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第174話 ヘファイナーの品評会3

「いけませんわ!私にはモペモペマッポは早すぎっ・・・っは!?」


 イリスが私にモペモペマッポを強要して来た所で、それまで見ていた極彩色渦巻く空間から黒と白っぽい何かへと急に視界が切り替わった事により私は混乱してしまいます。


「うっ・・・一体なんですの・・・?それに一体これは・・・?」


 私はどうやら左半身を下にして横向きに寝ている様ですが、そのまま体を起こさずにその黒と白っぽい何かを右手で突き、撫でてみます。

 その黒と白っぽい何かは、黒は若干布っぽい触感ふわふわとした弾力、白っぽい何かはもちもちすべすべ且つ程よい弾力をしていましたが・・・余計にその正体が解らなくなってしまいました。


「んん?なんでしょうこれは・・・?ん~・・・」


 私は考えながらそれを突いたり、掴んでみたりします。


 すると・・・


「あっ・・・お嬢様・・・」


「・・・えっ?」


 何やら頭上から声が聞こえて来るではありませんか・・・と、ここで私は漸く気づきました。


(下側の左半身はもれなく柔らかい・・・しかも頭の部分は特に。更に頭上からはノワールの声。そしてこの目の前の物体はよく見ると布と肌・・・つまり・・・)


「つまり目の前のこれはノワールの・・・。それは魅惑の触感な筈ですわね」


 私は判明した目の前の物体・・・下着とそれに包まれたノワールの胸肉と、更に私の枕代わりになっているもう片方の胸肉へと感謝を捧げ、その気持ちを表すために撫でておきます。


「い・・・いけませんお嬢様っ・・・」


「・・・というか、私が体の上に乗っていて苦しくありませんの?」


「少し苦しいですが、それもまた・・・」


「・・・」


 ノワールのおかしな性癖を開いてしまってはいけないと思い、私は体を起こしノワールの上から降ります。するとノワールが何故か肌蹴ていた上半身の服を直し、私へと頭がスッキリしそうな飲み物を渡してきたのでそれを飲みます。

 そして頭がスッキリすると、改めて私が・・・私達が何処に居て何をしていたのかを段々と思い出してきました。


「そうでしたわ・・・昨日はロギヌス工房に泊まり込む気で来て、そしてそのまま応接スペースのソファで・・・」


 遡ること数日前の事、何とか作品完成の目途が立った事により心に余裕が出来、私には欲が生まれてしまいました。そしてそれによりオリジナルデザイン作成大会が始まった訳ですが・・・見事にこれが大失敗でした。

 いえ、オリジナルデザインを作ろうという案自体は良かったのです。しかし『1時間を制限として考えましょう』、これを守らなかったのがいけませんでした。

 最初は『後5分だけ!』から始まり、『もう後5分!』『いや後10分!』、そしてデザイン案発表が出てからの『いやいやこっちのが』『いやそれなら』『ならこれとこれを足して・・・』と、時間に制限があるにもかかわらず話し合いは伸びにのび、最終的には日を改める事となるほど悠長に話し合いを進めた結果・・・『まずっ!?そろそろ作らないと間に合わないわよ!?』と、余裕があった筈が、逆に余裕がないという事態に・・・。

 結局はヘファイナーの品評会前日になっても展示する用の作品が出来ていなかったので、パメラ達は品評会前日にも関わらず徹夜で製作をする羽目になってしまったという訳です。・・・因みにですが、特に製作の力になれるわけでもない私達がロギヌス工房に居たのは、何かあった時にサポートが出来る様に待機していたという訳です。結局は寝てしまっていましたが!


