第168話 忘れていた技は神スキル!?
再度奮起し、『製作頑張るぞっ!』『おぉ~!』となった私達ですが・・・
『・・・カンカン・・・ゴン・・・ボッ・・・・』
「「「・・・カリカリ・・・」」」
基本的にはパメラ、グロウ、グラァの職人達が製作を頑張るだけで、私達には出来る事は特に無く、しいて言えば食事の用意等をして待っているくらいしかありませんでした。・・・素材採取ですか?勿論続けてはいましたが、それも現状ストックが出来ているので毎日やる必要もないんですよね。
「あ、お姉様ここって・・・」
「そこは・・・」
「古代語って何やねん・・・いらんやろ・・・」
「・・・ふふ・・・同感です・・・というか暗記系のは全部いりません・・・」
ですので私達は余っている時間、応接スペースを借りて勉強などをしておりました。因みにレイラは本職が冒険者なので、今日もせっせとロギヌス工房のモノでない依頼を受けて出かけています。
『・・・カンカン・・・ゴッ・・・トットッ・・・』
「・・・しかしあれから頑張っとるけど、まだ全然あかんのやな・・・」
「その様ですわね。昨日も『あぁ~!もぉ~!』とか聞こえてましたし・・・あ、サマンサそこは注意するポイントですわよ?」
「今日も来た時からやっているみたいですし、そろそろ一旦出てくるかもしれませんね」
「お昼時ですしありえますわね。私達もお昼休憩にしましょうか・・・の前にマルシア、そこの計算が違っていましてよ?」
お昼?と不思議に思うかも知れませんが、本日は再奮起した日から2日経った3月1日・・・つまり土曜日だったりするので、私達は朝からロギヌス工房へとお邪魔させてもらっていました。特にロギヌス工房で待機している意味は無いんですが、何となく居ても立っても居られなくて来てしまったんですよね。
そして来てしまっているからにはパメラ達の食事の準備をしてあげるべきだと思うので、私達は一旦勉強を切り上げ、食事の準備をする事にしました。
そうやって準備をしていると・・・
「・・・ふぅ」
「疲れたろっ・・・」
「時間を置いて安定したら確かめてみるらっ」
「そうね・・・って来てたのね?いらっしゃい」
ナイスタイミングでパメラ達が奥から出てきたので席に着いてもらい、一緒に食事をとる事にしました。
その際雑談ついでに進捗状況を聞いてみると、現在も一本仕上がり、今は色々安定するまで少し待っているのだそうです。
「肝心の魔道具化はどうですの?」
「今回のも色々変えてみたりして試してはいるんだけどね・・・どうかしら。はぁ・・・こんな時出来ているのか鑑定でもできる魔道具でもあればね・・・」
「そんな魔道具あれば最高ろっ。グロウの方がほしいろっ」
「作れないらっ?」
「無理じゃないろっ?昔から色々モノの状態を確認する為に・・・・・・」
話が進歩状況から唯の雑談に変わっていってしまっていましたが、私はその雑談内容を聞いて少しピーンと来たものがありました。
(鑑定・・・そういえば私も似たようなことが出来ましたわね・・・)
イマイチ微妙で今の今まで存在を忘れていましたが、私も所謂『鑑定』の様な真似ができる事を思い出しました。
しかしです、私はあの鑑定方法を『人』にしか使った事がなく、『物』に通用するかどうかは不明でした。
(ま、試してみればいいんですけれどね?)
都合が良い事にここは鑑定対象になりそうな『物』が溢れている店舗部分。私は早速鑑定を試してみる事にしました。
(・・・どうかしらねっと)
私は目の横でピースをし『鑑定モード』にはいります。・・・鑑定をかけるにはこの様にする必要があるんですよっ!?だから皆不思議な顔をしないでください!
