第162話 不調な開発?
マシェリーの唐突なる前書き一口メモ
【次回、唐突に○○回が始まりますわ。それを今回の話から予想出来た方にはマシェリーポイントプレゼントのチャンスが!】
試作品爆発事件が起きのが18日の火曜日だったのですが、そこから4日経った2月22日土曜日、私達は昼過ぎにロギヌス工房へと足を運びました。
「改良出来た言う話やけど・・・もうそろそろバチッと完成させんと本番に間に合わんのちゃいます?」
「んん・・・そうですわね。もし今日の改良版が駄目だったなら・・・って、悲観的な話をすると気持ちが下がるので止めですわ!止め!」
「ふふ・・・そうですそうです・・・ポジティ~ブゥ~・・・ふふ・・・」
「あんまポジティブに聞こえやんでそれ・・・」
爆発事件の翌日、ロギヌス工房に再度集まった私達にパメラは『何とか改良を加えて安定させてみる』と宣言し、それからというもの、今までより一層気合を入れて製品開発に取り組み始めました。
その甲斐があったのか、先日『改良出来たわ!』と連絡が入ったので、私達は今日素材集めをせずにロギヌス工房へと向かっていました。
「しかし久しぶりにのんびりと朝起きたからか、何だが体がムズムズしますわね・・・」
「それ解りますわ・・・」
「やらなければ・・・という感じがしますよね」
「・・・私は『やらなくていい・・・』・・・って感じです・・・ワーカーホリック駄目絶対・・・です・・・」
素材集めもないし、パメラも『ん~・・・昼過ぎにでも来てくれたら』との事だったので、私達は久しぶりにのんびりと起床、その後優雅にプチお茶会なんてことをしていました。
しかし久しぶりにそんなことをしたモノですから何処か落ち着かない物があり、動きたくない派のシーラ以外は若干ソワソワしたプチお茶会となってしまいました。
「確かに働きすぎもいけませんわね。こういう弊害が出てきますし・・・っと見えましたわね」
目的地であるロギヌス工房が見えてきましたが、そのまま雑談を続けながら歩いていきます。
そして後100m程まで近づいた時、ロギヌス工房の中からどこかで見た様な女性が出て行きました。
「お客様が来てらっしゃったのかしら?」
「開店休業やけど、一応開店中やしな」
「ですわね。っと、お邪魔しますわね~」
開店休業中だけあって『休業』の札が掛かっていない扉を開けながら挨拶をすると、応接スペースの机の上を掃除していたパメラが顔を上げ、挨拶を返してきました。
「いらっしゃい。片付けだけするから、先に鍛冶場の方へ向かってくれる?グロウとグラァもいる筈だから」
「ええ」
家の主の了解もあった事ですし、勝手知ったる何とやらで私達は鍛冶場の方へと向かいます。
するとそこには双子が居たので彼女らにも挨拶。そしてレイラはまだ来ていないのかと問いかけます。
「まだ来てないろっ」
「でもその内『邪魔するよ~』とか言ってたら来たみたいらっ」
ナイスタイミングでレイラも訪れ、片づけが終わったパメラも鍛冶場へとやって来たので、早速改良されたという試作品を見せてもらう事にしましょう。
「で、モノはどこですの?」
「そこに・・・って落ちてる」
「ろっ?」
「何時の間にらっ?ティータイムする前は大丈夫だったのにらっ」
「とまぁ、これがそうだね」
結構雑に扱われている試作品を私は受け取り、じっくりと観察していきます。
「ん~・・・特に前の試作品と変わりはなさそうですのね?」
「まぁ外見はね。変えたのは内部なのよ」
「ふむ」
「外見は機能に問題が無いようなら新しく打ち出して装飾しようと思っているの。3日もあればそれ位ならいけるしね」
「成程・・・」
パメラの話を聞いた後、じっくりと試作品改を確かめたところで次の人へと渡すと、渡された人も同じ様に確認をし、次へ次へと回していきます。
そして最終的に私の元へと戻って来たので、早速改良結果を確かめるかとパメラへと問いました。
「ええ。お願いする・・・んだけど、一応待ってもらっていい?」
そう言うとパメラは前回と同じく盾を配布し始めました。そして今回は前回の反省を踏まえたのか、ノワールが近くに待機をしました。
私はノワールに礼を言い、その後『始めますわ』と合図を出し、前回と同じ様に魔力を込め始めました。
(さて今回はどうなるのやら・・・・・・あら?)