「・・・はっ!?パメラ達は!?作品はどうなりましたの!?」


 そう、いつのまにか寝てしまっていたので、肝心の製作がどうなったのかが解りません。予定では夜遅く、私が寝てしまったと思われる時間の後に完成予定でしたが・・・


「それですがお嬢様、実は・・・」


「?」



「・・・製作過程で何やらあったらしく、失敗という事に・・・」



「え・・・えぇぇぇぇえええ!?」


 何とノワールの口からは、衝撃の事実が語られました。グロウやグラァ曰く『100回作ったら99回は同じ様に作れる』との事でしたが、何とまぁ運が悪い事に1%を引いたらしく、動作がおかしい物が出来上がってしまったそうです。


「で・・・でで・・・で!?どうしましたの!?」


「勿論再度製作し直しております。ご安心ください、サポートは私が万全に行わさせていただきました」


「え・・・ええ。ありがとうノワール。・・・ですが、昨日の夜中から作り始めて間に合うのかしら・・・?」


 ファンタジー補正なのか割と早く剣1本を打ててしまう訳ですが、それでも1日くらいは掛かってしまう筈。となると、仮に昨日・・・いえ、今日?ですか、今日の夜中、0時丁度から製作を開始したとしても、出来上がってくるのは今日の日付が変わる頃になってしまいます。

 ですがヘファイナーの品評会があるのは今日。となると、どう考えても間に合わないのですが・・・


「サポートは万全に行いましたので、何とか間に合うのではないでしょうか?」


「え?」


「色々なお薬を渡し、疲れが取れる㊙マッサージ等も行いましたので、普段の3倍位の動きは出来るかと」


「・・・」


「ご安心を。全て合法な物でございますから。まぁ副作用が強く、効果が切れると動けなくなる可能性はございますが」


 安心できない気がするのですが!?・・・まぁどうやら凄い疲労感が襲って来るだけらしく、更にそれを承知でパメラ達も飲んだと言っているので良しとしましょうか・・・。


「ですが後できちんと謝っておきましょうか・・・」


 元はと言えば、私が『オリジナルデザインを作りましょう!』とか言い出したせいですからね、ええ。


「まあ、それはそれといたしまして・・・えっと、という事はですけれど、単純計算3倍で動けるのならお昼くらいには出来上がる事になるのかしら?」


「本当に単純に考えるのならば・・・ですが」


「それって、ヘファイナーの品評会に間に合うのかしら?受付って朝からスタートなんですのよね?」


「パメラ様が仰っていたのですが・・・・・」


 ヘファイナーの品評会の事はさらっとした概要しか知らない為聞いたのですが、それによるとどうやら受け付け自体は会場が閉まる夕方までやっているそうです。

 しかし勿論の事ながら遅く出せばその分不利になる部分もあるらしく、ヘファイナーの品評会は本日一般選考、明日本審査と呼ばれるモノがあるらしいのですが、本日の一般選考では遅く出せばそれだけ人に見られる時間は少なくなる為審査の点数が入りにくくなるとの事でした。


「ですがパメラ様は『これだけ話題性がありそうな作品ならその不利も無さそうだけね』と仰っておりました。ですから時間の遅れはさほど気にする事も無いのかと思われます」


「成程・・・」


 確かに私達の『属性剣』はかなり話題を集めそうな作品ですので、遅くいったとしても十分にアピールできるでしょうから問題は無いのかもしれません。

 その事が解り、私がホッと安堵の息を吐き出したその時、ロギヌス工房の扉が開きました。


「帰りましたで姐さん。っと、お姉様も起きとったんやな。おはようございます」


「おはようございますお姉様。姐さん、言われた通り適当に露店で料理を買ってきました」


「うふふ・・・ただいまで~す・・・会場の様子もチラ見してきました~・・・もうすでに人が一杯居ましたよ~・・・」


「例年通りの大盛況になりそうだね。お、おはようねぼすけさん」


 入って来たのはサマンサ達、それにレイラでした。そういえば姿が見えませんでしたが、どうやらご飯の買い出しと、ヘファイナーの品評会が行われる会場の様子を見に言ってくれていた様でした。

 私達は改めて応接スペースに座り、買って来てくれたご飯を食べながら会場の様子を聞きます。


 ・

 ・

 ・


 そうして雑談などをしつつ待っていた私達なのですが・・・


「「「・・・」」」


 時刻を確認すると既に昼を回っており、予想していた完成時間が過ぎようかとしていました。鍛冶場からの音も少し前に途絶えていたので、そろそろ出て来てもいい筈なのですが・・・


