審査は私達がいる『大6号室』にまで進んでいました。
「そ・・・そろそろですわね」
「ええ」
ここまで来ると、控室の空気はトゲトゲして静かというよりも、ドキドキとした緊張で静かになり、ギスギスした空気ではなくなっていました。
更に意外にもTPOが読んでいるのか、私の中でガサツ認定しているテッショウも何も言って来ず、それどころか、テッショウは緊張しているイリス達の心身をほぐす様な感じの動きをしていました。・・・あの男、ああいう事も出来るのですね。
『続きましてはボルグ工房です。ボルグ工房の人は作品を持って会場へと出てください』
半目でテッショウを見ていると、ボルグ工房が呼ばれたので彼らは立ち上がりました。そしてスタッフから作品を受け取ると、テッショウとカリン以外はギクシャクとした感じで歩きながら会場中央へと向かって行きました。
「いよいよイリス達ですのね・・・と、そういえばボルグ工房ってどんな作品を作っていたのかしら?誰か知っていまして?」
何故か若干私も緊張しながら彼女らを見送っていると、ふとした疑問が沸き起こったので私は皆へと尋ねました。
しかし皆も知らなかったようで『そういえばどんなの作ったんだろう?』と全員が首を傾げる事態になっていました。
「マシェリー達は昨日も見たんじゃなかったの?」
「いえ、見てませんわね。聞いたかと思いますけれど、私達が会場入りしたのはかなり遅い時間です。そこから他の工房の作品を見に行く事なんて出来ませんでしたもの」
「そっか・・・」
私達が知っている他工房の作品情報と言えば、『近くに出展していた工房が凄い作品を出して人を集めていた』位です。本当は帰りにでもチラッとでも見ていけばよかったのでしょうが、パメラ達の事が気がかりだったのでスッポリと頭から抜け落ちていたんですよね。
「ま、見ていた所で結果は変わらないだろうし、いいんじゃない?それより今から良く見ておいて、後で『中々だったじゃない』とでも言ってあげましょうよ」
「そうですわね・・・そうしましょうか!」
「ええ、そうよ!」
パメラの言う事ももっともだったので、私は後で勝負に負けたイリス達へと慰めの言葉を掛けるために彼女らの作品をよく見ておく事にしました。
『それではボルグ工房の代表の方!作品をお願いします!』
MCの方が作品を出してくれという言葉を言ったので、私達は会場のイリス達の方へと注目します。
「オーッホッホッホ!それではよーく見て差し上げましょうか!どんな作品ですのっ!?」
そんな彼女ら、ボルグ工房が出してきた作品は・・・
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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マシェリーの一口メモ
【○○○○○ハートブレイク!編まで、@・・・】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】