前回を越える大爆発なんて怒らないよね?なんて思いつつ魔力を注いでいくのですが、どうも手ごたえがおかしい感じがしました。
(前回はスッと入ってそれからが大変でしたのに、今回は入ってすらいきませんわね・・・)
「・・・って、ええっ!?」
入れー入れーと魔力を操っていたのですが、急に変な手ごたえを感じたので剣先を見ると・・・
「け・・・剣が溶けていますわよ!?これ、大丈夫ですの!?」
「えっ!?大丈夫じゃない!一旦捨ててっ!」
何と剣先が溶ける・・・というよりは崩れていっていました。
私は慌てながらもパメラの言葉に従い、剣を奥へと放ります。するとノワールが前回私がやった様に魔法で剣を包んだ後、私を庇うように剣との間に入り盾を構えました。
「「「・・・」」」
そうして暫く様子を見ていたのですが、前回とは違い爆発するような様子を見せなかったので魔法と防御を解き、放り投げた試作品改の元へと皆で集まります。
「「「・・・」」」
溶けた・・・というより崩れた試作品改をみて私達は沈黙してしまい、職人達は頭を捻っていました。
「剣が崩れたって事は作りが甘かった・・・?いえ、でも前回はこうはならなかったし・・・・」
「ん~・・・回路が駄目だったろっ?組み込んだ先の物が崩れるって事は可能性も・・・・」
「素材の比率が問題らっ?でも改良するにつれ良くなっていたはずらっ・・・・」
そして同時に問題の洗い出しを始め、3人は話し合いを始めました。
こうなると私達には出る幕が無くなってしまう為、私はパメラへと声を掛け、店舗の方へと行っていると告げ移動します。
そして店舗の応接スペースへと腰を下ろすと、こちらでも少し会議を開きます。
「素材の在庫ってどのくらいありますの?在庫の状況によっては明日も採取しに行くことになりますけれど」
「わりかし残っとる筈やで?レイラさんらが平日せっせと集めてくれとるしな」
「一度確認してみようか。こっちだよ」
私達にできるのは精々在庫管理が関の山、なのでその在庫を確認する為にロギヌス工房の素材置き場へと移動し、在庫をチェックする事にします。
1,2時間程素材の山との格闘の末、在庫をチェックし終わると応接スペースへと戻ると、在庫を書き出した紙を見ながら会議を続行です。
今まで採って来た素材から使われた素材を算出し、おおよその消費具合を計算。そしてそれを元に、在庫の素材で後どのくらい持つのかを計算・・・と、これらをサマンサを中心にして作業を進めます。
結果、今の状況だと5日程度なら余裕があり、更に佳境に入っている今だと採取し過ぎると過剰在庫になるのではないかという事になりました。
「コレだと採取は一旦止めた方がいいのかしら?」
「パメラ達次第じゃないかい?」
「なら、ウチがちょっと行って聞いて来るわ」
『職人達次第では?』となったので、サマンサがパメラ達へと確認を取りに行ったのですが、5分もしない内に戻ってきました。
流石に早すぎると思っていると、どうやら『今日これからもう一度試作を作るから、それ次第』との事らしく、サマンサがそれを聞き鍛冶場を出て行く時には作り始めようとしていたそうです。
「そう・・・なら夕食の準備だけしておきましょうか」
「この状況からあたし達に出来る事はそれ位か。っていうか、それ位ならあたしがやるから、あんた達は今日は帰りなよ。早く帰っておくに越したことはないだろ?」
「まぁそれは・・・ええ。でもよろしいの?」
「いいさいいさ。あたしは学生でもないから門限なんてもんもないしね」
私達は唯一出来る事のパメラ達のお世話でもしようかと思っていたのですが、レイラが任せておけというので、心苦しいですが任せる事にしました。
こうしてこの日は未だ日が出ている内に学園へと帰り、先生や寮の管理人から『今日は遅くないんですね~?へ~?』という眼差しから逃れる事が出来ました。
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そして翌日の日曜日、『新たなる試作品はどうだろう?』と朝の9時ごろにロギヌス工房へと足を運んだのですが・・・扉を開けると何やら嫌な雰囲気が漂っていました。
その雰囲気は応接スペースのソファーに座って渋い顔をしているレイラが出している・・・訳でもなく、どうやら鍛冶場の方から漂っている様でした。
「おはようレイラ・・・何かありましたの?」
「あー・・・まぁ奥に行ってみればわかるよ・・・」
渋い顔をしたレイラへと挨拶をし、何かあったのかと尋ねるとそんな答えが返ってきたので、その答えから何かあったのは明白だったのですが・・・一体何があったと言うのでしょう?
少し嫌な予感を覚えつつ、私達が鍛冶場へと向かうと・・・そこには・・・
「な・・・なんで・・・」
「ろぉぉ・・・」
「なんでらっ?おかしいらっ・・・」
数本の剣の前で項垂れて嘆いている職人達の姿があったのです。
マシェリーより:お読みいただきありがたく存じますわ。
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