「ん~・・・チラッと様子を見に行くかい?」


「そうですわね・・・そっと覗く位なら集中も切れないだろうから、良いかも知れませんわね」


 それに痺れを切らしたのか、レイラが様子を見に行く事を提案しました。私としても気になるので、そのレイラの提案に乗り鍛冶場の様子を伺う事に決めました。

 私達は応接スペースのソファーから立ち上がり、抜き足差し足ではありませんが、音をなるべく立てない様にそぉ~っと鍛冶場へと近づいて行きます。

 そして閉じられた鍛冶場への入口をゆっくり音が立たない様に開くと・・・



「・・・!?パメラっ!?グロウにグラァもっ!?」


 何と・・・パメラ達が鍛冶場の床に倒れているではありませんか!?

 私達は慌てて鍛冶場へと入り、彼女達を鍛冶場から引きずり出します。


「レイラ様っ!取りあえずパメラ様の寝室へっ!」


「あいよっ!」


 鍛冶場から出た後は店舗や鍛冶場と別にあるパメラの居住スペースへと彼女らを運び、取りあえずパメラはパメラのベッドへ、グロウとグラァはノワールが新たにアイテムボックスから出したベッドの上へ寝かせます。

 そして寝かせた後はノワールが3人の様子を確認、私達はそれを見守ります。


「・・・恐らくお薬の効果が切れ、それにより疲労が一気に来たようですが、大きな問題はなさそうです」


「暑い鍛冶場に倒れていたけれど、それも大丈夫ですの?」


「はい」


「「「・・・ほっ」」」


 ノワールの所見を聞き私は安堵の息を漏らします。ですが素人診断の為万が一があってはいけないと思い、私達はお医者様を連れてくることを決めました。


「あたしが行って来るよ」


 そう言うレイラにお医者様を連れてくることを任せた私達はパメラ達を見守ります。ですがその途中『そういえば作品はどうなったのか』と思い出し、パメラ達をノワールに任せ、私と3人娘は鍛冶場を見に行く事にしました。


 そうして鍛冶場へと私達は訪れた訳ですが・・・


「・・・これって、明らかに組み立ての途中ですわよね?」


 作っていた作品は見た感じだと後一歩で完成しておらず、私達は途方に暮れてしまいます。

 ですがそのまま立ちつくしている訳にもいかないので、私達は一旦それをそのままにしてパメラ達の元へと戻り、レイラがお医者様を連れて来るのを待ちます。


 そして暫く待った後レイラがお医者様を連れて来てくれたのでパメラ達を見てもらうと・・・


「安静にしておけば問題ないですな。ではお大事に」


 パメラ達自身には問題が無いという診断が下されたので、私達は再度安堵の息を吐きだしました。


 ・・・とまぁ、パメラ達に大事が無いという事が確定したのは良い事なのですが、お医者様が言った次の言葉が問題でした。


「ん?何か薬等を飲みましたかな?・・・ふむ、なるほど。なら半日ほどは使った薬品の副作用か、目は覚まさないと思います。ですが後を引く事等はない筈なので問題は無いでしょう」


 つまりです、お医者様が言うには半日ほど目を覚まさないので作りかけのあの作品もあのままという事なので・・・


「・・・作戦会議の時間ですわ!」


 私は慌てて作戦会議を開く事を提案しました。

 私達は応接スペースへと走り、今までにない位の熱い討論を交わします。


 ・・・そしてその熱い討論の末『これだ!』という方法を決め、急いでそれを行い。


 ・

 ・

 ・


「参加希望ですわっ!受付方法はどういたしますのっ!?」



 何とか会場入りを果たしました。



 マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「一体何をどうしたんです?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?

 ☆やイイネをぽちっと押すと 元気になるお薬をプレゼントしますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【乳枕、良いと思いますわ。】


 マシェリーより宣伝

【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。

最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/

よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】

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― 新着の感想 ―
[良い点] メイドさんの乳枕、とてもイイ! イリスさんにハラハラさせたね、そして心配は間違いなかった、マシェリーさんは全然余裕がない。。。まさかドジっ子特性w
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