「・・・久しぶりでございますね・・・お嬢様のキャワワポーズ・・・」
約1名は『にっこり』といったオノマトペでも出ていそうな顔をしていたりします。・・・って今はそれは置いておき、結果をいいましょう。
・・・見えました!因みにその鑑定結果を1つ代表してみるとこんな感じです。
品質:良
総合等級:B+
所感:特に悪い所が見られないが、材料の品質等が普通なのでB+。
参考までに人に使った場合を教えますと・・・
状態:普通
強さ:やや強い
使用可能:黒
好感度:だいぶやばい
こうです。誰に使ったかは・・・まぁ何となく察しがつくでしょうから秘密です。
と、この様に人、物、どちらに使ってもシンプルな結果しか出ませんでしたが、確かに鑑定は物にも効く様でした。
つまりです、試作品に掛ければ完成に近づくヒントが見れるかもしれません。
「パメラ、出来た試作品を見に行ってもよろしかったかしら?」
「いいけど・・・ご飯が終わってからじゃダメなの?」
「あ、そうでしたわね。なら食べ終わったら見に行きましょう」
少し気が流行ってしまい、未だ食事中だった事を忘れていました。
私は気を落ち着かせる為、しっかりと食後のティータイムまで取る事にしました。
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そして十分気が落ち着いた食後、私は皆を連れたち奥の鍛冶場へと向かいました。
「そろそろ大丈夫だと思うんだけれど・・・どう?グロウ?」
「ん~・・・んっ!大丈夫ろっ!マシェリー!これが今回出来上がった試作品ろっ!」
「ありがとうグロウ。・・・ふむ」
品質:やや良
総合等級:C-
所感:素材、製法共に優れているが、造りが甘い。火の属性に相性がイマイチな土属性が混ざり不安定になっている所はマイナスポイント。
渡された試作品に鑑定をかけてみるとこの様な結果が出た訳ですが・・・成程。この鑑定はとても有効のように思えます。
「凄く使えるじゃありませんの・・・もっと早く気づいておけば・・・ぐぬぬ・・・」
そして有効だっただけに、もっと早く鑑定に気付いておけば製作はスムーズに進んだのではないかという思いも沸いて来てもやもやしてしまいました。
ですが今はそんな後悔よりも先に進む事の方が重要です。なので私は鑑定結果から解った事を職人達に伝えます。
「どうやら新しい試みとして混ぜた属性は相性が悪いようですわ。恐らく混ぜるならば木とか雷のほうがよろしいんじゃなくて?」
「え?」
「ろっ?」
「らっ?」
「・・・え?」
私が伝えた結果に、何故か職人たちは『何それ?』という様な顔をしていました。これは一体どういう事でしょう?
「新しい試みとして属性を混ぜたのではないの?」
「いや・・・変えたのは材料の比率とか、グロウが組み込んだ機構とか・・・だったわよね?」
「そうろっ。回路が悪いのかと思って色々改良したろっ」
「材料の比率もベストに近づけるために色々したらっ。けど火以外の属性素材を混ぜたりはしてないらっ?」
「ええ?でも・・・」
私は素材の事が何となく解る魔法を使った事を説明し、その際でた鑑定結果を皆へと伝えます。
最初は『その魔法が間違っているんでしょう?』という様な視線を職人達は送ってきましたが、サマンサ達が『お姉様が言うのならばそれは絶対』と熱い熱意を持って断言したので、徐々に『そうかも?』という意見へと変わっていきました。
結果、属性を判定する錬金薬があるとの事だったので、グラァがそれを調達し調べる事となりました。
「急いで用意するらっ。ちょっと待ってるらっ」
属性判定の錬金薬はあまり出回らないものだとかで在庫は無いらしく、急遽作るとの事。なので私達はそれを待つ事となりました。
ですがただ待つのもあれなので、私は今までの試作品も鑑定してみる事にしようと、パメラに今までの試作品を引っ張り出してもらいました。
結果、初期の方の作品は『素材が魔力に耐えられない』、中盤からは『属性が混ざっていて不安定』というような結果となりました。
思い返してみると魔力を入れた際の反応が違いましたが、それがこの違いだったのでしょうか?
そうして過去の作品を調べているとグラァが戻り、属性判定の錬金薬でしょうお薬を今回の試作品へとかけ始めました。何がどうなるとどういう結果なのかはグラァのみが知る所なので、ジッと見守っていたのですが・・・グラァが首を振りながら口を開きました。
結果は・・・やはり私の言う通りだったそうです。
「でもなんでらっ?土の属性を持つ素材何て使ってない筈らっ」
「ろっ。グロウも気をつけていたろっ」
「私は基本的に金属しか使ってないから混ぜようがない筈なんだけど・・・水とか油も調べてみるべきかしら?」
「その方が良いかも知れないらっ」
「ろっ!一回全部調べてみるろっ!」
職人達は各々に属性を混ぜた記憶は無いそうでしたが、『実際反応があるから』という事で一旦全ての材料を調べてみる事となりました。
そうしてその日は日が沈むまで材料の検査となり、その結果反応が出たのですが・・・
「これから結果が出ましたの!?本当に!?」
「間違いないらっ」
「何でこれから・・・実物に触ったのは確かに初めてだけど、そんな話は聞いた事ないわよ?」
「グロウも初耳ろっ」
「ジョンが何かしたのかしら・・・まさかこれから反応が出るだなんて・・・」
何と土属性の反応が出たのは・・・ミスリルからでした。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「ジョン・ラ・ビーさん実は敵!?」等思ったら、☆で評価やブックマーク、イイネを押して応援してくだされば幸いです事よ?
☆やイイネをぽちっと押すと ジョンが悪役笑いをし始めますわ。
マシェリーの一口メモ
【鉱物なんだから土属性でもおかしくないんじゃ?と思うかもしれませんが、基本的に鉱物には属性有りませんわ。つまり・・・】
マシェリーより宣伝
【他に作者が連載している作品ですわ。こちら緩く読めるファンタジー作品となっておりますの。
最弱から最強を目指して~駆け上がるワンチャン物語~ https://ncode.syosetu.com/n9498hh/
よろしかったら読んでくれると嬉しいですわ。】